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【物語の現場044】嵐子と厳四郎がたどり着いた京都九条通(写真)

「狩野岑信」の第五十四章で、嵐子と厳四郎がめでたく結ばれ、新天地に向けて出立しました。

 写真は、嵐子と厳四郎が店を出した九条通の朝の景色(京都市南区、2021.8.26撮影)

 二人はここで退場となります。訪れた柳生の里の雰囲気が素敵すぎて、この二人に当初の想定より多くの紙数を費やしてしまいました。

 ところで、この物語の主人公・狩野吉之助(狩野岑信)は、後の奥絵師四家の一角・浜町狩野家の初代であることはご承知の通り。そして、私が最初に書いた小説「融女寛好」の主人公である天才女絵師・小杉栄は、その浜町狩野家の五代目当主・融川寛信の門下です。

 二つの物語はそうした関係にありますが、もうひとつ。実は、「融女寛好」の中に、嵐子と厳四郎の子孫が登場しています。栄の妹弟子・こま。高級扇店の跡取り娘である彼女は、嵐子・厳四郎夫妻を初代とするとその六代目の子孫に当たります。

 嵐子と厳四郎の孫の一人(こまの曾祖父)が分家し、江戸に扇店を出しました。その後、この家は女系となります。祖母、母と店を婿さん任せにしてきましたが、おこまは、女主人として自ら切り盛りして行く覚悟です。そして、そのための度胸と才覚を持った娘です。恐らく、嵐子と厳四郎の遺伝子が突如活性化したものでしょう。

 さて、次章から物語の舞台は江戸に戻ります。隠し金山騒動の決着、そして、いよいよ元禄の世を震撼させたあの大事件が。併せて将軍継嗣を巡る争いも最終局面へ。また、夫婦二人だけだった狩野家に一人加わり・・・。前途多難、暗中模索。吉之助の苦労は増えるばかり。如何なることになりますか。乞うご期待でござる。


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