カレンダーを作ってみました。
突然ですが、カレンダー、使っていますか?
スケジュール管理はスマホアプリが主流になってきている今でも、紙媒体のカレンダーの利便性が落ち込むことはない、と感じています。
ある日の曜日を確認したいと思ったとき、
ある日までの期間を確認したいと思ったとき、
ふと、来月の18日の予定を思い出したとき……
パッと日付と曜日の紐付けや、一定期間の長さを視覚的に確認することができる便利なアナログツールです。
ちなみに私は、デスク周りに4つのカレンダーを置いています。
壁に2〜3ヶ月分のカレンダーをならべ、卓上に今月のカレンダーをひとつ。
複数月のカレンダーをならべることで「来月の23日って何曜日だっけ」を瞬時に、ストレスなく確認することができます。
……というのは出版社時代の先輩から教わったカレンダーの使い方。
これが便利なのです。
家の中だと、デスクのほかにも、玄関やキッチン、お手洗いなどに置いている人も。すごく存在感があるわけではないけれど、身近で重要な存在になっているかと思います。
そんなこんなで、
一年間、生活をともにするカレンダー。
予定と記憶によって、日付はただの数字ではなく、色や温度がついたものになるような感覚になります。
たとえば、
ずっと会いたかった人と会えたあの日は、その日付を見るだけで会えた日の感情が沸き起こって心がぽっとあたたかくなったり、とても苦しくて悲しいことが起きたあの日は、日付を見るだけで心がきゅーっと締め付けられるような感覚になったり。
「カレンダーって機能面だけでなく、その本質には情緒的な価値を持っているかもしれない」と思ったんです。
と、いうことで、自分なりのカレンダーを制作してみました。
もう今年がはじまって2か月目、というタイミングですが、今回はこの話をゆるりと記録していきます。
経験や感情との出合いを
前述した通り私は、カレンダーは"日付確認"という基本機能以外に、記憶や期待を思い返したり、焦がれたりして、日々を彩る"情緒的価値"を持っていると感じています。
一年は365日。8,760時間。31,536,000秒。
長いような、でもあっという間の一年に、人はそれぞれの活動をしていく中でさまざまな経験に出合います。
一つひとつは一瞬に通り過ぎてしまうものかもしれませんが、その後の自分の考え方や、あるいは生き方までにも影響を及ぼす出来事になることも。
そんな尊い時間のかたまりが"一年間"だと思っています。
「一年の間に出合う大切な瞬間をふと思い返すきっかけになれたら」
そんな想いを込めつつ、初の"オリジナル"カレンダーとして出すコンテンツとしてはどんなものがいいのかを検討し、今回のカレンダーは、『VOICE & PHOTO calendar』として制作いたしました。
その瞬間に丁寧に向き合うフィルム写真
私は、一昨年前からフィルムカメラをはじめました。
スマートフォンでも綺麗な写真が気軽に残せる今、手間も費用もかかるフィルムカメラは正直不便さが目立ちます。
私が使っているカメラはLeica M3。
露出計がついていないため、撮りたい瞬間に出合ったときは、まず露出の設定を確認し、ファインダーを覗き込んで「ここ」と注目したところにピントを合わせてシャッターを切ります。
思い立って瞬時にシャッターを切れるわけではないため、「撮りたかった瞬間に間に合わなかった……」なんていうことも多々あります。
そして、フィルムカメラあるある:現像してみてはじめて「なにも写っていなかった」「ピントがずれてボケちゃっていた」ということに気づいて落胆することも時たま……。
それでも「大事な思い出はフィルムカメラで撮りたい」と思って、大切なお出かけの際には荷物が一つ増えてもフィルムカメラを持ち歩いています。
その理由は、まさにその不自由さにあります。
簡単には撮れないからこそ、シャッター一回一回に重みがあり、捉えたい瞬間にじっくり向き合おうとするのです。手軽に撮れるスマートフォンや、撮り直しがきくデジタルカメラでは味わえない不自由さと緊張感が、大切な瞬間をより大事に丁寧に向き合って記録しようというきっかけを与えてくれるのです。
