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大臺 序乃壱

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此のお話は日本が嫌いな日本人へ…。  日本を愚かと思う日本人へ…。  日本が貧しい国であったと思う日本人へ…。  日本人として誇りを持てぬ日本人へ届ける物語。  此れは我等が…
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2021年11月の記事一覧

大臺神楽闇夜 1章 倭 3高天原の惨劇6

大臺神楽闇夜 1章 倭 3高天原の惨劇6

 久しぶりに雨が降った。否、此れは台風である。強い風に殴りつける雨。その雨が高天原を焼く火を鎮火させた。
 生き残った八重兵と民は予め決めておいた場所に集まり火が治るのを待っていた。が、此れからどうするのか ? 美佐江はいない。娘達もいない。必死に作った罠も全て焼かれてしまっている。火が消えれば敵が攻めて来る。皆はそう考えている。
 一月も続いた山火事。本来なら生存者等いないと考える。だから、来た

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大臺神楽闇夜 1章 倭 3高天原の惨劇 5

大臺神楽闇夜 1章 倭 3高天原の惨劇 5

高天原の火が鎮火し始めた頃…。神楽と香久耶は卑国に無事辿り着いていた。出国から卑国へ何の問題も無く帰る事が出来たのは香久耶の道案内のお陰である。此れが神楽だけなら同じ所を何回もグルグル回るので二月は掛かる。だが、一番の功労者は助菜山である。何せ長い道中ずっと二人乗り助菜山だったのだ。気を使って交替しながらどちらかが歩くと言った考えは二人には無く、二人が助菜山から降りたのは虫を追いかけて遊んでいる時

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大臺神楽闇夜 1章 倭 3高天原の惨劇4

大臺神楽闇夜 1章 倭 3高天原の惨劇4

三佳貞の言った通り船尾から登って直ぐに扉が見えた。皆は言われた通り扉を開け階段を降りて長い廊下を進んでいく。正直な所三佳貞は扉より先の事は知らない。だが、帥升の部屋があると言った衛兵の言葉が正しいのならその先に部屋がある。侵入している船が違えど作りは同じであると三佳貞はそう考える。その考え通り廊下の先に更に扉があった。
 三佳貞達は扉を開け中に入る。船によっても違うが倉庫になっている船が殆どである

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