マギー・ジョンソンさん SM H.E.L.P. 秋サミット講演(その6)

年齢が上の場面緘黙の子どもをもつ保護者へのアドバイス:不安を抱える自らの娘(17歳)を支えた経験から

「こうしてみたら?」と親が子どもに言い続けると、子どもは親が自分に失望していると感じてしまいます。「今のあなたではダメだから、変わらなくちゃ」と言われているように感じるのです。良かれと思って親が助言すればするほど、子どもは「あなたはこのままではダメだ」というメッセージを受け取ることになります。

まだ子どもの準備ができていないのに親が助けようとすると、子どもは反発します。そして、拒絶反応を起こしがちになります。

親ができるのは、場面緘黙が恐怖症であることを説明し、いつでも支援する準備があると伝えることです。どうか「話すこと」だけに注目しないでください。「小さなステップを少しずつ踏んでいけば、きっと克服できるよ。いつでも支援するからね」と伝え、子どもの力を信じて待つことが大切です。

その一方で、本人に気づかれず、保護者がしてあげられることがたくさんあります。

心配はしまっておいて、親は子どもと一緒に過ごす時間を楽しみましょう。子どものことが心配でも、今のこの時間、この瞬間を大切にしましょう。子どもと共に過ごす時間を満喫しましょう。なんでもいいのです。例えば、一緒に映画を見たり、料理をしたり、ガーデニングしたり、走ったり。子どもが興味を持てそうなことを探し出して、子どもの興味に沿ってあなたも一緒に楽しんでみてください。そんな時間から、子どもの「自分を変えたい」というモチベーションが生まれてくるのです。

★子どもに主導権を持たせることで子どもは安心できます
子どもは「自分はこれがやりたい」という夢を持っています。言わないだけのことも多いもの。どうしたらその夢を叶えられるか、―人の人間として子どもを尊重し、そのままの子どもを愛してあげてください。子どもは恐怖症を持っているけれど、それが一生ずっと続くわけではありません。必ず克服する道を見つけられるはずです。
子どものモチベーションが高まり、場面緘黙を克服する決意を固めるのを待ってあげましょう。

★情報を提供してあげますが、決して押しつけません
マギーさんのセッション例:
年齢が上の子どもには、マギーさんからパワーポイントの作り方を尋ねたり、どうすれば自分の講義がよくなるか助言してもらったりします。「完成したパワポを見て欲しいから、電話をしてもいい? いつだったら時間がある?」と自然な感じで切り出し、パソコンを見ながら電話でやり取りするきっかけを作ります。

対面で顔を見合わせるよりも、電話だと間接的だからやり取りがしやすいのだとか。初めはパソコンの画面を見ながら、こちらから見てもらいたい点を伝えて、メモを取ってもらうことから始めます。

その子が得意とする分野を見つけ出し、何気なくお手伝いを頼むことで、自信をつけさせてモチベーションをあげることができます。本人主導であることが重要です。

(次回に続きます)

かんもくネット事務局 みく(ロンドン在住)
注:翻訳には最善をつくしましたが誤訳があるかもしれません。どうぞご了承ください。