シャニマスの好きなところを語ります~浅瀬編~

一応布教記事のために書いたのですが、1万文字もあったんじゃ好きな人しか読まなくない?って自問してます、かのはらです。
今日は私がはまっているアイドルマスターシャイニーカラーズの好きなところを話します。妄言少なめの浅瀬編です。深淵編があるかはわかりません。

シャイニーカラーズはアイドルマスターのコンテンツのひとつです。システムはアーケード時代のアイマス(つまりは一番最初のもの)に近いものになっていて、随所にリスペクトが見られます。が、だからといって古かったり過去作と変わらないのかというとそんなことはなく、逆にシステム部分でアイマスを達成したことで、キャラクター造形やコミュの中に新しい「シャイニーカラーズらしさ」が滲み出ているんですよね。その滲み出た部分がめちゃくちゃ好きだという話をしたいと思います。

主に
①絵がよすぎる
②ポエムがよすぎる
③シナリオがよすぎる
で構成されます。長いですが気になる部分だけお読みください。

①絵が良すぎる

絵が……良すぎる……
で終わりたいんですが、きちんと喋ります。語彙力はないです。

まず、シャニマスのイラストには清潔感があるんですよ
ソーシャルゲームって、どうしても盛りまくった画面の派手さとか(ギラギラしたオーバーレイや発光)、全年齢の中で出せるえっちさ(てかてかしてる肌とか染まった頬とか吐息とか太ももの食い込みとか)を追求しがちな面があって、それはそれですごい技術だし普通にめっちゃ喜んでるんですが、そればかり摂取していると時折苦しくなります。揚げ物続きでの胃もたれみたいな。
そんな中、全体的な印象は軽くすっきりとしていながらも、絵のうまさや構図のうまさですべてを覆すシャニマスの絵はまるで清涼剤のようです。
水着のイラストすらいやらしくないの、すごいことだと思うんですよね。

■サポートカード
シャニマスにはプロデュースアイドルとサポートアイドルという2つのカードがあります。これは普通のソシャゲでいうキャラと装備、FGOでいうサーヴァントと概念礼装のようなものです。プロデュースカードはアイドルとプロデューサーの1対1のコミュ、サポートカードはアイドル同士の絡みのコミュが読めます。
で、このサポートなんですが、装備枠であるがゆえに、キャラクターを中心に置いて目線はこっちで胸と尻を強調して、というようないわゆるソシャゲのお約束を破りに破った自由なイラストが展開されます。(まあプロデュースカードも割とお約束は破ってるんですが)
その結果生まれたイラストたちがこれです。

これ、ソーシャルゲームですか…?絵師100人展じゃなくて…?

シャニマスのすごいところは構図の引き出しの多彩さでもあります。例えば、「アンティーカというユニット」の「5人全員が映ったイラスト」に絞ってどんなイラストがあるのか見てみます。

や、やばすぎる…………どうしてこんなに多様な表現が浮かぶの……
これ以外にもアンティーカの絵はまだまだありますし、やはり構図はかぶっていません。
あとシャニマスの特徴として、絵によって結構髪の色が変わるっていうのもあります。(染めてるとかじゃなくライティングとかエフェクトの調整がよく入るってことです、念の為。)
さらに、髪型変更を出し惜しみしないんですよ…一番最後の、全員まとめて髪型を変えたサポートが出たときは「それ1枚ずつプロデュースカードで出して!!!!!」ってなりました。

■プロデュースカード
と、まあここまでサポートの話をしました。実際Twitterとかでやばいやばいって騒がれるイラストのカードはサポートが多いですね。
ただ、だからといってプロデュースカードがすごくないわけじゃないんです。たとえば最近追加されたカードにこんな絵があります。

ひ、ひええええ〜〜〜〜〜
シャニマスのすごいところは、シンプルな構図でも見ごたえがあるし手抜きに見えないところだと思います。塗り込みがすごいわけでもないのに、目が離せない。浮かばない構図ではないんだけど、だからって自分が書いても絶対こうはならない。私だと1秒で流される絵になってしまうのに、シャニマスの絵は一瞬で釘付けになって呆然と眺めてしまう。絵の吸引力と目の離せなさがすごい。背景がうまい。深度ボケの使い方がうまい。構図がうまい。視線誘導がうまい。すごい。すごすぎる。
あとエフェクトの使い方がめちゃくちゃ綺麗なんですよね。なんなんだこれは。どうやったらこんな絵が書けるんだ。意味がわからない。

の、うえに。これ、動くんですよ……………

は????????なんで?????

