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ヘルニア闘病記8

術後6日目 昨晩はようやくFODで「北の国から」テレビシリーズ全24話を見終えた。消灯は21時だが、24時近くまで見ていた。24話はやっぱり長いけれども、こんな機会でもなければ見られなかったの良かった。あとはスペシャルが8本あるけれど、1本2時間あるスペシャルを見るだけの時間と気力がさすがにない。

とは言いながらも、テレビシリーズ以降第1作目の北の国から’83冬を見た。テレビシリーズから2年が経った冬。雪子の手紙のシーンから始まる。そこで中畑木材が焼けてしまったことや、五郎が東京へ工事の出稼ぎに出ていることが明らかにされる。そして、五郎が連帯保証人で700万もの借金を背負うことになるのだが。

このドラマはつらい、事情や思いを言い出せないつらさ、そのつらさがさらに別のつらさを生み出していく。テレビシリーズでは後半「どうした?」というセリフが多くなる。言い出せない相手にたいして「どうした?なんだよ言えよ」という場面が何度もでてくる。それは言い出せないのは五郎であり、中畑のおじさんであり、そのつど変わるが、みんなが「どうした?」と気を配る。本当のことがなかなか言い出せない、そのまだるっこさがこのドラマの本懐なんだろうなと思う。

それを見て思ったのが「正直は最大の戦略」という今年春に亡くなられた社会心理学者の山岸敏男さんの言葉。このドラマの登場人物がみんな正直であればどうだったであろう、山岸さんは「他人から信頼してもらう方法なんてじつにカンタンなわけです。ウソつかなきゃいいだけですから。」と言っている。でも人間は見栄や虚栄心からついつい嘘をついちゃうことがままある。

北の国からでは特に純の嘘をついたり、本当のことを言い出せないシーンが多いが、たとえば久しぶりに会った東京の友達が自分の知らない当時流行の話(YMOとか)をしているのを聞いて、テレビのない生活を送っている自分は全然ついていけないことにしょんぼりしていると、北海道の暮らしのことを聞かれ、ついついクマを間近で見たと嘘をついてみんなの関心を得るシーンがある。直接ストーリーと関係ない些細な嘘だけど、その気持ちはわかる。

先の山岸敏男さんと糸井重里さんの対談「やっぱり正直者で行こう!山岸敏男先生のおもしろ社会心理学講義」では、ウソつかずにやって、でも失敗しちゃったら、それ相応に落ち込んで、もう一回「ウソつかずにやり直す」のがいいと言っている。それだとドラマにならないのかも知れないけど、でもそうだろうなと思う。

術後6日目だが、入院生活は9日にになる。入院していると朝昼晩と3色出るし、テレビはあるし先のVODでいろんな映画や番組が観られたりする、そればかりかパソコンを持って来ているので仕事もしようと思えばでいる。なので、普段の生活以上に快適ともいえる。ただ一つ違うのは、あまり声を出さないということだ。

普段、通勤時に車の中でほぼ例外なく歌っている私にとって、これだけ声を出さない日々、歌わない日々はなかった。なので今日はカラオケに出かけてみた。1時間のひとりカラオケ、「ミライのテーマ」「アイデア」「アルペジオ」「プラスティックラブ」「HANABI」「Thanky for the music」「Golden」「君は薔薇より美しい」「人生の扉」「道標ない旅」「踊り子」「新宝島」「瞳をとじて」「埠頭を渡る風」なんと14曲も歌った。

最初は声の出し方に戸惑ったが、次第に声が出るようになった。コルセットを巻きながらなので、無理のない態勢で歌うことになるが、気付いたのは体の軸を安定させていたほうが声がよく響くということ。


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