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MMDゼロかわ ~ポーズをつくる~

 今回はMMDでポージングをする作業において、作業のアプローチについて書いてみます。この辺りは千差万別で様々なやり方をしている人が多いのですが、作業のイメージが付き辛いといった、まだMMDに熟れてない人向けな内容となっています。
 説明の順番通りにやる必要はなく、ポイントとしておさえておけば大丈夫でしょう。
 前提として以下の記事内容を把握している事として記載します。


Point.1 できるだけ足と体の中心から組んでいく

 本来の体の中心というとMMDではセンターボーンを意識する事もあるかと思いますが、人間は足で立ってる生き物なので、足IKから組んでいく事をお奨めします
 足IKのおおよその位置や方向を決めるだけでも、体のバランスやどこを弄っていけば良いかが何となく見えてくると思います。もし、思い浮かばない場合は、自分自身でモデルの現状と似たような格好をしてみると体感できるでしょう。この時、足が浮いてしまう程に足が離れた場合は、センターボーンも移動してみましょう。
 一方、それすら思い浮かばない場合は、とりあえず肩幅と同じくらいに足を開くように作っておけば、後で修正しやすくなります
 標準でも最初から肩幅まで開いている事もあるでしょうが、その場合はZ軸側(奥行き)で少しズラした状態にしてみると良いかもしれません。
 ここでのポイントとしては、ポージングするにあたりシンメトリーにしない事が大事になります。左右反転ペーストをしたとしても、反転させた後に少しだけズラすように意識すると良いでしょう。

足IKの操作

Point.2 下半身・上半身・上半身2はセットで考える

 足IKがある程度決まると、下半身・上半身・上半身2もおのずと決めやすくなります。多くのモデルでは、初期状態でも見栄えするように組まれていますが、若干でも操作を加える事でさらに見た目にわかりやすくなります。
 これらのボーンの操作を行う時は、Ctrlキーを押しながらマウスドラッグで角度を決めるのをお奨めします。体を捻じるポーズの時などは、一つのボーンで大きく動かすのではなく、下半身でほんの少し、上半身と上半身2でッ半分づつくらい動かすくらいの感じで行えば、体系を崩さずに思い通りのポーズに近づけるでしょう。

3つのボーンをバランス良く調整する

Point.4 頭・首は分散させつつ、肩の傾きとのバランスを考える

 首に関しては、慣れてないと動かさない事が多く見られますが、できるだけ首も頭と連動するように使った方が、よりポージングが綺麗になります。ただ、モデルのセットアップ次第では妙な変形する事もあったりするので、事前に動ける範囲を把握しておくと良いでしょう。
 実際にご自身の首を触りつつ、左右に頭を動かしてみましょう。人間の首は付け根部分から頭蓋骨にかけて徐々に捻じるような動きをしているのが分かるでしょう。このように首は頭蓋骨に合わせて連動するので、モデルでもにたような変形になるように操作する事が大事です。
 具体的には、最終的な頭の角度に対して、三分の一から半分は首ボーンで動かし、残りを頭ボーンで動かす感じです。首ボーンを想定の半分くらいのイメージで動かしてから、頭ボーンを動かすという順番が分かりやすいでしょう。
 遠目には、頭ボーンだけ動かした場合と連動させるように動かした場合での差異がちほとんど分からない場合もあるかもしれません。ですが、カメラを回してみると背骨(上半身2)からの流れや、ポージングだけでなくモーションとして見た場合に大きく印象が異なります。

首ボーンと頭ボーンの使い方(このモデルの場合、やや襟袖の動きも変わる)

 また、首を傾ける場合は、首・頭だけでなく両肩の傾きを意識したバランス取りをすると更に見栄えが良くなります
 男性・女性の骨格や性格の現れ方として、肩を張ったりなで肩気味にしてみたり、傾きも女性の方がやや大きめに傾かせたりします。また、女性は特に首を傾けた方の肩が上がる癖があったりします(カウンターする)。
 これらを意識しつつ、頭の角度と肩の角度を調整する事で「分かりやすい」ポージングができます。

頭と肩との組み合わせ

 肩を動かした場合、当然腕も一緒に動いてしまうので、次項に上げるポイントを抑えながらポージングしてみると良いでしょう。

Point.5 腕は肩から順番に動かすクセを付ける

 腕は人体の中でも一番よく動き、全体のバランスに影響する部位でもあります。腕IKなどで楽にポージングさせる事もできますが、腕IKが搭載されてないモデル、自分で腕IKを追加できないといった場合等に役立ててください。
 できれば腕IKに頼らず、まずは自力でも腕のポージングができるようになった方が、後々楽ができます。