他の例も上げておきます。シャニマスの絵は多彩なので…

例えばこれ、一見ただ立ってるだけでシンプルな絵になりそうなものですが、ぱっと見た瞬間キャラクターに目が行くし目が離せないんですよね。灯織の後ろの背景の木の書き込みがすごいこととか、両脇の木がほぼ左右対称に置かれていることとか、あとさまざまな技術があって真ん中のキャラクターに目が行きます。これはSSRなのですが、盛りまくることを命題とするSSR業界で、これのラフが通る環境がすごいです。

さっき「ソシャゲのお約束」という話をしましたが、これはこっちを見ていないカードです。マフラーくらいしか冬らしいアイテムがあるわけでもないのに冬の車内の空気感がします。すごい。コミュの内容もやばいです。

水槽に映すことで明るい金髪のトーンを抑えてアンニュイな雰囲気になじませる発想、どう考えても天才です。たとえばこれが、アクアリウムをながめる横顔とかだったら、かなり印象違うと思います。(でも私が「アクアリウムを眺めてる女の子」って発注を受けたらそういう絵を書いてしまう気がします)

イラストの影のところにラインを引く手法が使われています。シャニマス、必要とあらばこうして塗り方そのものを変えてしまいます。そんなことあっていいのか?それが許されるの、すごすぎないか?

ソファを見下ろす構図です。絵がうますぎて頭がおかしい。のに、これはSRです。最高レアリティではありません。最高レアリティってなんだ。でもSSRはSSRなんだよなあーーーーーってなるのですごすぎます。

シャニマス、柔らかな春の光の表現がうますぎる。と、言いたいのですが、恐ろしいことに、春夏秋冬どの季節でもその季節らしく書き分けができるんです。意味がわからない。

■春夏秋冬の表現すごい
さっきちょっと触れましたが、シャニマスは季節感をとても大切にしていると私は思っています。春(4月)から冬の終わり(3月)までを並べて見て行きます。

見てもらえればわかる通り、どれがどの季節と言わずとも、ぱっと1枚見せられただけで時期を思い浮かべられるような、そんなイラストが多いです。でも、不思議なことに、その季節を表す象徴のようなもの(桜やクリスマスツリーなど)がない絵でも、季節を感じるんですよね。もちろん服装なども大きな要因だとは思いますが、やっぱり全体の色調などの空気感も大きく影響していると思います。

私が特に好きなのは、夏から秋への境目に追加されたこちらのカードです。

これ、傘を挟んで右が夏、左が秋になっているんですよね。夏から秋への変化を描いた絵を私も書いたのですが、私はトンネルの向こうとこちらで季節が違うという絵で、トンネルの向こうにいるキャラクターが小さいというキャライラストとして致命的な欠陥を抱えていました。それを書いたすこし後にこの絵が実装されて、あーーーーこう書けば良かったのかーーーーーーーーーと死ぬほど悔しがりました。

■私服が可愛い
これ、めちゃくちゃ大事だと思うんですよ。みんな女の子の選ぶ服を着てるんです。しかもそれぞれきちんと好みがあるんです。いくつか並べてみます。

真乃。手で分かりにくいですが、よくキュロットをはいています。

三峰。サブカルっ子です。

恋鐘。この子は一番胸が大きいのですが、胸の大きさをカバーするような可愛い服を着ています。(胸の下で切り返しとか、裾のひろがったスカートとか)

うーん、かわいい。

一番すごいと思っているのは水着です。ソシャゲの水着って、どうしても射幸心という言葉と表裏一体なのか、ちょっとばかりえっちさとか謎構造が優先されがちだと思っていて、まあそれは仕方ないことですが、そんな中でみんなの着てきた水着がこちら。

きちんと女の子が選ぶ水着を着ている!!!!!!!!!