今回のカレンダーにはそうした想いを持って撮影した写真を掲載しています。
非言語表現から得る体験を立体的にする"言葉”
丁寧に向き合ってシャッターをきったあと、おおよそ一か月くらいの間で写真を現像します。現像された写真を見てふたたび、写真に捉えられたその瞬間に覚えた感情や、五感で感じ取ったもの、大切だった理由をよみがえらせてくれます。
私は物書きではありませんが、言葉が好きです。
非言語表現である写真とあわせて、そこに内包される想いを言語化して表現することで、体験を立体的にしていくことができるのでは、と感じています。
以前、海の写真作品に対して、水面のゆらぎの一つひとつに感情や言葉を書いていくというチャレンジをしたことがありましたが、それにも少し似た感覚で、今回は写真記録に纏わる言葉を書き出してみました。
でも、それが正解、というわけではないと思っています。
それはたとえばこんな話……。という程度にお楽しみいただけるだけでも問題ありません。
ただ、”あえて写真として残されたその瞬間には、なにか想いやストーリーが隠されているのかもしれない”と考えることで広がる楽しみ方を提案したかったのです。そして、この一年が、そんな風に何度も思い出したくなるような、大事な瞬間がたくさんつまった一年になりますようにという想いをこめて文章をしたためてみました。
言葉と情景に向き合う朗読
フィルムカメラの写真、それに纏わる言葉、が揃いました。
今回のカレンダー制作に込めたメッセージは、ここまででも完結するものではありますが、仕上げにプラスワン。
今回、恐縮ながらも自身初のオリジナルカレンダーの制作ということもあり、"自分らしさ”を取り入れたく、私の芝居の原点である”朗読”をプラスしてみました。
言葉をただ読むだけではなく、言葉を発する過程で、その情景を噛み締めながらじっくり読んでいます。
▼下記カレンダー紹介ページからもサンプルボイスをご確認いただけます。
眠る前、移動中、トーストが焼けるまでなど、お好きなときにお楽しみいただけましたら幸いです。
流れる月日に合わせて毎月コンテンツ更新
ここまで"カレンダー"自体の持つ価値に対して感じていること、それに合わせてコンテンツを用意してみたことを紹介してみました。
この時点で初回としては想いを詰め込んだつもり、ではあるのですが、もうひとつポイントをつくりました。
一年間をともにするカレンダー。
月毎のカレンダーにせよ、日めくりカレンダーにせよ、めくる瞬間って楽しいですよね。
新たな月や日のはじまりを感じて気分が高揚していく感覚を覚えたり、新たな絵柄や写真、デザインを楽しみにめくったりと、各々異なる楽しみがあるかと思います。
「それならば、コンテンツが更新されていくのもおもしろいのではないか」
そんなことをふと考えて、言葉と朗読については毎月20日に購入者限定の特設ページにて更新することにしました。
月日を追うごとに変わるのはカレンダーの写真、月日の数字だけではありません。私たちも日々変化し続けています。
その変化も表現にのせようと思い、毎月そのときに書き下ろし録り下ろしでお届けしていきます。
2月4日現在、2月までのテキスト+朗読を公開しております。
ご購入いただいた方は、カレンダー裏面下部のQRコードより特設ページにご入場いただけます。
そんなこんなで想いを込めたプロダクトに仕上げてみました。
1月はじまりのカレンダーですが、在庫限りで販売中です。
ご興味ある方は是非チェックしていただけましたら幸いです。
ページ内には"0月”としてサンプルも作成してみています。
遅ればせながら、この一年が皆さんにとっても実り多き年になることを心から祈っております。
さて、2月も楽しんでいきましょう。
2024.02
松井花音
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