南綾子「タイムスリップしたら、また就職氷河期でした」を読んだ。めちゃくちゃ面白かった。今この2021年にこそ読むと楽しい、リアルタイム性のある小説で、「自分に起きたこと、自分の思うこと全部書くんだ!」という南綾子の文章の熱も相まって非常に感情移入して読んでしまった。前作の「結婚のためなら死んでもいい」が強烈に面白くて今回も買ったんだけど、ファンになって良かったと思った。
 南綾子の本には、おじさんが「強烈に悪い状態」で登場するのが面白い。セクハラパワハラ満載で、同情できる余地が一切ない純度100%の嫌なおじさんが出てくる。そのたびに、読んでる僕は「おー来た来た!」とワクワクしてしまうので、怖いもの見たさというかキモいもの見たさという需要ってあるよなーと、僕もこのブログを書き出したときのような気持ちを思い出したりした。


 僕の仕事場に、音がすごい嫌なおじさんがいる。今日はフルコースで、外から入ってくるとまずうがいをするんだけど、そのうがいの音がすごくて、口全開で「カーーーッッ!!」と喉をかき鳴らしながら工事現場みたいな爆音を出す。爆音で口も大開きだから、うがいが終わると洗面中、鏡まで飛沫でビショビショになってしまう。会ってしばらくは物珍しくて面白くみてたんだけど、毎回だとするとだんだん辛くなってきて、今はうがいが始まるちょっと前に僕は別室に移動して、耳を塞いでうずくまるようにしている。
うがいが終わったら朝ごはんなので、お湯をピーッ!!と沸かしてペヤングを食べる。口を開けてクチャクチャグチャグチャと咀嚼して、食べ終わったらグァー!と大ゲップで臭いと音がすごい。食べ終わると今度はトイレに行くんだけど、僕がいる場所とはドア一枚隔てただけなので、肛門からウンコが出る時の「ミチッ、ミャチチッ」という音が聞こえてきたな思うとすぐブリリー!と勢いの良い音が聞こえてきて、もうホント最悪ほんと最低な1時間を過ごさなくてはならない。
というだけの話で、展開や学びはない。キモいものをキモイままに伝えたい。


◯読んだ本
南綾子「タイムスリップしたら、また就職氷河期でした」
舞城王太郎「煙か土か食い物」
スティーブン・キング「ミスター・メルセデス」
森博嗣「読書の価値」
月村了衛「機龍警察 自爆条項」
宮内悠介「偶然の聖地」
綿野恵太「みんな政治でバカになる」
笙野頼子「三冠小説集」
アガサ・クリスティ「春にして君を離れ」
杉田俊介「マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か」

サブウェイのアボカドベジー食べます