こうした特殊立ち絵にはコメントがついています(詳しくはポエムの章で語ります)が、その中で唯一の小学生の果穂ちゃんに書かれたコメントがこちら。

「お母さんと一緒に選んだ」

た、正しい!!!!!!!!!小学生として圧倒的に正しい!!!!!!!
小学生だからって安易にスク水を着せない運営、好きです。ついでに果穂ちゃんのランドセルは黄色です。そういうところも好きです。

②ポエムがよすぎる

ポエムと呼ぶのが適切かわからないのですが、シャニマスはいくつか、短文を見る機会があります。それはカードの二つ名であったり、各コミュのタイトルであったり、ガチャのタイトルであったり、衣装についてくるコメントであったりです。総称がわからないので仮としてポエムと呼ばせてもらいました。

シャニマス、短文でビシッと決めるセンスがあまりにも良すぎるんです。

長文を書く能力と短文で決める能力は全然違います。小説家がコピーライターをできるかと言われるとそんなこともないですよね。まあシャニマスは両方うまいんですがね!

■二つ名
まずは二つ名をいくつか列挙します。

・チエルアルコは流星の
・夏に恋するピチカート!
・月の浜辺で待っとって
・杜野凛世の印象派
・おねがい、ただの少女がいい
・そのまみみ無気力につき
・ハロー、私の「いつも通り」
・夜夜中ワンダーラスト

もうこれで説明終えてよくない?かっこ良すぎる。
「チエルアルコは流星の」は「チエルアルコ」という聞き馴染みのない言葉がエスペラント語で虹であるということがバズってエスペラント語協会アカウント拾われていたりしました。
もちろん全部が洒落てるわけじゃなくて、「ふっふ〜ん、ふっふ〜ん♪」みたいな気の抜けたものもあります。
キャラクターによってはある程度法則性があったりして、それを見るのも楽しいです。カタカナの入るめぐる、名前が入ることの多い凛世と摩美々、甘いもののちょこ、漢字四文字の霧子、などなど。

■コミュ名
各コミュについてる名前も、もちろんセンスの塊です。

□ メイドインナツハ

(Mon.)ありふれた日々のこと
(Tue.)たいせつなこと
(Wed.)よくあること
(Thu.)ほんとうのこと
(Fri.)私を作る日々のこと

バラバラのコミュがタイトルによって結ばれています。

□ 月の浜辺で待っとって

大トロ一丁待っとって~
おみくじするけん待っとって~
福袋するけん待っとって~
待った~?

全体的に気の抜けたタイトルを、最後のコミュで一気にひっくり返します。

□ 三峰

なんて優しくてずるい人!
あの日、幸せが約束されたの
ねぇ、あなただけが知っていて
てるてる坊主がくるりと回る

それぞれバラバラのカードです。
三峰は本心を上手に隠しながらコミュ力と相手を思いやる力で飄々と渡り歩いてる子なのですが、よくコミュタイトルで本心をあかすというテクニックを使ってきます。こやつめ。

台本通りの茶番劇
さあ、幕をあげましょう!

この間実装された冬優子のコミュタイトルです。冬優子…すきだ…

ここでシャニマス屈指の元気っ子、めぐるのコミュタイトルでシャニマスの一年を感じてみましょう。

□ 最初のSSR(金色の元気いっぱいガール)

めぐる、大活躍!
止まらない着信
仲直りの仕方
本当の自分と特別な人
きみのための翼

□ この間実装されたSR(チエルアルコは流星の)

異邦の青、浮遊する
同調の水、されど
無重力のウテナ

おや…?様子がおかしいぞ…?
なんとなく、最近はこういうタイトルを出すことに遠慮がなくなってきたように思います。もっともっとやってもらいたいです。

■ガチャタイトル
実はシャニマス、ガチャタイトルまでおしゃれです。
・春雨を梳けばきみのけはい
・甘いおねむなお姫様
・霧子と11月の言葉たち
・風と霧の諸原理序説
・春色おめかしジェミニ
・6月、てるてる曜日
ちなみにガチャのロゴも可愛いです。キャラクター名の方が大きかった初期から、ガチャタイトルバーンに変わりつつあります。

これが初期

これが最近

ガチャタイトル最高って叫び続けた需要が伝わったんですかね…。(単にキャラクターの名前を覚えてもらうフェイズの終了な気もしますが)

■衣装ポエム
衣装を買うことができるショップには、短い説明文が添えられています。それが…その…すごいんですよ…

え…?水着の説明…?

