場面緘黙児のための「5秒ルール」

子どもが動き出すまで、子どもが質問に答えるまで、保護者は「1・2・3・4・5」と心の中でカウントしましょう。

前回note記事の「マギー・ジョンソンさん SM H.E.L.P. 秋サミット講演(その7)」では、次のようにあります。
「子どもが自分で決めて行動し、自信を積み重ねていけるよう支援していきましょう。」
「子どもが自分で対応できるかどうか必ず5秒待つ『5秒ルール』を心がけましょう。」

この5秒間は「子どもの伸びしろ」を守るためにとても大切なのです。
「伸びしろ」は、さらに成長する余地であり、可能性です。

マギーさんの講演での『5秒間ルール』は、子どもが第三者に話しかけられた際に、親がすぐ代弁せずに5秒間待つというもの。これは家庭でのやり取りでも同じです。

子どもが動き出すまで、「1・2・3・4・5」と心の中でカウントしましょう。そして、もしも動き出したらそのまま待つ。そして行動できたら、何がよかったのかも言ってほめてあげましょう。

親:「そこのお砂糖をとって」
子: お砂糖を渡す
親:「お砂糖をとってくれてありがとう」

子どもに質問した時は、子どもが質問に答えるまで「1・2・3・4・5」と心の中でカウントしましょう。そして、子どもが答えたら、子どもの言葉を繰り返し、そして、何がよかったのかも言ってほめてあげましょう。子どもは、話すことに自信をもつことができます。

親:「このキャラって、犬だっけ、猫だっけ?」
子:「猫だよ」
親:「ドラえもんって猫なんだね。猫ってよく知ってるね。教えてくれてありがとう」

場面緘黙児は、家では普通に話せます。ただ、中には家庭でもあまり話せていない子どもももいて、親がそれに気づいていないことも多いようです。

親:「このキャラって、犬だっけ、猫だっけ?」
子どもにこう聞いて、もしも5秒たっても子どもがこの2択の質問に答えなかったら、あなたはなんと言うでしょう?

子:(無言・・・・)
親:「どっちか知らない?」

こんなふうに「はい・いいえの質問」をすると、子どもはうなづくか首を振るか、動作でこたえてしまいます。
例えば、下記のようにきくとよいでしょう。
親:「このキャラって、犬だっけ、猫だっけ?それともどっちか知らない?」
こんなふうに選択肢を増やすと、子どもに発話の機会を与えてあげることができます。
もちろん、子どもが「知らない」って答えた時も、子どもの言葉を繰り返し、そして、ほめてあげるのを忘れないでください。
親:「知らないんだね。知らないっておしえてくれてありがとう」

Knet 資料 No.16「場面緘黙の子どもに適切な質問の仕方は?」もご参照ください。
「家庭の会話」を、「社会的場面の会話」そして「学校場面の会話」に広げていくためには、「家庭の会話」をより豊かにすることが大切です。

かんもくネット 角田圭子(臨床心理士/公認心理師)