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400字で分かる落語:「雨夜の引窓」2

84:雨夜の引窓(あまよのひきまど)」:全2回の2
【成立】 三遊亭円生(2)の「早川雨後の月」を、三遊亭円朝が芝居噺に改定、三遊亭一朝が円朝の型を覚えていて、林家彦六(正蔵8)に伝えた。彦六は「引窓与兵衛」という題で演じた。
 お早と共にと江戸へ向かった与兵衛、新利根川を渡るのに、船では人目につくと言ってお早を背負って渡るが、隙を見てお早を深みにはまらせて金を一人占めにする。お早は急流に流されて浅瀬に乗り上げて命拾い。これから与兵衛の悪事が露見して参ります。「雨夜の引窓」の発端でございます……というのが彦六の切れ場。
 この後、与兵衛はお早殺しを目撃した馬方の五郎蔵を殺そうとして、逆に馬方に捕まりそうになる。この馬方を鉄砲で殺したのは、引股の与兵衛という、もう一人の与兵衛であった……というところまでは演じられた記録がある。上方の「算段の平兵衛」はこれを移植したもの。おどろおどろしさが消え、完全に笑いの世界に代わるところに、上方落語のすごさを感じる。

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