もちろん、普通の説明の子もいます。
摩美々「パーカーでハズし感を演出」
真乃「めぐるちゃんとお揃いの柄♪」
みたいな。

ところが、これも一年の間に変わっていきます。最新のオーバーキャストモノクローム(新衣装)の説明文ではポエムがほとんど、普通の説明文は少数派となりました。

・オーバーキャストモノクローム

最後にお気に入りの説明文を置いておきます。

■思い出アピール
思い出アピールという本当に短い単語があり、レベル5まであげるとそこに[]が追加されます。それが、それすら、そんなところすら、すごい。一部の隙もない。

あなたにわがまま → [心明かして]あなたにがまま
あゆめるこころ → [人恋はば人]あゆめるこころ
マイ・マインド → [未来ゆき]マイマインド

あたりが好きです。

③シナリオがよすぎる

シャニマスはよくイラストが良いって取り上げられるんですが、実はそれについてくるコミュもやばいです。(最近はコミュのやばさも周知されてきた気はしますが)
正直コミュの持つ雰囲気はやってもらわないことには伝えるのが難しいです。演技や魔の取り方、BGMや効果音、背景、キャラのアニメーション、すべてが合わさって雰囲気を演出しているからです。
まあでもやってね!で済ますのもあれなので、少し話します。

■キャラクターとしてのプロデューサー
シャニマスの珍しい点として、プロデューサーがユーザーでないところがあります。彼はユーザー名で呼ばれることはなく、アイドルからはずっと通して「プロデューサー」と表記され続けますし、コミュ内でもよくしゃべります。プロデューサーが「ユーザー」でなく、一人のキャラクターであり、そして彼が割と信頼できる人間というところ、好きです。
彼はアイドルに寄り添うことができて、しかし踏み込みすぎず、キャラクターを恋愛対象に見ません。(千雪さんだけちょっと怪しいですが、それも成人と未成年で線引きしてそうで好感がもてる)
「こんな選択肢選びたくない!!!!」みたいなことも少ないです。(摩美々にはあるのですが)(対摩美々的には正解なんだろうけど私は「可愛げがない」って言いたくない)
プロデューサーのことを好きな凛世のメインストーリーは、プロデューサーが好きで始めたアイドル活動でファンの人とふれあい、ファンの人たちがプロデューサーと同じくらい大切になってしまう、という話です。プロデュース活動を続ける≒キャラクターからの好感度があがる、ではありません。そこも信頼感があります。もちろんキャラクターからの好感度もあがるのですが、それは恋愛というより親愛であったり信頼であったりが多いです。(普通に恋愛っぽいのもありますが)

■なんてことなまいにち
シャニマスは「何気なく尊い日常」を「情緒のあるシチュエーション」に乗せて書くのがめちゃくちゃうまいです。
私の好きな歌のひとつ、アイカツのカレンダーガールの歌詞を引用させてください。

なんてことない毎日がかけがえないの
オトナはそう言うけれどいまいちピンとこないよ

シャニマス、本当にこれだと思っていて。
この歌詞、子供の頃は「わかる!」ってなるし、大人になって見ると「ううう………」ってなると思うんですが、シャニマスはその「ううう………」を無限に感じられます。

かけがえのない日常を、子供たちはかけがえのない日常だと思って過ごしていません。彼女たちにあるのは「今」です。
ところが、シャニマスは「大人」のプロデューサーや「女子高生を卒業した少し大人の子」たちがいます。
なので、たまにさり気なく「なんてことない毎日がかけがえないの」という「大人の目線」が加わります。この日常がいつまでも続くものではないと知っている、そんな彼らの「憧憬」がほんのりと加わって、けれどほとんどは「大人はそういうけれどいまいちピンとこないよ」で構成されて、コミュは最強になります。

