300名とのキャリア面談を行わせていただき分かったこと~アルゴリズム思考からマンダラ思考へ~
こんにちは!
100%個人起点エージェントのミライフでキャリアデザイナーをしている菅野です。
このnoteでは、あまり表立って語られることの少ない
という話について、自分の体験と考えたことをもとに書いてみようと思います。
タイトルや目次からして「アルゴリズム」やら「マンダラ」やら、およそキャリアっぽくない言葉が並んでおりますが、図も多めに入れていますので、ぜひ気軽にご覧いただけたら嬉しいです。
では、さっそく始めていきましょう!
アルゴリズム思考とAIマッチング
さて、私自身、今でこそ一人ひとりの方に正面から向き合う形で仕事をしていますが、もともとはBtoBのマーケティングに携わっていたこともあり、
といった考え方を、キャリア面談に対して持っていました。
イメージとしては以下のような、YES/NOが分かれば自動的に適切な答えが定まるような思考です。
これを「アルゴリズム思考」と名づけまして、適切な初期条件(目の前の方の現状や希望条件)が分かれば、最適な答え(どんな環境を目指すべきか等)が分かるといいな、と考えていたのです。
ただ、これは「キャリア相談もAIに任せた方がいいんじゃない」という考えの根本にもなりうるものです。
そして、多くの方がキャリアについて考えるときに、このように「一方向に流れる」ように考えがちなんじゃないか、と思います。
もしキャリアがこのような形で扱えるテーマであれば、何をどんな風に考えればよいか、とても分かりやすいですよね。
その場合、型化どころかAI化して、自分の状況と希望を伝えれば「XX社の△△職を受けるべきです!」などと、最適な回答が出るようにすればいいわけです。
実際、大手の企業さんではこのようにAIマッチングを発展させて、希望に応じた求人を提案することで転職機会を増やしているそうです。
ですが、今回のテーマはあくまでも「転職」ではなく「キャリア面談」。
そもそも転職すべき?という問題もその中に含むわけで、単純にマッチングを最適化すればOK、とはなりません。
アルゴリズム思考からマンダラ思考へ
では、キャリアというのはどのように扱うことが適切なテーマなのか?
それを図にしたのが、以下の「アルゴリズム思考からマンダラ思考へ」です。
四角が連なっている左の図から、丸が並んでいる右の図に変わっていますね。
この思考の変化のポイントとして、以下3点を想定しながら図を作成しました。
ここからは3つのポイントを説明しつつ、キャリアをテーマとした場合にアルゴリズム思考からマンダラ思考に切り替えると何がよいか?というお話をしていきます。
①一方向・単層ではなく多方向・重層である
まず見た目で大きく違うのは、マンダラ思考は方向が一方向ではなく、中心から外側に向かう放射状になっている、ということです。
上の図では大きく「ワーク」と「ライフ」の方向性があり、それぞれ以下の項目を含んでいます。
(余談ですが、ミライフでは「ワークライフバランス」ではなく「ワークライフブレンド」や「ワークライフミックス」という言葉をよく使います。「バランスを取る」という二項対立ではなく、「ワークが充実するからライフが豊かになり、ライフが豊かになるからワークも充実する」という相互関係にあることを示すもので、自分もとても気に入っている言葉です)
ただしもちろん、この5項目ですべてが整理できるわけではありません。
むしろ実際には、以下のようにたくさんの要素がそれぞれの項目に含まれるはずです。(要素もこれで全部ではなく、状況に応じてどんどん増えると思います。)
そしてここで重要なのが、色分けはある程度行っているものの、1つの要素が複数の項目に関わる場合がある、つまり重層的であるということです。
例えばオレンジ色の「役職」という要素は報酬面に含んでいますが、「どんな仕事を担当するか?」という観点では赤色の「役割」にも関わります。
つまり、「役職」について考えようと思うと、当然報酬だけでなく業務内容まで考えなければなりません。
(とても単純な例ですが、役職についた方が報酬は高いが、業務範囲は当然広くなるなど)
こうした要素同士が重なったり領域をまたいだりする関係はアルゴリズム思考では扱いにくく、上記のようなマンダラ思考の方が適している、と言えるわけです。
②起点は定まっておらず、要素同士が連鎖する
続いては、起点=面談の始め方のお話です。
①でお伝えした通り、マンダラ思考では特定の方向性を定めないので「どこから始める」という決まりがありません。
これは実際の面談の状況でいうと「どんな話からスタートしてもいいよ」ということです。
ときどき、他の人材エージェントと面談をした方から
という感想(と若干の不満)を伺うことがあるのですが、それは結局、起点と流れを定め、その流れに沿って進めていくアルゴリズム思考の弊害と言えるかもしれません。