 腕は基本的に、肩から手首に掛けて順番に付けていくようにした方が良いです。最初から腕から初めてしまうとバランスの良いポージングができなくなります。
 まずは前項でも記載した頭の傾きやモデルの性格などを考えつつ、肩の角度を決めて行きます。これもまた自分の肩を触りながら、人間の肩がどう動いているのかを意識してみる事を奨めます。
 思った以上にMMDで言うところのX軸・Y軸・Z軸回転がされているのが分かるでしょう。また、(モデルのセットアップ次第ですが)体の柔らかさや硬さなどを表現するにも重要な部位だという事が分かると思います。
 これもまた、最初の操作で最終的な角度を決めるのではなく、おおよそのものを肩から手首にかけてポージングした後、徐々にバランスを取っていくという手段になります。
 なお、左右に関しては同時にやっても良いですし、ひとまず片側だけ作っていくのも問題ありません。自分のやりやすい手段を用いてください。

大雑把な位置や角度を決める

私の場合は、以下のようなアプローチをする事が多いです。

  1. 上半身2と頭の角度を考慮しつつ、肩をある程度の角度に回転

  2. 肩に合わせてイメージする腕の角度をある程度決める

  3. 腕の角度によって一度肩に戻って微調整

  4. ひとまず肘を曲げる(曲がる方向はほぼ内側だけなので)

  5. 腕捻りで角度を調整し、前腕部の方向を決める

  6. 肘捻りで手首の角度を決める

  7. 手首を曲げる

 7まで到達したら、指もある程度作りますが多くはポーズファイルを読み込む場合が多いです。指に関しては次項で説明します。
 いったんある程度形作ったら、一つ前の部位の調整に戻り、また2から調整していくというピンポン方式を行っています。最終的には頭や上半身全体とのバランスを取りつつ微調整していきます。

 また、作業の途中途中で真横や斜め視点から見るようにもしておき、どの方向から見てもバランスが崩れてないかをチェックしつつ、一連の往復作業を繰り返します。
 こうする事で、より自然なポージングが作れるようになります。

Point.6 指は普段からのストックが大事

 人間は指を、普段から意識して動かすことは少ないです。そのほとんどが無意識的に、もしくは何かしらの訓練によって、”自然”にできてしまっています。
 一方、指はヒトの中で最も可動部分が多く、表情表現にも重要な部位です。可動部分は多いものの、実際の動く範囲と角度は限られています。そのため、ローカル軸設定がしっかり行われているMMDモデルであれば、操作自体は難しくありません。
(ローカル軸設定がされていないと、かなり苦労してしまう部位です)

ローカル軸設定がされている指の操作

 多くのモデルは、実際のヒトと異なり、手のひらに対して指が細く造形されている場合が多いです。さらに、指の根本と連動して手のひらの幅が変化するボーンウェイトを持つモデルは稀で、基本的には手首ボーンで一括制御されています。そのため、実際のヒトと比べると、やや不自然な形になる事もあります。
 最終的には好みによってどこまで許容するかという話になりますが、代替的に表現する事もできます。

 以下に、具体的な指のポーズとその作成方法について記します。

  • 指の股(指の間)の隙間を指1ボーン(または指0ボーン)で操作する。

  • 指2・指3はひとつの軸しか動かない(多くはZ軸。Y軸のモデルもある)

  • 爪があるモデルであれば、少しだけ指1(または指0ボーン)のX軸回転(捻り方向)で整える

  • ポーズファイルは、グーとパーは標準のものを使うだけではなく、モデル毎に作ってあげるのがベスト(モデル作者が同一の場合は使い回しできる可能性がある)

  • 親指は指の中でも一番扱いが難しい部位なので、爪や指先の方向は注意が必要

 例えばグーの形を作る時、親指の腹を人差し指に添えるだけの場合と薬指あたりまで強く握る場合とで、手による「表情」が変わります。

手の表情の違い

 同様にパーの形を作る時も女性体モデルなら、指を手の甲よりも少し反らせるなどの工夫をする事で、よりパッと見た時にも分かりやすくなります。

 また、手のポーズファイルをバリエーション毎に作っておく事をお奨めします。これはバリエーション作る用のプロジェクトでやってもいいし、何かしらの作業の合間に気づいたらストックしていくのも良いです。
 ただし、バリエーションを大量に用意してもよく使うのは一部で十分ですし、使う時にどれがどのポーズが思い出せない場合も出てきます。
 そういう意味では少なくとも以下の方法で数種類程のバリエーションがあれば、かなり作業効率が高まるでしょう。

  1. まず半開きを作る

  2. グー・パー・半開きを少し時間を離して(10~20フレーム程)作り、その中間補間を利用する

  3. 良さそうなキーフレームでポーズファイル・モーションファイルにしておく

 筆者の経験上、このやり方が一番効率が良いです。
 たしかに手の表情は豊かですが、手のポーズ全てをファイル化する必要は少ないです。完成ポーズをファイル化する手間との兼ね合いになります。ある程度のパターンさえあれば、近しいポーズを元に細かいところは手で直せば良いだけです。

 これらのポイントを留意しながらポージングにチャレンジしてみてください。


どこにでも居るバーチャルJC MMDユーザーの一人。 MMDアニメーター、動画制作・編集、VTuber関連制作などを行っているただのJC。