学校再開に向けて

学校を再開に向けて動きだしてきました。
5月末より週1日や2日からの短時間登校、6月からは学年やクラスで曜日や時間を分ける分散登校などの形で学校が始まっているようです。
場面緘黙症は不安障害の一つですが、私が聞く範囲では休校や自粛生活では却ってストレスが少なく、家族に守られて心地よい家庭生活を送った子どもたちが多いようです。

そもそも、心地よいと感じる「人との接触回数」や「人との接触のあり方」って人によって違っていて、個人の問題だけでなく社会側の問題でもあって、両方の間で生じるたいへんさなんだと改めて思いました。

これからいよいよ新しい生活様式での学校生活がスタートして、その変化に適応することの方がエネルギーを使いそう。まず生活リズムを整えて、あせらずボチボチ慣れていきましょう。

政府発表の「新型コロナウイルス感染症に対応した学校再開ガイドライン(令和2年3月24日)」https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/mext_00008.html
によると、学校でも下記のような対策で「密閉・密集・密接」の3つの条件が同時に重なる場を徹底的に避ける取り組みを行うこととあります。
① 換気の悪い密閉空間にしないため の換気の徹底
② 多くの人が手の届く距離に集まらないための配慮
③ 近距離での会話や大声での発声をできるだけ控える

実際にどのような学校環境になるのか、地域の感染者の有無によって温度差も大きそうだし、今は想像するのみですが、これまで指導されていた「元気な声であいさつ」は「にっこり会釈」でもよくなり、「大きな声で発表」や「お友達同士でグループディスカッション」の授業は「教師主導の授業」となり、「給食時はだまって食べる」ことになりそうです。

この点は、場面緘黙症をもつ子どももにとっては、ストレスが少ない学校生活と言えるかもしれません。
しかし、発話機会の減少は緘黙症状の維持に働くため、症状改善にはマイナス。自宅にお友達を呼んで遊んだり、放課後に誰もいない教室で親や友達と話したりする、スモールステップでの定番の取り組みも設定しにくくなってしまいました。
まずは友達との公園などの外遊びや、電話やオンラインをうまく活用していきたいところです。実際、この自粛中にこれまでは話せなかった友達や大人とオンラインでなら話せるようになった子どもたちがいます。オンラインが進んでいるイギリスでは、先生と話せるようになったという緘黙児もちらほらいるそう。日本でもこれまで「先生との電話での発話」は取り組みの選択肢の一つでした。今後に備えて日本の学校教育へのオンライン導入がいっそう待たれるところです。
(かんもくネット・角田圭子/公認心理師・臨床心理士)

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