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『緑の牢獄』 黄インイク監督
黄インイク監督が7年の歳月をかけて完成させた労作『緑の牢獄』が傑作でした。ポレポレ東中野で4月3日から公開が始まりました。
普段、映画の初日初回に行くことは滅多にないのですが、必要を感じて観にいきました。
以下所感です。
琉球列島の「辺境」であり、「日本」と「台湾」の境界上に揺れ浮かんできた西表島。かつてこの島の炭鉱では沖縄本島、日本本土、そして台湾から連れてこられた労働者が、モルヒネ漬けの過酷な労働下に命を落としたという。いまも島の炭鉱集落の跡に無数の死者の霊が(祀るもののない死者である)「鬼」となって漂っているようだ。
台湾に生まれ、西表で孤独に暮らす老婆が語る人生に、境界上の忘れられた歴史が立ち上がってくる。それは森に還ろうとしている炭鉱跡にうごめく「鬼」たちの声のようにして響いてくる。忘れられた人たちの記憶を、それが消え入る寸前に映画が繋ぎ留めた。
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