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【韓ドラ沼に届けたい!】11/9発売『韓国ドラマが教えてくれた大切なこと』「Prologue ドラマのセリフが胸を打つとき」無料公開

【名セリフから「読む」韓ドラ全42作品!】

あなたを支えてくれた、人生でいちばんの名セリフはなんですか?  
韓国ドラマの魅力のひとつはなんと言っても胸を打つセリフの数々。忙しく生きる日々に新たな気づきを与えてくれたり、癒やしてくれたりもします。

11月9日、かんき出版から発売する『韓国語が教えてくれた大切なこと』(チョン・ドッキョン/著 西野明奈/訳)は、まさに名セリフから韓ドラのディープな魅力を伝える人生エッセイ。「愛の不時着」「賢い医師生活」など、史上最高の豪華脚本家たちが推薦する一冊です。

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韓国でもっとも多くのドラマを観ている人。
もっとも深く温かな視線でドラマを解析する人。
数多くのドラマの中で彼の気にかかった一行のセリフ、
そこに絡み合う人生の物語がくたびれた心をなだめ、癒やしてくれる。
──パク・ジウン(「愛の不時着」「星から来たあなた」「青い海の伝説」)
くたびれた日、大きな支えになってくれる文章。
彼の書くものはいつもそうだ。
善意、慰め、勇気みたいな充電が厚かましくも必要な日は、自信をもって言おう、チキンよりこの本だ。
──イム・サンチュン(「椿の花咲く頃」「サム、マイウェイ〜恋の一発逆転!〜」)
コンテンツに正解なんてない。だが、チョン・ドッキョンの文からときおり正解を見つけることがある。私の書いたものの弱点を正確に見破り、冷酷な 視線でときに胸をひりひりさせることもあるけれど、私はいつも納得して負ける。創作者の視線で書いたものの裏側を見る人、大衆の視線で明瞭にコンテンツを解析する人、断言するに、私の知る中で、彼が韓国でもっともコンテンツを愛している評論家だ。
──イ・ウジョン「賢い医師生活」「恋のスケッチ〜応答せよ1988〜」

本記事では、発売に先立ち、『韓国ドラマが教えてくれた大切なこと』のプロローグを公開します。このプロローグだけでも、すでに共感が止まらない.......!ぜひ立ち読みしてみてください。

ちなみに、韓ドラ関連の記事はこちらの2本もおすすめ。韓ドラ好きの編集W(本書の担当編集でもあります)が書き下ろした、弊社noteの人気記事です。
「秋の夜長のお供はどの韓ドラにしようかな~」と迷っている方、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。

Prologue ドラマのセリフが胸を打つとき

「昨日のあれ、観た?」
 朝、顔を合わせると、ぼくたちは前日に観たドラマについてよく話す。コーヒーを飲みながら、「椿の花咲く頃」の連続殺人犯ジョーカーはいったい誰なのかと舌戦を繰り広げ、「浪漫ドクター キム・サブ」が投げかけるサイダーのように爽やかなセリフについて語り合う。「恋のスケッチ~応答せよ1988~」では、ドクソン(ヘリ)の夫が誰なのか、「オナムテク」だ、「オナムリュ」だと、唾を飛ばしながら言い合ったりする*。(*「オナムテク」は「どうせ旦那はテク(パク・ボゴム)だ」という意味の韓国語を略したもの。同じく「オナムリュ」は「どうせ旦那はキム・ジョンファン役のリュ・ジュンヨルだ」の意。)
 あるいは、なんでドラマなんて観るのかわからないと言っていた人が、「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」にすっかりはまって、ぼろぼろ涙をこぼしたと告白してきたりもする。

 何かすごいことについて話しているわけではない。文字どおりドラマの話であり、そのほとんどは限りなく通俗的な話題だ。人生の深い洞察を含んだドラマも、もちろんあるけれど、盛り上がるのはたいてい少し俗っぽいほう。ぼくたちは朝っぱらから深刻な討論をするわけでも、無駄に重たい話をするわけでもなく、ちょっと気楽なドラマを話題にする。
 ところが、話をよく聞いてみると、みんなドラマの話と同時に自分の話をしている。「椿の花咲く頃」について話しているとき、ドンベクの幸せを願っていると口にするのは、他人事とは思えないという気持ちの表れだ。いまはまだ花開いていないから、その真価に気づいてくれる人はいないけれど、自分の人生もいつかは花が咲くと信じ、ひょっとしたらいまこそ「花咲く頃」かもしれないと思いながら、ドンベクを応援する。
「恋のスケッチ~応答せよ1988~」の「オナムテク」と「オナムリュ」論争を通じて自分の好みをさらけ出し、「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」を観て涙がこみあげてきたと話すことによって、自分もまた会社を出たあとにつらい夜を過ごしている社会人のひとりなのだとさりげなく打ち明ける。

 いわゆるクールであることが美徳とされる昨今、自分の胸の内を誰かにさらけ出すことはどんどん難しくなっている。親しい間柄でさえ、むやみに本心を表に出すのは相手の負担になる。だから、親しいと思っている同僚や友人、ましてや家族や恋人同士でも、互いが抱える苦しみや痛みはおろか、喜びや楽しみさえもわかっていないことが多い。
 そんなとき、ぼくたちはドラマの話をする。すると、相手がどんな人で、いまどんな気持ちなのか、ストレートに訊かなくても察することができる。
 なんとなく生きていて、ある日、ふと目にしたドラマのごく平凡なセリフのひとつが、小さなナイフのように飛んできて胸に刺さることがある。そのひと言に大の大人が声をあげてわんわん泣くこともあれば、わけもなく楽しくなってにこにこしている自分を発見したりもする。
 そんなときぼくたちは、自分でも気づかないうちに人生の栄養ドリンクを飲んでいるのだ。ほんのわずかな量かもしれないけれど、そのドリンクのおかげで、直面している現実に打ち勝てるようになる。つらい一瞬を乗り越え
させてくれるのだ。
 だから、どうしようもない日は、現実という明かりをしばらく消して、ドラマが描く夢の中を旅しよう。ひょっとしたら、現実の困難に打ち勝てるアイデアや癒やしが手に入るかもしれない。
 ドラマの中の人生はどれも楽そうには見えないけれど、現実のぼくたちの人生はドラマチックなハッピーエンドを迎えられますようにと願って。

                         チョン・ドッキョン


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