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#8 台北図書館① 逹賢圖書館

図書館めぐりが趣味 なんて洒落てることを言ってみたい

本を読むことはもちろん好きだけど 本当は「本を読んでいる自分」の方がもっと好きだし 図書館に通うことよりも 本当は「図書館に足を運ぶ余裕を持つ自分」が好きなんだと思う 

実際に年間何十冊も読みます!というほど本を読み込んでいる訳ではないし 読むペースも速くはない 本を読む時間を確保できるほどの長い移動もないし 正直本を楽しむというのはそれだけの余裕を要すると思っている

本を楽しむというのは今のわたしからすれば 旅に出るくらい贅沢なことになりつつあるのだ


先日ずっと気になっていた図書館を訪れた

國立政治大學 指南校區にある 逹賢圖書館

2019年に完成し 2020年3月から本格的に開放された図書館 台湾の美しい図書館ランキングにも必ずランクインするほど その美しさはよく知られているようだ

地下2階地上8階の構造で 図書館のロビーは2階になっている 2階のロビーフロアから8階の天井まで真ん中の空間が吹き抜けになっているため明るくて広々とした印象だ

吹き抜けになっていると館内のあちらこちらから話し声や作業の音が響きそうだが 誰もいないのかと思うほど静かだった もちろんそんなはずはなくて 本棚前の自習スペースはどこも埋まっていたし 本棚エリアとは別に設けられている自習スペースや会議室にも人がたくさんいた にも関わらずそこに音が存在しないかのようだった

図書館とはそもそもそのような場所だということくらいわかっているのだが その空間があまりにも自分の日常とかけ離れているように思えて新鮮だった

外部の人は入り口のスタッフカウンター横のPCで身分証(パスポートや居留証など)番号を入力して登録 スタッフが登録した内容と実際の身分証を確認 確認が取れたら身分証と引き換えに入館証を受け取り改札機にかざして入館 帰るときは入館証を返却して身分証を受け取るだけだ

まずエレベーターで7階を目指した 高みから望むその美しい設計はまさに写真で見ていた通りで 思わず口元が緩んだ

またここでも「わたしここの学生ですよ でもこっちの図書館くるの初めてなんだよね」みたいな態度でしれっとさらっとぐるぐる館内を探索した 別に誰も他人のことなんて見ちゃいないし わたしが本科生だとして外部の人が興味本位で訪れようがなんとも思わないけど なんでかこうそこに馴染んでる風を装いたくなってしまう

もちろんこの設計美を楽しむだけに来たのではなくて 台湾で文系トップレベルを誇るこの大学の図書館にはどんな本が置かれているのか気になっていたのだ

政治大学にはもともとメインキャンパスにも図書館があるのでこちらに置かれている本の数は全体の一部なのだろうが 実際何冊あるのかは調べてもわからなかった

わたしは自分が興味のある分野の本棚をじっくりとまわった 文学のエリアには日本の小説もおいてあって次回訪れる口実ができてしまった ただ不思議に思ったのは村上春樹さんの作品が翻訳版も含めて一つもなかったことだ 台湾人にもハルキスト多いんじゃないの?と思っていたからここにないのが不自然に感じてしまったのだ 全て貸出中なのか もうひとつの図書館においてあるのか 考えてわかることではないのだけど

館内をおおよそまわりきったところで 外観も楽しめる裏庭にも足を運んだ

政治大学は台北市の南側 文山区の山あいエリアにキャンパスがあり この逹賢圖書舘も比較的静かな環境にあるため 裏庭に出ても 都会的な雑音がほとんどない

猫空の麓に位置するこの立地環境もまた この図書館の設計美に一躍かっているように思う

裏庭はある程度人工的に整備されており 池にはカモがいた 池を挟んで図書館を見ると全体の美しさを楽しむことができる 整備された外周をゆっくりとまわり この日の探索を終えた


この良き環境で学ぶ学生たちを羨ましく思うのと同時に 会議室や自習スペースでデスクに突っ伏している彼らを見れば 学生生活が楽しいだけでないこともまた事実だなと感じた

だから趣味として純粋に美しさを楽しめるくらいがちょうどいいのかもしれない


台湾には他にも美しい図書館がいくつかあるので今後またシリーズとして紹介していきたい



*登場した中国語*

逹賢圖書館 dá xián tú shū guǎn  / ㄉㄚˊ  ㄒㄧㄢˊ  ㄊㄨˊ  ㄕㄨ  ㄍㄨㄢˇ

國立政治大學 guó lì zhèng zhì dà xué  / ㄍㄨㄛˊ  ㄌㄧˋ  ㄓㄥˋ  ㄓˋ  ㄉㄚˋ  ㄒㄩㄝˊ

指南校區 zhǐ nán xiào qū  / ㄓˇ  ㄋㄢˊ  ㄒㄧㄠˋ ㄑㄨ

猫空 māo kōng  / ㄇㄠ ㄎㄨㄥ




 



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