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ストレプトコッカスマイティス

貴方と一緒にいると信じられないくらい楽しかったわ
病んだ時間と動けない肉体から解放されたみたいな気分になれた。

貴方と出逢ってから私がずっと探し続けてきたものがとてもくだらないもののような気すらしてきたの…。

“あぁ!
また接点が消えてしまう”
独りぽっちの世界に投げ出されることを怖れ過ぎていたみたい…。

気狂いじみた孤独への不安を打ち消す為のあらゆる苦闘に時間という時間を費やし私はもうクタクタよ…。

私きっといつだってどうかしてない時なんか微塵もない人間なんだわ…

いつだってどうかしているの。
みんなの中で動いているピストンが私は動いていなくてみんなの中では動かなくていい車輪が私の場合 年柄年中回りっぱなしなのね…。

だからリツ然とし過ぎてしまうし傷つき過ぎてしまう…。

普通じゃないってなんて生きにくいことなんでしょう…。

酷く極端な世界を行ったり来たりして酷く切羽詰まった状態にいるの。
あぁ誰かそのこと解って頂戴!

月の上を飛ぶように歩く私…

昼も夜も…

酷い温度差にしょっ中悩まされながら…

でもこの大いなる自然現象を自分でコントロールなんか出来やしないわ

月の表面に足がつくのを嫌がっている私、
どうかしてるわ!
上へ弾んでいる時だけなの嬉しいのは…

真昼はハンダの溶ける200℃
夜はドライアイスの溶けるマイナス200℃…

私はこんなにお間抜けなのに接点無しで生きているわ!
見て頂戴!

貴方達にはとても出来ない芸当よ!

でも私、自分の体温を保つだけで精一杯なの…
真空パックの中の恋だったのね。

ストレプトコッカスマイティスは私!

とんでもない事件に巻き込まれてきたの私…
雨に打たれて矢のように逃げてきたわ

自分の愚かさが癌だったのに…。

なのに人を疑ってばかりいるわ。

あぁもう疑いたくない!
憎みたくない!!
この世の誰ひとりとして………!

貴方はチャンスを持っているんでしょう?
私もう貴方を怖れちゃいないのよ。

あんな風な屈託のないゲームがどれだけ私には重要なことだったか貴方に解る?

低次元でつまらないことだって人は皆言うけれどでもどんなに私の人生に深い影響を及ぼしたことでしょう。

私、貴方のこととそのことばかり考えていたわ。
まるで出し抜けに小さな子供に返ったみたいに…。
あぁ!
だけど私みんなに云われるの…
『風変わりでヘンな娘』だって…。

それを言われるのがどれだけ辛かったか…
よく独りでベッドに身を投げて泣いたわ

まるでダムダム弾で胸を撃ち抜かれたみたいな気持ちになって何日も立ち直れなかった…

あぁ貴方にもう一度だけでもいい、

逢いたいわ!

まるでシャッターを切るように光の速度で私は次の地点へ飛び移っている。

だから速く貴方のそのカードを使ってちょうだい。

私は私のチャンスを貴方に上げたのよ。

私が生きているのかそれともどこかで野垂れ死にしているのか解らなくなる前に一回だけ私を速く捕まえて!

速く速く!

私を貴方だけのものにして欲しいの!

速くしないと私もう死にそうよ

でももう少ししたらすぐまた平気になるわ…
でも平気になった時私はもう貴方のよく知っている私ではない…
きっと誰か知らないストレンジャー…

この酷い温度差の中で私はなんの接点も無しで生き続けているの!
そうして産み出し創り上げ編み出し紡ぎ…
私はどんどん姿を変えてゆく…
まるでカメレオンのように。

貴方達ならきっと耐えられずにとうに死んでしまうでしょう。

でも見て頂戴!

真昼はハンダの溶ける200℃
夜はドライアイスの溶けるマイナス200℃…

私は生きている!


ストレプトコッカスマイティスは私!

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