突然ですが、リズと青い鳥は徹底的に大人の目線を排除して、高校生ってこうだよね〜高校の頃こんなことあったわ〜という俯瞰の目を持たせないように作られたそうです。その結果、リズと青い鳥は緊張感と、真に迫る感情が生まれたのだと思います。
一方のシャイニーカラーズはどうなのかというと、「大人」であるプロデューサーの視点で物語が進行するので、大人の目線がたびたび挟まれます。そして、それがノスタルジーと憧憬を生み出し、完成された箱庭を覗き込むような、大切にしまっておきたいアルバムのような、そんな感覚を引き起こしています。
もちろんノスタルジーばかりでなく、大半のコミュでは楽しく可愛くわちゃわちゃしているのですが、ときたまふっと見せる憂いのような、透き通っているのに底の見えない水のような、ある日吐いた息が白くなって冬を知るような、そんな話が展開されて、目が離せなくなります。

■好きなコミュと好きなところ紹介
好きなところについてはあまりにも長くなるので、いくつかの好きなコミュの紹介と共に話します。イベントに関しても、長くなるので今回は割愛します。もちろんイベントも素晴らしいです。
なるべくネタバレはしないです。ネタバレとする基準はコミュ全体の流れや一番大事な会話、仕掛けなどには触れないくらいで、シチュエーションや場所、一部の会話は紹介します。
ややメンバーに偏りがあるのは許してください。(こういうコミュをあてがわれがちなキャラが好きです)

■小さな夜のトロイメライ「OFF:その甘さは時をかける」

プロデューサーが主人公のコミュです。普段のプロデューサーは視点にはなっていても、メインで心を動かしたり気持ちが変わったりする主人公はキャラクターです。しかし、このコミュではプロデューサーに過去があり、エピソードがあり、プロデューサーの人生に対してアイドルが働きかけるような内容になっています。

このコミュで印象的に使われるのがココアと図書館です。
コーヒーは大人で、ココアは子供。プロデューサーはいつもはコーヒーを飲みますが、古くからの友人と会って、気持ちが戻ったような中でココアを選び、そして同じくココアを手にしている子供のめぐると出会います。
ところが、二人はどうあっても大人と子供で、生きる時間が違うことが図書館のエピソードを通じて描かれます。二人は同じ図書館で時間を過ごしますが、顔を合わせることはありませんでした。これは、どんなに昔に戻ったような気がしたところで、夢想をしてみたところで、二人の過ごす時間は圧倒的に違っていることの表れだと思っています。

「宿題の山もいつか懐かしくなるさ(意訳)」
「うう、懐かしくなってみたい……」
という会話が好きです。大人と子供。

■チエルアルコは流星の

きみはとってもきれいな色だよ、チエルアルコめぐるの話」という個別記事を書いています。ネタばれこみですがよければどうぞ。

■ふらここのうた「ふらここ」

このコミュでも、プロデューサーの憧憬が描かれます。
このコミュの中で重要なのはカードタイトルにもコミュタイトルにも使われているぶらんこでしょう。お互いに自分のほうが背中を追いかけている、と思うような状態ができるのはぶらんこだからです。
ふらここのうた、は凛世が1周年記念サイトで「鞦韆は漕ぐべし」と言っているので、「鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし」を指しているのだと思われます。
凛世は和歌、短歌をよく引用するのですが、シャニマスのライターは教養があって…と言いたいのですが、教養という言葉が正しいのかもわかりません。
ただ知識があるだけでなく、それを描くときにひけらかすでないさりげなさや、やりすぎず不足しすぎずの適切な説明、効果的で印象的なファクターとしての使い方、ファクターの選び方、そもそもキャラクターの会話の賢さ、すごいです。
たとえばこのコミュは「ふらここ」でないと成立しませんし、先程のトロイメライめぐるは大人も子供も不自然なく使用する場所として「図書館」が選ばれました。そうしたひとつひとつの場所やシチュエーションが、がっちりコミュの内容と絡み合って、どこから着想したらこんな緻密なものができあがるんだ…と私はいつも慄いています。

