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パレスチナ情勢を受けて緊急出版! エドワード・サイード没後20年の節目に中井亜佐子『エドワード・サイード ある批評家の残響』を刊行します。

エドワード・サイード没後20年

文学、音楽、パレスチナ問題など分野横断的に論じた批評家、エドワード・サイード。ポストコロニアル批評の先駆者として『オリエンタリズム』などの著作を残した。イスラエルによるガザへの軍事攻撃が激化。いまサイードの著作が読みなおされている。彼にとって、批評とはどのような営為だったのか? 没後20年をむかえた今、その思考の軌跡をたどりつつ、現代社会における批評の意義を問う。


中井亜佐子『エドワード・サイード ある批評家の残響』

2024.3.14
朝日新聞の「好書好日」で中井亜佐子さんのインタビューが公開されました
「エドワード・サイード ある批評家の残響」中井亜佐子さんインタビュー 研究・批評通じパレスチナを発信した生涯
https://book.asahi.com/article/15197337

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刊行記念イベント開催決定!
「いまエドワード・サイードを読むということ」

【出演】
中井亜佐子さん・河野真太郎さん
【日時】
2/11(日) 18:30~20:00 (延長の可能性あり)
【形式】来店参加・オンライン
*イベント終了後アーカイブ視聴あり(視聴可能期間:2024/2/11~3/11)
【主催・会場】
本と珈琲の店 UNITÉ(東京都三鷹市下連雀4-17-10 SMZビル1F)

→イベントの様子が「週刊読書人」2024年3月8日号に掲載されます。
対談=中井亜佐子×河野真太郎「批評とは何か いまサイードを読むこと」

https://dokushojin.net/news/441/

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『エドワード・サイード ある批評家の残響』刊行記念 中井亜佐子さん選書フェア 全国書店で開催!

著者の中井亜佐子さんが選んだ、サイードやパレスチナ問題にかんする書籍を推薦コメントとともに展開しています。

【開催予定書店】
 ・ジュンク堂書店池袋本店

・丸善 丸広百貨店飯能店

丸善 丸広百貨店飯能店のフェアの様子

・丸善 広島店

・くまざわ書店山形店

くまざわ書店山形店のフェアの様子

 ・同志社大学生協 

 ・紀伊國屋書店札幌本店

紀伊國屋書店札幌本店のフェアの様子


 ・紀伊國屋書店ウェブストア 

 ・湘南 蔦屋書店 

湘南 蔦屋書店のフェアの様子

開催店舗は順次更新いたします。

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刊行後続々反響の声が届いています。

【エドワード・サイードとは?】

1935年、エルサレム生まれ。幼少期をカイロで過ごす。ハーヴァード大学で博士号を取得。その後、コロンビア大学で比較文学を教えつつ、パレスチナ解放運動にかかわる。主著『オリエンタリズム』は、人文学の学問領域の再編をうながす画期的な著作。2003年、ニューヨークで逝去、2023年に没後20年を迎えた。

序章より

 本書は当初、エドワード・サイードの没後二〇年という節目の年にあたって、「批評家」としてのサイードの仕事を再検討することを目的に構想された。二〇二三年中に刊行するには夏までに原稿を完成する必要があったが、筆者の怠慢により、ぐずぐずと先延ばしにしていた。二〇二三年九月はオスロ合意三〇周年でもあった。しかし、日本ではパレスチナにもサイードにもそれほど大きな関心は集まらなかった―一〇月七日が来るまでは。
 ハマースによる奇襲攻撃に応じて、イスラエルはただちにガザへの総攻撃を開始した。アメリカのバイデン政権も、即座にイスラエル支持を表明した。一一月上旬までにイスラエル軍の攻撃によって一万人を超えるガザ住民が亡くなり、イスラエルによって電気の供給を止められたために、ガザの病院の多くが閉院を余儀なくされたと報道されている。ソーシャル・メディアは、傷ついた子どもたちや廃墟と化した街の画像で溢れかえっている。この文章を書いている最中には、イスラエル軍がガザ最大の病院に突入したというニュースが流れてきた。これほどの人道危機に直面しても、アメリカ、ヨーロッパ諸国、日本の政府はイスラエルにたいして強い対応に出てはいない。他方、各国では何千人、何万人もの市民たちが路上に出て、停戦とパレスチナ解放を訴えている。
 そして、エドワード・サイードの名前もまた囁かれはじめた。いざとなればすぐに呼び覚ますことのできる亡霊のように。死後二〇年経っても、彼の精神はけっして安眠させるわけにはいかない、とでもいうかのように。

『エドワード・サイード ある批評家の残響』序章より

【著者プロフィール】
中井亜佐子(なかい・あさこ)
1966年生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科教授。専門は英文学。オクスフォード大学博士課程修了(D.Phil.)。著書に、『日常の読書学――ジョゼフ・コンラッド『闇の奥』を読む』(小鳥遊書房、2023年)、『〈わたしたち〉の到来――英語圏モダニズムにおける歴史叙述とマニフェスト』(月曜社、2020年)、『他者の自伝――ポストコロニアル文学を読む』(研究社、2007年)など。翻訳に、ウェンディ・ブラウン『いかにして民主主義は失われていくのか――新自由主義の見えざる攻撃』(みすず書房、2017)など。

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