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水瀬神奈
2022年12月16日 21:10
地下鉄の車内は生温い温度に満たされている。取り付けられた扇風機もぬるま湯のような酸素の少ない空気を無駄に攪拌するにすぎなかった。定期的に吹き付ける押しつけがましい風が苦手で、思わず扇風機を睨みつける。外界の灼熱地獄を汗をかきながら必死になって通り抜けて来たうえに、芋を洗うようにごったがえす人ごみの中。ホームで苛立ちながら列車が到着するのを待ってやっとの事で車内に押し込まれるように滑り込んだ。しか