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#065 初めての自己出版

わたしは努力や苦労がカタチになるという経験を久しくしていなかった

ちょうど1ヶ月前に 大学裏の印刷店から試し刷り完了の知らせを受けて はやる気持ちで店に向かった
店に着くなり手にした人生で初めての出版物 その出来栄えは思ったよりも"いい感じ"だった ここ数週間の努力がひとつの個体となっていた

数日前にこの印刷店で選んだ紙の質感なんかも 自分のイメージにマッチしていて 思わずニヤついてしまう 残念な部分を言えば紙の匂いがあまり好みではなかった 写真詩集ということで写真が少しでも綺麗になるように 光沢のあるツルッとした紙を選んだ このためページをめくるとアクリル板を熱加工した時のような匂いがして これは鼻をツンと刺すものだった 

全部のページを開いて 心配だった写真の色彩も悪くないことを確認したのち このまま7冊刷ってもらうように頼んで店を後にした 


今回 人生で初の出版物を制作することになったのは 大学の現代詩創作という講義の期末課題で 一人一冊の詩集を自己出版しなければならなかったからだ 出版の数週間前には企画書の提出もあって 企画書の中には自身の出版社名とそのロゴデザインも必須項目として記載する必要があった

出版社名は少々悩んだのだが自身の名前と中国語での発音が同じ「葱」に 日本語で言う〇〇ちゃんなどの意味を持つ「小」を加えて「小葱出版」(xiao3cong1chu1ban3)とした 由来がこれだけでは物足りないと思い 少し考えてみると「葱」というのは日本でも台湾でも万能トッピングであることに気がついた それをヒントに思いついたのが この出版社から世の中に出ていく作品が 手に取る人の人生にほんの少しでもプラスになるものであってほしいという願いだった これは我ながらに自分の活動コンセプトにもあっているし新規の会社を立ち上げる際のそれっぽいものになっているなと感じたためそのまま採用した

従業員一人の小葱出版から出された初めての作品は 全冊刷り上がるまで一部の校正ミスに気が付かなかったという 言ってしまえば乱丁本ではあるがこの世界に7冊しかない(試し刷りを合わせると8冊)わたしにとっては宝物である

課題の提出は一冊でよかったのだが 日頃の感謝を込めて家族や大切な友人にもこの詩集を送ると決めていた それも人数分あればいいのだが この詩集には数字ではなく月曜から日曜までの曜日に合わせて7部の作品を掲載している それに応じて一冊ずつそれぞれに曜日でシリアルナンバーのようなものをつけようと考え7冊することにしたのだ 月曜日版から日曜日版までの7冊の写真詩集のうち数冊が大切な人の手に渡る この写真詩集が万能トッピングとして応援してくれる人たちの人生に何かプラスになるものであったなら嬉しいなぁと思う

この自己出版という課題を通して 自分が今後も作品を通して誰かの心に寄り添う人生を目指したいということを改めて認識した 
他の課題もある中でこなすことは正直楽ではなかったけれど 写真詩集の出版という形で自己表現できたことはとてもいい経験であった
努力がカタチになる喜びは言葉で表すよりももっと感動的なことである
課題は終えたが 小葱出版の次回の出版企画も練りたいところである



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