■娘・娘・謹・賀「明けまして」

先ほど話した、「何気ない日常」を「情緒のあるシチュエーション」に乗せて書く、の最高峰です。
このコミュは、特別な会話が交わされるわけでもなく、ただキャラがわちゃわちゃと楽しそうに年末年始を過ごすだけのコミュです。が、シチュエーションがすごいです。
「初日の出を見た帰りにみんなでガチャポンを回す」
美しい情景で、あまり普通は思い浮かばない状況でもあります。
会話ばかりなので、背景に関しての描写は多くありません。それでも、1月の冷たい空気感、まだうすぐらい世界、誰もいないガチャポンコーナー、そうしたものを私は想起しました。
初日の出というイベントはそれほど大事じゃなくてガチャポンのほうにこそ盛り上がる日常。美しさを感じます。

■夜夜中ワンダーラスト「テイクオフ!」

このコミュは先ほどの謹賀と逆で、「昔あったなぁ、というシチュエーション」に乗せて読者側のノスタルジーとともに垣間見える「キャラクターの関係の発展の尊さ」が肝だと思っています。
シチュエーションは絵を見てもらえればわかりますね。「深夜にみんなでコンビニに買い出しにいった帰り」です。
仲良くなったんだな~~~~~~~という気持ちで胸がいっぱいになります。

シャニマスはさりげない距離感の描写も最高です。
この子とこの子はこういう関係です、というような分かりやすい設定やセリフはなく、あるのはエピソードと描写だけです。なので最初は少し把握するのが大変かもしれません。でも、それゆえにどこをとっても関係性が薄くなく、一言では表せないような解像度を持っています。

■凛世夕町物語

コミュごとにバラバラのシチュエーションの点を、手紙という線で繋いでいます。凛世はおそらく手紙を書いているのですが、「今手紙を書いていて」という言葉もなく、宛先も特に示されません。「拝啓」と言う言葉で手紙を書いていることを悟らせ、わちゃわちゃしてる内容が全て「寮暮らし」につながるところから「ああ実家に向けて書いてるんだな」と悟らせる手法、すごすぎて目眩がします。
ユニットのメンバーは本当にきゃっきゃしてるだけなのですが、時折挟まれる凛世のモノローグやトビの鳴き声により雰囲気は抜群です。

私が特にすごいと思うセリフは3つめのコミュにあるこれです。
『急行はよくわからないので、各駅停車に乗ります』
凛世、田舎からでてきたという割には全然田舎っぽくなくて、訛りもないし生活に困ってる様子も見せません。でも「急行はよくわからないので各駅停車に乗る」という田舎っぽさのリアリティがすごい。
こうしたさりげなく緻密な描写が重なることで、キャラクターのリアリティが凄まじいことになるのでしょう。

■凛世花伝
ネタバレなしで伝えるのが難しいです。見てください。

■娘娘金魚
推しコミュです。見てください。

あと、ここまでシナリオをほめたたえましたが、これは深読みタイプの私がシャニマスと相性がいいからで、ただ仲良くきゃっきゃしてるばかりで山場や盛り上がりがなく面白味のない話だと感じる人もいるんじゃないのかなとも思います。
先ほど紹介した娘娘謹賀も「よくわからん」って感想を見たりしたので…
ただ、質がいいのは確かですし、相性のいい人にはめちゃくちゃ刺さる、相性普通の人でも楽しめるレベルだとも思っています。

終わりに

さて、ここまで絵とポエムとシナリオがいいという話をしましたね。
あれ、弱点が…ない…?となりますが、実はシャニマスには大きな欠点があります。

ガチャに!天井が!ない!!!!!!!

どうか、どうか天井をください。

あとゲームシステムも人によっては難しいみたいです。(私はパワプロをやっていたので割とすんなりできました)
ゲームシステムを理解しても、優勝できるようになるまでには、そこそこ試行回数と時間が必要です。せっかく始めてもなかなか優勝できずに投げてしまう人もそこそこ見ました。その苦難を乗り越えてこそ、とか言いません。もうちょっと優勝が楽になればいいのに…と思っています。


ソーシャルゲームは生き物なので、今後いろいろと変わってしまうかもしれません。それでもこの一年は素晴らしかったし、これからもきっと素敵に進んでくれるんじゃないのかな、と未来に期待してしまうのです。
まだまだシャニマスの好きなところはあるのですが、これ以上踏み込むと妄言が強くなるのと、いい加減1 万文字を超えたのでこのあたりで筆を置くことにします。

シャニマス楽しいよ、という話でした。

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