新年度に向けて準備しましょう

学校では、春休み中にクラス編成が行われ、新担任の先生は4月1日に正式に決定します。クラス編成については春休みに入ったらすぐに、次年度の支援については新担任が決まったらすぐに、相談するのがお勧めです。

場面緘黙は、情緒障害として特別支援教育の対象です。近年では「個別の教育支援計画」が作成されることも多くなってきました。
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/054/shiryo/attach/1361230.htm
「個別の教育支援計画」は、保護者や学校以外の機関(例えば、医療機関など)が関わり、学校が中心となって作成されるものです。特に、保護者が積極的に関わり「計画の内容について保護者の意見を十分に聞いて計画を作成又は改訂することが必要」とあります。
でも、「個別の教育支援計画」が作成されていない場面緘黙児もいるようで、まだまだ「保護者から学校にどこまで何をお願いしたらいいか」に迷われる方も多いように感じています。

小児科で心理士の「報告書」として文書をまとめるときは、A4・1枚で「これまでの経過と現在の状態」と「望まれる支援」を書きます。

そして「SMQ-R」と「学校での行動表出チェックリスト」を添付します。
「教師記入用「学校場面別 行動チェックシート」」を3月のうちに現担任の先生に記入してもらい、それを元に「学校での行動表出チェックリスト」をつけます。
https://www.kanmoku.org/tool

■    「 望まれる支援」については、下記のようなことを書くことが多いです。

「・話せないことや動作が遅いことについて叱責すると症状が悪化します。学年や学校全体で、場面緘黙への理解の共有をお願いします。」
かんもくネットのリーフレットも渡します。https://www.kanmoku.org/leaflet

クラス編成については下記のように書くことも多いです。
「・既に話せる友達や親しい友達と1人でも同じクラスの方が、新しい環境での不安が軽減され、発話改善に役立ちます。」
子どもの意見も聞いて、先生にお友達の名前を具体的に挙げて知らせましょう(ただし、必ず同クラスになるわけではないと分かっていることも伝えます)。

お子さんによっては、下記のように書くこともあります。
「・自己紹介や発表は全員が紙に書いてから発表する方式の方が発話しやすいです。5秒程度待って発話がない時は、さりげなく次に回してもらうか、先生(あるいはお友達)の代読をお願いします。」

現学年で「どきどき不安きんちょうどチェックシート」でサポートしているなら、下記のように書く場合もあります。
「・もしも入学後も学校で話せないことが続く場合は、保護者にお知らせください(これまでは発表やスピーチについて、先生と親が本人の不安の度合いを確認し、本人が参加の方法を決めてきました)。支援法や対応について、保護者と(本人と)相談してください。」

発話以外に動作などの困り事がある場合は、そちらを優先して書きます。

■新1年生さんへ
春休みのうちに通学路になれておきましょう。(コロナの影響でまだ許可が下りないかもしれませんが、もし許可がおりれば)春休み中に学校に遊びに行きましょう。トイレや運動場、教室に慣れ、誰もいない校内を歩いて、教室で黒板に落書きしたり、親子でおしゃべりをしておくと不安の軽減につながります。家でランドセルに本やノートを出し入れしたり、給食袋からナプキンやお箸を出し入れして、持ち物にも慣れておきましょう。

多くの大学で、発達障害のある学生を支援するためのガイドラインの整備が進んでいます。合格した生徒には、入学前でも履修について相談できる大学が多いです。ぜひ問い合わせしてみましょう。

かんもくネット 角田圭子(臨床心理士・公認心理師)

参考:Knet 資料 No.7場面緘黙児に必要な新学年への準備!(2006)
https://kanmoku.sakura.ne.jp/documents/knet_handout_n07.pdf