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戦前ベストセラーをはじめ、戦前文学や戦前文化に関心があります。

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最近の記事

福岡隆『日本速記事始』読書メモ①「日本文字始而造候居士」

 速記について知るべく、福岡隆『日本速記事始―田鎖綱紀の生涯』(岩波新書1978年8月)を読む。  この本は、日本速記の始祖と言われる田鎖綱紀の伝記である。著者の福岡隆は、新聞雑誌記者でもあるが、それよりも松本清張専属の速記者として有名な人物である。  田鎖綱紀はアメリカのグラハム式という速記法を参考にして日本語の速記法を創案し、「日本傍聴記録法」と名付けて明治十五年九月十六日付『時事新報』で発表している。考案までには相当の苦心があったとのことだ。  同年、田鎖によって「日

    • 先日とり上げた論文で言及があったが、成功した出版人が不動産に手を出したという件について、『雑誌王は不動産王 』市原 徳郎著作、を見つけた。Amazonではアダルト本に分類されているのはどういうことか。 https://www.amazon.co.jp/dp/4885463807/ref=cm_sw_r_tw_dp_Y05R9BQKS30Q43CPQJR7

      • 清田昌弘「戦前の受験雑誌にみる出版事情」を読む。

         清田昌弘「戦前の受験雑誌にみる出版事情――その広告媒体を利用した鈴木一平の戦略」は、『日本出版史料 制度・実態・人 2』(日本出版学会出版教育研究所編集、日本エディタースクール出版部、1996年8月)に掲載されている。  大修館書店創業者として知られる鈴木一平だが、この文章は鈴木の出版指針がどのようなものだったかを教えてくれる。  大修館書店は今や教科書会社でもあるが、創業時大正七年は学制も整い状学校への進学者が増えた時期でもあり、受験参考書を出版することで事業を拡大し

      福岡隆『日本速記事始』読書メモ①「日本文字始而造候居士」

      • 先日とり上げた論文で言及があったが、成功した出版人が不動産に手を出したという件について、『雑誌王は不動産王 』市原 徳郎著作、を見つけた。Amazonではアダルト本に分類されているのはどういうことか。 https://www.amazon.co.jp/dp/4885463807/ref=cm_sw_r_tw_dp_Y05R9BQKS30Q43CPQJR7

      • 清田昌弘「戦前の受験雑誌にみる出版事情」を読む。