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連作短編「つづれおり」

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春夏秋冬、里山の四季がゆっくりと心をほぐしていく物語です。完結。
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記事一覧

1・冬「結びのことば」

今朝起きたらすごく寒くて、磨りガラスから射す光がやけに明るいなーと思った。 都心から電車…

未琴
4年前
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2・もうひとつの冬「バレンタイン・すとらてじー」

「くるみちゃん!サンキュー!」 「ホワイトデーはお返しくれるんだよね?」 「あったりまえじ…

未琴
4年前
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3・春「マカロンな彼と桜色のあたし」

テレビのニュースによれば、景気はやんわりと回復傾向にあるそうだ。 それは何処か違う世界の…

未琴
4年前
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4・夏「川天狗のレガシィ」

それは陰惨な事件と言う他無かったよ。 不具ある者が、人里離れた山奥に生涯閉じ込められる……

未琴
4年前
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5・秋「下弦の月、出づるところ」

「すみません! メールで今送りました!」 「……あー、来ました来ました。良かったです、今回…

未琴
4年前
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6・終章「思春期おやしらず」

バシュッ、ズドオオオン、ゴッ、ズズズズズズ… 「今日こそ歯医者に行きなさい!」 母さんが…

未琴
4年前
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つづれおり・後日談「ある晴れた爽やかな日に」

現代文の授業中だ。教科書には中村草田男の俳句。 こんな欠伸の一つも入れたくなる長閑な季節に、オレの歯は生え始めたんだってな。 先生の上っ面で耳触りのいい解釈を聞き流し、教室のガラス窓の向こうを見遣った。 確かにあそこの小さな公園もこんもりと緑が生い茂るが、 山の中、周囲を鬱蒼と木々に取り囲まれどこにも逃げ場のない田舎……あの日木室さんが語ってくれた情景を、オレは頭に描いた。 記憶の無いページにまた一つ、上書きしとくよ。 「万緑の中や吾子の歯生え初むる」

つづれおり・後日談「ある小春日和の日に」

「ゆっき、チョコもらった? オレ3個」 部屋に来てまで自慢しやがってバーカ、小学生のガキが…

未琴
4年前

つづれおり・後日談「ある目映いばかりの陽射しの日に」

「わざわざいいのに」 「お祝いに来てもらっといて、まともな挨拶も出来ないの? 呆れた。あん…

未琴
4年前