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『逃避行』後編 降服の白いマスク

そしてジョニミッチェルのHejira(逃避行)を最後まで意訳するに至った私は、改めて昼休みの屋上で白いマスクを外した。……

「希望はある。だけど同時に希望はない。
今の私にはすべてがそんな風に思えてしまう。
大きな移ろいの中の、ほんの一部の出来事しか見てないって、そのくらいは分かってる、でも
太陽の周りを回ってると言ったって、
どうすればそんな壮大な視点に立てるのよ。
いつも誰かに縛られているのに、どうやって?

暖炉から立ち上る煙は、白い旗なんだわ。
愛に縛られた人々が、あちこちで降服宣言しているのね。
月に向けて白旗を振る人もいれば、
モダンな銀行のガラスに反射してたり、
ホテルの部屋の窓からも白い旗が立ち上って……」

※ 「白い旗」は、1番の歌詞にある「That shell shock love」=戦争神経症的な愛、と紐づいてると思われ
あ、ちなこれ3番の意訳

Hejiraに倣い、マスクを白い旗に見立てて空に突き上げてみる。ジョニミッチェルに屋上のマスクを追記してほしいよ、私の降伏宣言。私が掲げたところで誰に届くだろう。パンくずを期待した二羽のセキレイ以外に誰が。

恋愛、仕事、規範、常識とか、役割とか、社会構造とか、私を「私」という枠に押し込めるものすべてから逃げてしまう。道理の全てを知ったかのように中途半端に逃げ出しては寂しがっているのだけど。

言い訳だよね、ごめんね。

もし後ろから、ひとりで何やってんのと声をかけてくれたら、振り返ってちゃんと説明したい。本当は話しかけてほしいし、決めポーズも練習したよ?

「ギャングスターに憧れるようになったのだ!」

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あれ? ジョースター家にジョニミッチェルいたっけ?





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