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【ライブレポ】忘れることのできない最高の一夜「大ナナイト vol.143」

最高の夜でした。
これ以上の言葉が本当に見つからない。開催日の4日前にふと思い立って取ったチケットがこんなに熱い夜に連れて行ってくれるなんて夢にも思わなかった。音楽には夢があって、夢を見せて、夢を叶えてくれるそんな気がする。物理的にも心情的にも熱い夜だった。そんな思い出を少し。

<O.A. ヤユヨ>

ライブではじめましてをするバンドは久しぶりでした。事前知識は、「さよなら前夜」のMVと原色のデザインが鮮やかなCDのジャケットくらい。どんな演奏と世界を魅せてくれるんだろう、どんな音楽をするんだろうと少し緊張しながら開演を待っていました。1曲目は、今日の最高のライブを予言するかのように始めた「いい日になりそう」から。シンプルに声がいいな。聞いてて気持ちいい開放感と芯がある強さを感じた。続いて演ったのは、「futtou!!!」。黒くて長い髪を振り乱して踊る様子に魅せられ、自然と会場も揺れだしていた。この曲の心がフツフツと湧いてワクワクしてくる感じ好きだなあ。"今日は自分たちが高校生の時から見ていたようなバンドが沢山いて緊張している。でも気合いは十分、スリーマンの気持ちで来ました"そう声高に笑顔で語るリコちゃんの様子から音楽をバンドをライブを全身で楽しむ様と覚悟が伝わってきた。次に演奏したのは「おとぎばなし」。さっきまでの曲とはうってかわって、色気のあるしっとりした曲。艶やかな歌声に貫かれたし、サビのフレーズが刻むリズム感が好き。そして「あばよ、」「さよなら前夜」と自然と笑みがこぼれるような無邪気さが愛しい曲の数々で駆け抜けていく。どこかあたたかで懐かしい楽曲とメンバーが目を合わせながら楽しそうに演奏するチーム力を見て、純粋にバンドやりたいなと思わされました。本当にここまで初見で魅せられたバンドは久々な気がしてすごく嬉しかった。短い時間だったけれど、強く強く印象に残るライブでした。

KEYTALK

会場の熱も高まりながら次にバトンを受け取ったのはKEYTALK。ご存知の通り大本命でございます。CDJ以来で今年初めてのKEYTALKのライブで楽しみにしていた。お馴染み「物販」のSEでステージに飛び出し客席を煽る煽る。熱狂の渦の中、1曲目に切り出したのは「MURASAKI」。え、怖。何このバンド。ワンマンでもないのに私の大大大好きな曲をしかも1番手に演ってくれる大盤振る舞い。イントロのベースで普通に叫びました。本当に全霊長類聴いてくれ。私がステージに恍惚となる中、すかさず流れたのは「S.H.S.S.」のイントロ。一瞬時が止まると同時に、声は出せずとも会場中が力強く拳を掲げる。Aメロからクラップの合いの手が止まらない。スペースハイウェイスピードスター。会場中をかっさらって、とんでもないスピードで盛り上がりは最高潮に。その熱を切らすことなく、懐かしいギターリフが...。義勝さんが両手を合わせて頭上に突き出すこのポーズから始まるのはあの曲、「BEAM」だ。ここ本当に2022年?メジャー1stアルバム『OVERTONE』のリリパに来たのかと思った。もうコロナ禍じゃなかったら、モッシュしてたわね。そのままの流れで「sympathy」を。サビの合いの手が揃いすぎてワンマンかと思ったわね。KEYTALKは多彩な楽曲故に対バン相手にコロコロセトリが変わることが私の中で話題だが、ここまでとは...。対バンに行ってみるもんだな。KEYTALKとフレデリックが前回に対バンをした2015年に戻ったかのような選曲に会場の熱はさらに高まる。MCの頃には汗だく。レモンサワーを飲み干す勢い。半袖で来れば良かったよ本当に。KEYTALKならではの独特の緩いMCでは、主催の大さんに6年前のギャラを請求しながら、Amのハッピーバースデー歌うという…どえらい空気になりすぎて笑った。フレデリックの久々の対バンに昔みんな(巨匠以外)でプリクラを取りに行った話をしたり、巨匠が武正をいじるも武正への音の返しが弱くて何言ってるか聞こえずにつっこんでた下りとか、すべったりウケたり独特の空気感で楽しく進むMCに、あ〜KEYTALKだな〜思ったり。微妙な間と流れのまま次の曲に進もうとしたのは笑った。そんな感じのなんやかんやで次の曲へ。軽快にスネアを叩く音で始まったのは、「Love me」。フロアがジャンプで揺れる揺れる。弾き語りで聴くのとライブでやるのとまた違った良さがあるなあ。そしてそのまま「コースター」へ。もう!ファンをどれだけ喜ばせればいいの!!!と半ギレになりながら拳を高く突き上げる。2サビ前の「ちょっと触ってみたいだけ」のレスポンスパート。コロナ禍でどうしてなかなか声が出せないので、原曲通り義勝さんが歌う。逆にライブでレアなところを聞けて嬉しかったな。MCを挟み、次に披露したのは「bule moon light」。久々聴けた.....。『TIMES SQUARE』大好き野郎なので歓喜。インディーズ時代の良さを噛み締めてました。そして時は現代へ、最新アルバムのリード曲『ACTION!』から「宴はヨイヨイ恋しぐれ」を。時代と共に様々な楽曲を世に出して変わっていくこと、進化していくことは沢山あるけれど、インディーズ時代から今まで祭りソングを出し続けているのは変わらないなとふと思ったり。音源聴きながら思ったことだけど、"よいよいよいよい"の部分、巨匠は"よーぃよーぃよーぃよーぃ"って感じだけど義勝さんは"よいよいよいよい"って刻んでるねっていう話を一応しておきます(伝われ)。話は戻り、そのまま同じアルバムから「大脱走」を。フロア大盛り上がりの中、MCで”あと2曲”という言葉。"踊れる準備はできてるか!"と叫び始めたのは、「MONSTER DANCE」と「Summer Venus」。これでフロアが踊らないわけがない。いつも以上にキレキレで駆け抜けた60分にフロアは汗だく、春なのに夏の予感すら感じさせる贅沢なライブでした。


