創作キャラの香りを創作してもらった話:中編

前回のあらすじ


キャラの創作にドハマりし、何とか自キャラの実在性を高めたい変質者・鹿野(私)。
創作キャラのイメージの香りを選んでもらいにいざ出陣!
愉快なお供のテクニカルヲタクと恋多き女を連れて!
さぁて!いよいよ実際に香水を選んでいくぞ~!!

……まあ詳しいことはこっちを読んでくれよ。
悪いことは言わないからさ。


いざ、インタビューシート提出

FINCAさんにたどり着き予約時間が来るのを待ちつつインタビューシートを書く~というところまでが前回。
予約の時間になり、いよいよ我々も実際に香りを作っていくことに。
例のギッチギチ解釈圧縮ペーパー(そんな名前ではない)を担当のスタッフさんにお渡しします。
ごめん、でもエリさん(創作キャラ)の話をまとめるにはあれが最低限だったんだ。ゆるして。



深堀り開始


すまぬ~~~すまぬ~~~~(泣)という気持ちでいっぱいだったのですが流石プロ、スタッフのお兄さんは真剣な面持ちでインタビューシートを読み込んでくれます。

お兄さん「ちなみにこの彼女のお写真とかイラストとかってあります?」
鹿「アッありますこれなんですけど……(イラストを見せる)」
お兄さん「すごくお綺麗な方ですねぇ」
鹿「アッアッそうなんです実は凄く美しくて異質な見た目をしているので神の子として教団に引き取られたっていう経緯があってェ……(クソ早口)」


待ってくれ私見た目についての記述全くしてないぞ???????
え、心読まれてる????
そんなこんなでカウンセリング?スタート。
ここからは印象に残ったやり取りを抜粋して書くのでさらに文が乱れます。
しょうがないんだよ。オタクは情緒が乱れると記憶を失うんだ。
このままエリさんの出自についての話へ。
正直このあたりに関しては全然メインの話じゃないと思っていて、1行2行くらいしか書いてなかったので「ここ掘り下げるんだ!?」とちょっと意外でした。


お兄さん「教団に引き取られたってことだったんですけど、彼女は親御さんのことは知ってますか?」
鹿「いえ、全くと言っていいほど知らないです」
お兄さん「彼女の親御さんが亡くなって……とかですか?」
鹿「あ、えっとですね。経緯を言うと、もともといち信者の家の子だったんですけど。一応日本人なんですけど色素がすごく薄くて浮世離れした見た目をしていたので親が教団に『この子は何なんでしょうか……!』みたいな感じで相談に言ったんですね。で、そこで『この子は神の子だ』って言われて教団に譲り渡すことになったみたいな感じです。異質な見た目だと神の子として表に出すのに都合がいいので……」
お兄さん「なるほど。ちなみにその時親御さんはどんな感じだったんですか?」
鹿「あ、もうあれです。自分たちの家に神の子が現れたというので喜んで譲り渡しました。寂しいとか手放したくないとか全然ないです」
お兄さん「ちなみに彼女はその後親御さんに会ったことはありますか?」
鹿「あ~~~、たぶんあると思うんですけど神と信者っていう立ち位置なので分かってないと思います。少なくともこっちは認識してないですね~」

私の頭の中にしかなかった話をこれでもかと掘り下げていきます。
それにしてもお兄さん、話したくなるような質問の仕方がうまいうまい。
この辺からもう既に鹿はハイパワーマシンガントークです。





キャラを取り巻く世界も香りを構成する一部なんやなぁ……という話


ここから話はエリさんの生活や環境についてに移っていきます。

お兄さん「あとこの彼女が暮らしている世界観って、現代ですか?それとも過去とかすごく未来とかですか?」
鹿「うんと、一応現代です。ほとんど今と変わらない日本のイメージで……」
お兄さん「そうなんですね。ちなみにこの世界観って、魔法とかそういうものって存在してますか?」
鹿「してますね。ただ、彼女は普通の人間です。特殊な力とかはないです。それなのに神を名乗って人を騙してるのが嫌になっちゃったので……」

話しながらなるほど~となったポイント。
確かに年代や作品のジャンルが変われば香りのイメージって変わってくるもんな!



お兄さん「幽閉されてたってことなんですけどこれはどういう意図でされてたんですか?」
鹿「そうですね……。神として振舞うように教育されていたのでその一環です。余計な思想が芽生えないように人の暮らしから遠ざけられた、みたいな……」
お兄さん「うんうん。えっと、人の暮らしをあんまり知らないってことだったんですけど、例えば食事のマナーだったりとか、そういう所作とかはどうですか?それも人の暮らしではあるので……」
鹿「あ、そこは最低限ちゃんと教え込まれてます。儀式のときには人前に出るので、ある程度綺麗に見える振舞いをするように言われてますかね……。あ、でもあれです。例えばお箸の使い方とかは知らなかったり、シャンプーとかは使ったことはあるけど名称を知らないって感じです。必要以上の知識は与えられてないのでめっちゃ偏ってます。なので割と常に『あれは何?』『これは何?』って感じです」
お兄さん「ああ、なるほど。じゃあけっこう見た目は大人のお姉さんですけど中身はちょっと幼い感じというか」
鹿「そうですそうです!けっこう赤ちゃんです(???)」

よう喋るなお前!!!!
でもそうさせるお兄さんがすごいのよ。
そう、一口に中身が子供っぽいと言ってもその方向性は様々なのだ。
エリさんは外から見ると綺麗な大人のお姉さんなんだ……。
神様だからね……。神秘的で美しい人なんだよ……。
知識が与えられていないだけで知能は高い……。
人物像の解像度をどんどん高めていく。
聞かれて初めて「あっ、この子ってこういう感じです!」ってなる部分も多いからキャラの解釈を深めるという点でもものすごく効果があります、この時間。