場合によっては「直近〇ヶ月以内に転職をしないなら、そもそも支援をしない」というケースもあるようですが、それはこのお話でいうと「アルゴリズムの起点で弾かれてしまった」と考えられます。
そうではなく、「転職するしないに関わらず、1回ちゃんと話してキャリアについて整理しましょうね」というのは、スタートを定めないマンダラ思考だからこそ、扱えるものです。
そして、ここからが面白いのですが、マンダラ思考においてはある要素から別の要素まで、その距離に関わらず連鎖して影響しあう、ということがよく起きます。
そちらを示したのが以下の図なのですが、ご覧の通り遠くにある要素同士がつながって、全体の中で浮かび上がってきています。
つまり、①でも見たように各々の要素が重層的(複数の項目に含まれうる)ことに加えて、その要素同士がどんどんつながっていくので、ある1つの要素だけを取り上げて考えることの意味があまりなくなってしまうのです。
実際、先ほど挙げたような「直近〇ヶ月以内に転職するか?」という話でさえ、面談の中で「まだ先と思っていたけど、今動いた方がいいと分かりました」とか「今すぐ辞めたいと思っていたけど、もうちょっと今の環境で頑張ろうと思いました」といったことは、普通に起こります。
これは事前の検討や決意が足りなかったということではなく、面談において要素同士のつながりがクリアになったり、浮かび上がってきた全体像を改めて見つめ直したりしたときに、新しい視点で状況を捉えられるようになったので、判断も変わった、ということなのです。
ここまでくると、冒頭に掲げた
という問いにも答えが出せそうです。
それは、アルゴリズム思考のエージェントとマンダラ思考のエージェントでは、そもそもの組み立てが違うので話の流れや始まり方・終わり方までまったく違うものになるはず、ということです。
もちろん、完全にどちらかに偏るということはなく、ある程度両方の型を使っているエージェントが多いと思いますが、
ということを、考えてみると自分にあったキャリア面談や転職相談を行うことができるのではないでしょうか。
③「本当にやりたいこと/本当の自分」はあってもなくてもよい
さて、ここまでで冒頭の問いには答えが出せたのですが、最後に一つ、ちょっとしたこだわりに触れさせてください。
お気づきの方もおられるかもしれませんが、実は作成した図の中心、「本当にやりたいこと/本当の自分」だけ、枠線を点線にしています。
実は、最初に作成した際は真ん中が空白だったのですが、「全体像が浮かび上がる」ということまで考えたときに、ピンと閃いて足してみました。
ここで何をお伝えしたいかというと、
ということです。
もちろん、最初から「こんなことを成し遂げたい!」という方もおられますし、それはとても立派なことだと思います。
ただ、そう思っている方ですら、色々と話を聞いてみると「実は自分がやりたいことはちょっと違ったかも・・・」と考え込むことだってあります。
ましてや、すべての人が「自分の使命」や「人生をかけてやるべきこと」を持つべきなんてこともなく、多くてもそうしたモチベーションで転職活動を行う方は2割ぐらいではないか、と感じます。
そこまで考えると、マンダラ思考のキャリア面談とは
こんな風に表現できるかもしれません。
おわりに
さて、最後までご覧いただき、本当に有難うございます。
読んでみていただいて、いかがでしたでしょうか?
このnote自体は、もともと「自分がやっていることを何とか言語化したい」という想いから書き始めたものです。
世の中に「キャリアアドバイザー」や「キャリアコンサルタント」、その他キャリアに関わる仕事をしている方が大勢おられるなかで、自分の発揮している価値は何なのか。
その根底にある「自分がやっていること」は何なのか。
そんなことを考える中で、タイトルにもある「アルゴリズム思考」と「マンダラ思考」という言葉が浮かんできました。
こうした比較を通じて自分がやっていることが説明できるのではないか?
そして、それがキャリアについて考える方にとっても役立つのではないか?
そんな気持ちで、ここまで書き切ることができました。
ちなみに、タイトルには「300人」というお話させていただいた人数にも触れていますが、人材業界だと「〇千人をご支援しました」という方もおられるので、経験としてはまだまだだな、と思っています。
ですが、そうしてたくさんの方にお時間をいただき、お話させていただいたことを言語化し、「自分は何をすることで目の前の方に価値を届けようとしているのか?」を考え続けてきたという意味では、何かしら役立つことがあると信じています。
ここまで読んでいただき、マンダラ思考のキャリア面談をやってみたいぞ!と思った方は、ぜひお気軽にご連絡いただけたら嬉しいです。
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それでは、改めて、最後までご覧いただき本当に有難うございました!
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