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電子契約書の有効性についての裁判例出てきましたよ〜〜

みなさん、こんにちは〜😀
弁護士法人えそらの弁護士の鹿野です!!

先日、電子契約書って法的に有効なの?というお話をさせてもらいました✨

https://note.com/kano_esola/n/nb40bd3b830dd

復習

その記事では、法的に有効ってどういうこと?
何か問題があるの?
というところから、お話をして
最終的には、
●立会人型の電子契約の場合は本人確認がどこまでできているといえるのだろう
●そもそも使用する側のアカウント管理はできているのかな
など課題があるのが正直なところです
とお伝えして終わりました😋

今日のテーマ

さて、今回は、その電子契約書について、最近すこ〜しずつ裁判所の判決が出はじめているので、ちょっと紹介させていただこうかなと思います!

東京地裁令和1年7月10日 貸金返還等請求事件判決

A社は東証一部の上場企業です。B社はA社の取引先会社でした。
その後、A社はB社を子会社化し
A社とB社は※相互極度貸付契約を電子契約で締結して、
A社からB社に対して合計7億1205万2275円を送金しています。
しかし、色々とあって、A社とB社の間で子会社化をやめよう、資本関係も解消しようということになりました。
そこで、これまで複数回にわけて送金をしてきたB社への貸金を1つの貸金契約に整理し直しましょう、ということになり、A社とB社は※準消費貸借契約を書面で交わしました。要するに、極度額決めて貸し借りを繰り返すのはやめましょう、子会社でもないなら、そういう貸し借りはリスキーだし、いったん、借りているお金を綺麗に整理しましょう、ということです。
準消費貸借契約内では、分割でちょっとずつB社がA社に返済をすることにしていたのですが、B社が返済を怠りました。1回でも返済が遅れたら、残りの金額一気に返せよ、と約束をしていたため、A社はB社に対して、残額を一気に請求し、裁判となったのです。

この裁判でB社の主張は次の2つです。
①準消費貸借契約書にはB社のハンコが押してあるけど、それはA社が勝手に押したものだから、その契約はB社の意思に基づかない契約で、無効なんだ!!
②そもそも電子契約書だって、A社が勝手に作成したものでB社は知らん!

〜用語解説〜
相互極度貸付契約というのは、お互いに極限この金額までは貸し付けますよっていう契約のことをいいます。その限度額の範囲で繰り返し、貸し借りをする融資契約です。
準消費貸借契約というのは、例えば商品の購入金額を後から支払いますという約束をしたんだけれども、それは代金分のお金を借りてるのと似たようなことだから、消費貸借契約(お金の貸し借り契約)にしてしまおう、という契約の意味変みたいなものです。今回もほんとは極度貸付契約だったのですが、極度貸付契約を終わりにしたから、それまで貸したお金を、すべて一気に貸したことにして契約を作り直しましょう、ということですね。

さて、この裁判1個目の反論について
確かに準消費貸借契約当時、A社がB社のハンコをあずかっていたし、実際、A社がB社のハンコを押していたんです。ただし、A社がB社のハンコを使うときには、B社の決裁を必要とすることにしており、今回も「準消費契約を結ぶためにB社のハンコ使いますよ」という決裁書にB社はハンコをおしていました。
→この事実を受けた裁判所は、
「そもそもB社はA社にお金借りてたでしょ、関係を清算しよって話し合いもしたんでしょ、ハンコ使うよっていう決裁書にもハンコおしてるじゃない」と言って、B社の反論を退けました。

次の反論、電子契約書の有効性についてです。

これは、前回の電子契約書の記事にも書いた通り、
そもそも使用する側のアカウント管理できてるかな
という問題ですね。

これについて裁判所は
「B社はA社からお金もらってたんでしょ、お金清算するってことで準消費貸借契約だって結んでるわけじゃない。そもそも電子契約が無効なら準消費貸借契約なんて存在しえないでしょ。準消費貸借ってのは既存の契約の意味変なんだからさ。そういうことを考えると電子契約書はB社が自分の意思で締結した契約だとしか言いようがないね」

と判断しました。

<考察>

この裁判例は、電子契約書の仕組みに対して真正面から向き合ってその有効性を判断した裁判例ではありません。
前後の出来事に着目をして、この流れがあるんだったら、ちゃんと契約してたでしょ、という考え方です。
そういう意味では、まだがっつり電子契約書の有効性を判断したとは言い難いですが…

でも、電子契約書が問題となったときに、その前後の流れからその有効性を判断してくれるんだな、という意味ではいい先例になっています。

おわりに

さて、これは前回の電子契約書の有効性についての記事における懸念点が取り上げられたような裁判例でした。

もちろん、契約の有効性が問題にならないように、アカウント管理をしっかり徹底しておくことはとっても大事!
でも万が一、その点が争いになってしまったような場合には、その前後の流れから裁判所が有効性を判断してくれるんだ、ということがわかったので

・やりとりは電話や口頭だけですませずにメールで残しておく

というのは徹底した方がいいかもしれませんね!

ということで今日はここまで〜

ほいじゃ!!

弁護士法人えそら
弁護士 鹿野 舞

#弁護士 #予防法務 #電子契約書 #電子署名 #中小企業 #個人事業主  

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