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洞窟で熟成するチーズ

食糧やワインの貯蔵庫のことをフランス語でカーヴといいます。
もともとは洞窟を意味する言葉です。

洞窟は光を遮り温度と湿度が一定なので貯蔵に適しています。
貯蔵だけでなく食品の熟成にも向いています

フランスにロックフォールというチーズがあります。

ブルーチーズと呼ばれる青カビの代表的なチーズです。
フランス最古のチーズともいわれています。

フランスの南部にロックフォール・シュル・スールゾンという村があります。その村のコンバルー山の洞窟でロックフォールは偶然に誕生しました。

むかし村の羊飼いがお弁当のチーズを洞窟に置き忘れてしまいました。
数か月後に洞窟に来てみるとマーブル状に見事な青カビが生えていました。
食べてみるとこれが信じられないほど美味しいチーズだったそうです。

あくまで村に伝わる話なので確かなことはわかっていません。
しかし現在でもこの洞窟でロックフォールを作っていることは事実です。

まず青カビを採取するために洞窟内に数か月間パンを置いておきます。
するとパンの表面にびっしりと青カビが繁殖します。

この青カビは世界中でこの洞窟にしか存在しないそうです。
羊の乳で作ったチーズの内部にその青カビを付着させます。

洞窟内の貯蔵庫にチーズを寝かせて熟成させます。
通常は4か月ほどでロックフォールが完成するそうです。

ロックフォールは鋭い香りと強い塩気と濃厚な風味が特徴です。
慣れていないとかなり刺激を感じる個性的なチーズです。

そのまま食べてもバターのように滑らかな舌触りが楽しめますが、他の素材と組み合わせても美味しさが際立ちます。

意外に思わるかもしれませんが、甘味のある食材と相性がよく、ドライフルーツやジャムや蜂蜜と組み合わせると美味しいです。

ロックフォールは「チーズの皇帝」と呼ばれています。
チーズとしてたいへん完成度の高い品質を誇ります。

これもすべてコンバルー山の洞窟のおかげです。


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