フレデリック

大トリを務めるのはフレデリック。大変失礼ながら、フェスでしか見たことなくてライブハウスでどんなライブと選曲をしてくるのか楽しみでしか無かった。お洒落なSEで登場し、“60分1本勝負!”と告げて「名悪役」からセトリがスタート。色気すごぉ...。あれこんなかっこいいっけ(二度見)をしました。シンセの明るさだったりキャッチーな部分があるけど、そのメロディやベースラインが少し和を感じる気がして好きでした。次は「TOMOSHI BEAT」。自然と体が踊り出すグルーブに会場中は既に虜に。確か『テイルズ オブ ルミナリア』というゲームのOPにもなっているんだよね。ちょっとあとでチェックいたしますね。

その後に間髪入れずにぶち込んできたのがこの曲、「オドループ」。この曲で踊らないわけがないでしょう。有名曲をこんな前半で演るんだという驚きはかなりあって、その後のセトリにもかなり気合いが入っているんだろうなとモチベがさらに高まる。前半KEYTALKで振り絞った体力をさらに振り絞って踊りきった後は、横揺れで軽やかに「ナイトステップ」を。夜が似合うな…。そう思っていると、次に鳴らしたのは「ネオンピクニック」。繁華街の路地裏1本行った所の誰も知らないようなジャズバーとかにいそうな妖艶さ(すべて虚言です)。良いお酒を飲みながらうっとりしながら聴きたい。その後会場がひときわ沸いたのが「ラベンダ」。健司さんの綺麗な歌声が響いていて人類惚れるなと思いましたよ、本当に。そんな中で次に披露したのは「wake me up」。心地よいリズム感の中で刻まれる変拍子刺さる~、刺さるな~。そして待ってました「KITAKU BEATS」。イントロが流れた瞬間に思考よりも速い速度で体が動き出してしまう。会場の盛り上がりもさらに一段階ギアが入る。音楽ってすごいよね…。アーティストやバンドによって様々なコンセプトや形式のライブが開かれているな日々と思う。人生の不条理に抗う勇気をくれるバンド、泣きたい日に寄り添ってくれるバンド、日常の何気ない幸せを教えてくれるバンド、圧倒的芸術世界で心を満たしてくれるバンド。本当に音楽に乗せて届ける思いやライブは様々だけど、この2バンドのライブは”全力で遊ぶ”という感じがして大好きなんだよな~。MCで言っていたけれど、”この2年くらいコロナでバンド活動が大変な時も絶対に多くあったはず。それでも続けているそのことが素晴らしい。その中でKEYTALKはあまり弱さや苦しさをあまり見せないで楽しいを全力でやっている”と(半分くらい妄想かもしれない要約)。確かにその通りだなと思うし、両バンドその色があって、楽しさを忘れずに続けていてくれることに感謝して応援し続けたいなと思った。バンドはすぐ解散してしまう儚い物だし、人間はいずれ死ぬので。同じ時、この時代にこの対バンを経験できて良かった。経験は消えない。そんなことを考えている間に、そのままクライマックスへ。「バジルの宴」で会場はいい音楽に酔いどれ状態。続く「ジャンキー」。待ってましたと言わんばかりに会場が飛び跳ねる。言葉はもういらないなぁ。ただひたすらフレデリックの音楽の中毒になって、楽しい時間でした。本編はここで終了。深々と長く頭を下げてステージを去るメンバーの姿がとても印象的だった。そして、再度割れんばかりのアンコールのクラップで登場。アンコールで披露したのは、須田景凪とコラボした楽曲「Answer」。初めて聴いたんだけど、コラボしたと言ってもやっぱりフレデリックの色が強く残っていてこれだ~!となった。すごいね、コラボしても色が消えないっていうのは。格好良い。何曲かやるのかなと思っていたんだけど、それぞれの持ち時間もたっぷりだったので60分1本勝負もこれにて幕締め。

健司さんがMCで言っていたが、”ヤユヨこみで今日はスリーマンだ”と言う言葉は本当にその通りで、どのバンドも違った色を持っていて、それを最大限に輝かせながらぶつかりあった綺麗な一夜だった。多分今後5年くらいはこの夜のことを忘れない。最高の一夜がそこにありました。

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