中国茶葉の聖地 中国福建省武夷山
息子が中国の大学に留学してから、既に25年が過ぎた。
留学に際し、2人で中国茶を楽しもうと約束した。
息子は帰国するたびに、日本で見たことがない茶葉を土産に持ってきた。
中国茶は奥が深い。
普段ペットボトルなどの飲料「ウーロン茶」が、中国茶と思っている人が大部分である。
ウーロン茶は中国茶の一部である。
中国茶は、白茶・黄茶・青茶・緑茶・紅茶・黒茶と分類され、それぞれに数多くの銘柄が存在する。ウーロン茶は青茶の一つである。
白から黒までの茶葉を味わってみると、やはり「青茶」が好きで、手に入る福建省の岩茶や広東省の鳳凰単そうを好んで飲んでいた。
息子も学生時代は私に付き合ってくれたが、社会人となって働くようになると、なかなか遊んでくれなくなった。
勤め先は日本企業の中国支社で、深圳市や広州市を活動の範囲としていた。
広州市にいる時に、広州茶葉市場があるからと案内された。
築地市場をもっと大きくしたようなエリアに、茶葉卸売り店舗の軒が連なり、人が集まっていた。
小売りにも応じてくれた。とても買いきれない。
その中で、どうしても飲んでみたいという銘柄があった。
福建省の「大紅袍」である。
香りの高い「岩茶」の中でも特別品。中国歴代皇帝の愛用品である。
幻の茶葉が手に入るはずもない。
ところが、店頭に並んでいるではないか。値段も飛び切り高くもない。
息子は「大紅袍もピンからキリまであるからね」とささやく。
伝説の茶葉を購入できたので有頂天。
息子のマンションで飲んでみたら、大した香りもせずがっかり。
以来、中国茶の産地に出かけてみたいと思っていた。
特に「大紅袍」の育つ場所福建省武夷山に。
今は息子も父親との約束はすっかり忘れてしまい、妻と子のために日々忙しく活動している。
いつかチャンスはあるかと思っていたが、新型コロナウイルスの感染拡大で、国内移動さえ制限されていたから、海外など想定外となり、息子家族と会う機会さえ厳しくなってしまった。
武夷山の映像を観ながら、手に入る岩茶を飲み、幻の「大紅袍」との出会いを夢見ている。
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