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400字で分かる落語:「甘酒」

81:甘酒(あまざけ)
【粗筋】 甘酒屋が売り歩く。「あまーい、あまざけ~」
「おい、甘酒屋、あついかい」「へえ、お熱うございます」
「じゃあ、日陰を歩きねえ」
とからかうのを見て、面白いから自分もやってみようと、
「おう、甘酒屋、あついかい」「へえ、飲み頃で」
「じゃあ一杯くんねえ」
【成立】 お馴染み人真似失敗の小噺。「おい、あついかい」は「熱い」じゃなくて「暑い」なのだ……って、分かるね。昔は夏でも熱いのが甘酒。古今亭志ん生(5)が少し舌をもつれて演ったのが面白かった。「一杯くんねえ」の情けないこと……
 安永3(1774)年『富来話有智』の「甘酒」は、甘酒を売り歩くので呼び止めると、売り切れたが余りの寒さに声を上げて歩いていると言う。呼び止めた男が、「それなら俺も飲んだ気にいよう……ぞろぞろぞろ、おお、温かい」というもの。
 江戸時代には栄養ドリンクのように飲まれていた。麹を材料にして子供でも飲めるもので、夏バテ対策にもなった。

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