お兄さん「この生活だとあんまり人と話したりとかは……」
鹿「あっ、そうです全然ないです。神として一方的に話すことはするけど会話はほとんどしたことないみたいな。本とかも、植物とか魚の図鑑とか、そういう情報としてのものだけは読むのを許されてます。知識はあるけど経験はない、みたいな。例えば焼いたシャケを出されたら『これは何?』ってなるけど、シャケだよって教えて貰ったら『ああ、じゃああの図鑑で見たあの魚を加工したらこうなるんだな』って繋がる感じです。知識を制限されていただけで知能はちゃんと大人なので飲み込みは早い……みたいな」
お兄さん「あっ、じゃあ逆に物語とかにはあんまり触れてないですかね」
鹿「そうですそうです!それこそ小さい時にちょっと絵本読んだくらいで……」
お兄さん「あんまり情操教育みたいなのはあんまりされてない……」
鹿「あ!そうなんです!なので教団を抜け出してからは周りの人を見て『あ、人は嬉しい時こうするんだな、悲しい時こうするんだな』って感じで学んでる最中なんですゥ……」

限界オタクここに極まれり。
まだ香水一個も出てきてないってマ?




実際に選んでいく


そんなこんなでエリさんの生まれてから現在までを振り返りつつ細かい性格やイメージの部分を固めていきました。
ようやくここで香水本体の登場です。
インタビューシートと先ほどまでの会話を元にお兄さんがいくつかの組み合わせを提案してくれます。
FINCAさんのパイルアップという手法はいくつかの香水の香りを重ね付けしてイメージに近い香りを作っていく、というものです。
机には香水がたくさん並んだ棚が設置されており、お兄さんがそこから手際よく香水を選んでくれます。



オタクは感情の許容量を超えると記憶が飛ぶ


まず2種類の組み合わせ×3組。合計6本の小瓶が並びます。
説明をしながらムエット(香水を染みさせた紙)を並べてくれます……が。

鹿「(まず一つ目か……すごい優しい香りや……)」
お兄さん「1種類目がアイボリーハートという香水ですね~。トップにモチーフに書いていただいてた梨の香りも入っていて~」
鹿「!!!!???!??!(ここで一旦記憶が消し飛ぶ)」

あのね~~~?
エリさんの名前って漢字表記だと「絵梨」って書くんだけどね~~~?
エリさんの本名ってね~?エリオット、って言ってね~~~?
神の子としての名前だからこっちが本名の扱いなんだけどね~~~~?
じゃあなんで漢字表記があるかって言うとぉ~、いつか外の世界に出た時のために「時任 絵梨」って名前を自分で考えたのね~~~~?
だからねぇ、梨ってぇ、エリさんにとって自由の象徴でぇ……(号泣)

情緒の乱れたオタクの供述

いやあの流石にその場で泣きはしなかったけど。
いやダメだって。オタクそういうの弱い。
名前とかキャラの背景とかそういう要素を取り入れたものってさぁ、ダメじゃん(ダメではない)。
確かこの時「無垢な面」「女性らしい面」「神としての中性的な面」みたいな感じで3組お出しいただいたはずなんですけどアイボリーハートの衝撃がでかすぎて記憶が朧気です。
ちなみにアイボリーハートの説明はこんな感じ。

IVORY HEART / アイボリーハート
すっきりと軽やかな香り立ちながら、しっかりと芯を持ったバランスのとれた香りが知的なセクシーさを演出する香り。
思わず近寄りたくなる様なペアーの甘さは、朗らかで柔らかな雰囲気を感じさせます。
ナチュラルで優しいオーガニックシャンプーのような爽やかな印象は、性別問わずお使いいただけるのではないでしょうか。

Top:レモン・ベルガモット・ペアー
Middle:スペアミント・ローズ・ゼラニウム・ミュゲ
Base:ムスク・アンバー・メロン・パチュリ

FINCA様公式オンラインショップより抜粋

https://kaoribarfinca.jp/gallery/1896/


全体的に柔らかくてふんわり甘い香りではあるんだけど、女性的すぎないというか、清潔感のある香り。
……エリさんやないかい(狂い)。
香りのイメージもかなり合ってたものですからアイボリーハートはほぼ決定で、あとは組み合わせをどうするか……というような感じに。


しかしここから難航する。
なぜならどの香りも合っているから。
同じキャラでもどの一面、どの段階のイメージを前面に押し出していくかでかなり方向性変わってきちゃうんですよ。
いくつか候補をあげてもらっては嗅いでみて……の繰り返し。
途中で鼻が疲れてきてしまうとのことだったので、合間合間でお店の外に出たり、設置されているコーヒー豆の香りでリセットしたりしつつ香りの方向性を決めていきます。
さすがにお兄さんの前では理性を保っていたのですが、店の外に出るタイミングで同じように悩んでいたSちゃんと一緒に「ヤバイ……ヤバイ……」「えっ、(キャラが)いるじゃんここに……」などと言いつつ狂いを吐き出していました。
ちなみにこの段階で既に自分用の香水を選んでいたMちゃんは2種類決めてお会計をしていた。しごはや。


まって~~~。
まだ1本目しか選んでないけどあんまりにも書くこと多すぎるよ~~~。
ということで前後に分けるといったな、あれは嘘だ。
前中後編の三部作だ、許せ。
同行者のSちゃん・Mちゃんからも感想をいただいたので後編にはそちらもまとめていく予定です。
3人それぞれ別方向のアプローチで香水選びをしているのでそちらももし参考になりましたら。
ではまた近いうちに!!







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