場面緘黙症状の改善法の一つ「セルフ・モデリング」

「セルフ・モデリング」とは好ましいと思われる行動をしている自分の姿を撮影・編集し、その動画を見ることによって、「できない」と思い込んでいる自分の脳に「自分はできる!」と言い聞かせる方法です。

「モデリング」とは、
人の行動を観察して模倣することによって学習すること。
赤ちゃんはお母さんを見て、自然とマネしますね。

「セルフ・モデリング」は、
自分自身の肯定的な姿を意識的に観察して、それを脳にマネさせようとする感じでしょうか。
オリンピックの選手が、試合前に自分自身の最高のパフォーマンスを脳内で再生して、試合に臨むのに似ています。
パフォーマンスを上げる方法として、スポーツや療育でも研究・活用されてきています。

場面緘黙の症状をもつ人の場合は、
社会的状況でうまく話せている自分の映像を、自分で選んで見るのもよい方法です。

まだ話せない人からLINE等で音声を送ってもらい、
「相手の声の再生し、その声に答える自分の声を録音」して、
それを聞くのもよい方法でしょう。
そのときに、お気に入りの音楽をBGMで流すとより効果的です。
勇敢なイメージの曲がお勧め。
ゆったりしと心地よい気分で見る・聞くことが大切です。

「発話場面」と「恐怖の身体感覚」とが、強く結びついた記憶をもつ人は、
エクスポージャー法にとりくめないことが多いよう思います。
恐怖の身体感覚の記憶を上書きするために、動画の「発話場面(視覚刺激と聴覚刺激)」と誇らしい気分でいる身体感覚を合体させ、
「発話場面」と「心地よい身体感覚」という、新しい記憶セットを上書きするねらいがあります。

北日本新聞に「かんもくフェスin富山2023」記事(堀田 茉鈴記者)が掲載されました。
「場面緘黙への理解広めたい 『かんもく富山』発足10年、8月に当事者が体験語る』(記事を読むには北日本新聞パスの会員登録などが必要)

富山のけん玉名人きつけんさんと私とで協力して、この4月よりLINEでやりとりし、彼のセルフ・モデリング動画(8分間)を作成しました。
きつけんさんの了承が得られたので、2023年8月5日の「かんもくフェスin富山2023」の講演の中でお見せしたいと思っています。

かんもくネット 角田圭子(臨床心理士・公認心理師)