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わたしと文章の話

とにかく文章を書く、という生活を、たぶんもう20年以上続けている。

きっかけは小学生の頃。交換日記をするほど一番の仲良しだった友達が引っ越してしまって、さみしさを紛らわせるように私は「りぼん」の付録のノートにオリジナルの小説を書き始めた。

なんでか当時ハマっていた漫画のキャラクターが出てきたり(二次創作の先駆け……?)、主人公は明らかに自分だったり、と、それはそれはもちろんとても拙いものだったけれど、私にとっての「文章」のはじまりはそこにある。

それが、小学2年生のとき。つまり8歳。

私、今、30歳(※今年31になる)。

人生の半分以上、どころではない。
人生の2/3以上、自発的に文章を書く、ということを続けていることになる。純情な感情もびっくりだ。

それだけの期間があれば、当然書かなかった期間もある……かと思えば、ない。記憶にある限り、本当に、一切ない。

小学生、小説に夢中になった。
今でこそそれなりのコミュニケーション能力で立ち回れるようになったけれど、人付き合い、ことに友達付き合いというものに本当に不器用だった私にとって、自分で書く小説はもう一つの私の人生であり、夢であり、逃げ場でもあった。

中学生、インターネットを覚えて、たわむれにWebに載せていた小説を読んだという出版社の方から連絡が来て、浮かれた。
それは当時流行っていた「自費出版してみませんか」というお誘いだったのだけど、(相手も、よもやメールを送った相手が中学生だった、とは思っていなかったんじゃないだろうか……)インターネットも始めたばかりで世間もよく知らない中学生女子は、わかりやすく舞い上がった。
ずっと胸に抱いていた「看護師になる」という将来の夢が、あっさりと、「文章を書く人っていいかもな」になった瞬間だった。
(ちなみに看護師を諦めた理由はそれだけではなかったのだけど、それはまた、いつかの話にとっておく)

高校生、携帯電話を手に、ネットで知り合った友人と毎日「連載小説」と称してお互いに1話ずつ、小説を送りあった。更に登下校中には毎日のように「100シーンの恋」というサイトに短編小説を投稿し続けて、ランキングの結果に一喜一憂、なんてこともしていた。
学校一厳しい部活で毎日練習を続けていた高校時代、一体どこにそんな暇があったのだろう、と今ではちょっと不思議に思う。……たぶん、勉強はしていなかった。

余談だがこの「100シーンの恋」を運営していたボルテージさんが、後に私がフリーライターとして活動していくきっかけになったわけで、なんていうか、因果ってちょっと面白い。

大学生になっても書くことはやめなくて、次第に「そういう仕事」に就くことが憧れではなく目標になって、幸いなことにそれが叶って……そして、今。

私は結局、ずっと書き続けている。


だけど、そんな私でも、あまり書いてこなかったものがあった。
それが、自分の話。

自分の好きなもの、
自分の考えていること、
自分の目指しているもの……。

とにかく、「自分」を書くのが昔から苦手だった。

こういう仕事をしているから、「読書感想文とか、絶対得意だったでしょ」と言われる。
実際、苦手ではなかった、と思う。
読書は大好きだったし、文章を書くのも好きだった。
だけど、感想を書け、と言われると、いつも戸惑った。

「私」は、「私」が思ったことを、どう文章に表せばいいのか、わからなかった。

たぶん自意識過剰過ぎて、照れくさくて、その文章を書いた自分がどう見られるのか、そんなところまで考えてしまって、真っ白になってしまったんだと思う。
当たり障りのない文章で提出した読書感想文は、当然、毎回特にこれと言って特別な評価を受けることはなかった。

これまで書いてきたのはずっと物語ばかり。
仕事として受けた中にはインタビューであったり、何かを紹介するものであったり、様々な文章があったけれど、「自分」のことを書くことは本当に少なかった。


もう2年近く前になるけれど、本を出版するタイミングで一度だけ、noteに自分のことを綴ってみた。
やっぱり照れくさくて、気恥ずかしくて、隠しておきたい部分もあって、全てを書けた、とは言えない。
だけどあの文章は少しだけ、私の中で特別なものになっている。


だから、ちょっと、書いてみようか、と思った。

肥大していた自意識もほんの少しおさまったし、何より、最近、私は私を知りたい衝動に駆られている。
同時に、知ってほしい、という欲求も生まれ初めてきた。

まあ、もう、30だし。30だから何、というわけではないけれど。

ほんの少し、気持ちばかりの所信表明。

毎週か、隔週かはわからないけれど、
そして誰に届くのかはもっとわからないけれど、


「自分の話」、はじめてみます。


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