見出し画像

わざわざ、小さなまちに引っ越した理由。

10月の始まりのよく晴れた週末、5年半暮らした帯広のアパートを離れて、小さなまちにある団地に引っ越しました。引っ越し当日からずっとバタバタしていたのですが、ようやく生活が落ち着いて、うれしさや楽しさを実感し始めたところです。今の気持ちと引っ越しを決めた理由を残しておくために、新しい家の押し入れからいつも以上に個人的な日記を書こうと思います。

私の引っ越し遍歴
18歳 大学進学を機に、古いアパートで下宿生活開始。その後一人暮らし。
21歳 編入学のため、北海道を出て岩手県へ。坂の上の寮暮らし。
23歳 就職を機に再び北海道へ。田舎まちで「家、ここしかないよ」と言われたアパートで生活。
25歳 現在働いている会社へ入社。何よりも近さを求めて、会社の近くの新しいアパートへ。

18歳で地元を離れてから、進学や就職の都合で2~3年ごとに住むところを転々としてきました。なので5年半ぶりとなる今回は久しぶりの引っ越し。コツコツ準備する予定でしたが、実際には前日まで校正作業に追われてしまってそれどころではなく、荷づくりを始めたのはその日の夜。長く暮らしていた分、空っぽにするのは結構大変でした。

新しくて、真っ白で、秋冬の光がきれいに差す部屋。今の会社に入る時、歩いて出社できるのがいいなと思って決めたアパートでした。朝早い日も夜遅い日も安心だったし、お昼休みにさっと帰宅して、洗濯物を干したり、朝間に合わなかった片付けができるのもうれしかったです。ここには書き切れないくらい、好きなところや好きな時間がたくさんありました。

真っ白な部屋。良い光が入るとうれしかった。

それでも最初は、もっと早くこの部屋を出るだろうと思っていました。入社した頃から「もっと小さなまちで暮らしたい」という気持ちが強くあって、諸々が落ち着いたら次に住む場所を探すつもりだったからです。そんなわけで、なるべく家具を増やさないようにしていたのですが、年数が増えるほど仕事は忙しくなるもので。不規則になりがちな生活を「近さ」に支えてもらううち、真っ白な部屋での暮らしも随分長くなっていきました。

長くなった理由は、大きく3つ。1つめは、純粋にその暮らしが居心地良かったから。2つめは、これからをじっくり考える余裕が持てなかったから。3つめは、できるならもっと北のまちで暮らしたかったから。

新居で入居初日に撮った写真。ずっと一緒のお気に入りたち。

帯広を拠点に北海道中を駆け巡る日々の中で、好きなまちはあちこちに増えました。それでも「住む」という点で考えれば、どうしても道北の空気がしっくりきてしまって。行く先々でそんな話をぽつぽつしていたら、空き家を紹介してもらったり、「待ってるよ」って言ってくれる人と出会ったり。できればそのまま北に住んでしまいたかったけれど、紙の本をつくる仕事をしている以上、やっぱり完全にリモートに切り替えるのは難しい。そんなわけで、ずっと迷っていました。

どうしても、書いていたい。どうしても、北に住みたい。その2つの本音に折り合いをつける方法として辿り着いたのが、「ほんの少し北上する」という選択肢でした。

湖があって、森があって、帯広に来た頃から大好きだった、北のほうにある小さなまち。夏至を過ぎた頃、ひとり暮らし向けの家が空いたと教えてもらって、内見に行って、その場で「住みたいです」と言いました。理想と違うところはぽつぽつあったけど、全体的な雰囲気がしっくり来る家でした。何よりも、このまちで暮らしていけるなら細かいことは後回しでいいように思えました。

押し入れデスク。日々改良中。

実際のところ、引っ越して不便になったこともたくさんあります。自分で決めたことなのに、「どうしてわざわざこんな生活を選んだんだろう」って思うこともしばしば。でもその一方で、こんなに忙しい時期に、わざわざこの暮らしを選ぶことが、「必要だった」とも感じています。

前の部屋では「近さ」に支えられていたけど、今は距離をとれるようにならないといけない気がしています。仕事も生活も大事にするために、離れることが必要なんだと思います。

新しい家には階段があります。メゾネットタイプというのでしょうか。家で作業をする日は基本的に2階の押し入れで作業して、終わったら1階に降りてごはんを作ったり、ひと休みしたりして。1階に良い光が入る時間は、PCを持って行って。そういう緩やかな切り替えがうまくできるようになればいいなと思っています。そんな風にして、このまちと家と仲良くなっていきたいです。住みたいと思ったまちに住んでみることができる幸せを、ゆっくり味わっていきたいです。

割れずに運べた大事なうつわたち。

地方でテレワークする予定がある方へ
そういう方はちゃんと事前に確認すると思いますが、インターネット状況はきちんとチェックしておくことをおすすめします。まったく僻地ではないのですが、予定していたWi-fiが使えず、回線を引くのにも時間がかかり、携帯の電波も悪くて在宅勤務時に結構困りました。明日、やっとインターネットが通ります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?