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400字で分かる落語

「あ」の落語第12席:青菜(あおな):全2回の1
【粗筋】 植木屋が「直し」という冷酒と鯉の洗いをご馳走になる。酒も冷たい、鯉も冷たい、下に敷いた氷も冷たいと感心していると、青菜を勧められる。手を叩いて奥さんを呼び、菜を用意するように言うと、「鞍馬より牛若丸が出でまして、その名を九郎判官」「義経にしおきなさい」
 これが「菜を食ろうてない」「よしておけ」という洒落言葉。植木屋、さっそく女房を押入に隠しておいて通り掛かった友達の大工相手に真似をする。
「酒が冷たいだろ」「燗がしてあるよ」
「魚が冷たいだろ」「鰯の塩焼き、焼いてあるよ」
「植木屋さん、菜をおあがりか」「植木屋はお前だ。せっかくだが、俺は青物は嫌いだ」
「お前、そりゃないよ。菜を食うと言ってくれよ」「なぜ泣くんだ。食うよ」
 手を叩いてかみさんを呼ぶと、押入から汗だくで飛び出した。
「鞍馬より牛若丸が出でまして、その名を九郎判官義経」
「え、義経……ううん、弁慶にしておけ」

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