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1000字で読む科学の話41「AI」「地下水」「冬眠」

科学の話

 2022年4月の高校1年生から新学習指導要領が始まりました。いわゆる「新課程」と呼ばれる教育です。それに対応する2025年の大学入試共通テストも、大きく変更されることが予定されています。
 文部科学省が目指している新課程の理念は、「学びに向かう力、人間性など」「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力など」を骨子としています。このことは、変化の激しい社会において、子どもたちが困難を乗り越え、未来に向けて進む希望や力になるとしています。
 おそらく、先を見通すことが難しい不確実な現代社会において、自ら学習して判断して行動できる能力、言い換えるならば、真の「生きる力」を身につけて欲しいという願いが込められていると私は考えます。
 さらに、新課程における理科の目標として、自然の事物・現象に関わり、理科の見方・考え方を働かせ、見通しをもって観察、実験を行うことなどを通して、自然の事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指しています。
 具体的には、自然の事物・現象についての理解を深め、科学的に探究するために必要な観察、実験などに関する技能を身に付けるようにすること。観察、実験などを行い、科学的に探究する力を養うこと。自然の事物・現象に主体的に関わり、科学的に探究しようとする態度を養うこと。以上の三点を挙げています。
 こうした目標には、「なぜ科学を学ぶのか」を再認識してもらいたいという意図があるように感じます。
 科学はよく「諸刃の剣」と形容されます。使い方次第で、益を与えることも害を及ぼすこともあり得るからです。たとえば、人類に幸福をもたらすはずの素晴らしい科学技術が、軍事に転用されて大きな苦しみと悲しみを招いたり、環境を破壊して地球を危機に追い込んできた不幸な現実を、私たちは近現代の歴史の中で目の当たりにしてきました。
 科学を学ぶ目的は、利己的に偏った知識を得ることではなく、まして悪意をもって乱用することでもありません。すべての人間が幸福に共生していくという崇高な目的のために学ぶべきなのです。
 少数の偉大な科学者だけが、科学を発展させているのではありません。真摯に科学を学ぼうとする多くの子どもたちが、科学の発展を支えているのです。その一助となるように、これからも「100字で読む科学の話」を書き続けていきたいと思います。
 1000字とはどの程度の文章かと思われるかもしれません。参考までにこの紹介文が約1000字です。

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