確率問題で問われるもの

1から6までの目が出る立方体サイコロ3個を同時に1回振った時、出目が「2種類以上」になる(555のようにゾロにならない)確率は何%か。

という問いに対して、A氏が次のように回答した。

 「少なくとも2個目のサイコロの目が1個目と異なれば
  条件を満たすので、答えは 5/6≒83.3% 」

これは正しいだろうか?

振るサイコロの数が多くなるほど出目が全部一致するのは確率的に低くなるので、ほぼ確実に「2種類以上」になる。だが、A氏の考え方だとサイコロがどれだけ増えても変わらない。
実際、間違っているのだが、A氏の回答のどこがどう間違っているのかを説明できる人はあまり多くない。たとえ冒頭の問いに対して下記のような模範的な解答ができる人であっても、だ。

 模範解答例1:
 全組み合わせ(6×6×6=)216通りのうちゾロは(111から666までの)
 6通り。残りの210通りが条件を満たすので、210/216≒97.2%

 模範解答例2:
 サイコロが3個とも同じ目(ゾロ)になる確率を1から引けば良いので、
 2個目が1個目と同じになる確率 1/6
 3個目も同じになる確率 1/6
 同時に3個とも同じになる確率 1/6×1/6=1/36
 よって、1-1/36=35/36≒97.2%

従来の教育では、単に解答を導き出せれば良いとされた。「正答と誤答の差は何か、誤答者は何を見落としているか」等を考えさせないのだ。
だがこの教育法では、「一見正論に見えるが実は間違っている非論理的な主張」に対する批判的思考力が乏しい人々が量産される。実際、「少なくとも2個目が」等とミスリードされそれ以外の選択肢を見えなくさせられると、多くの人がそこで「必要な情報は与えられた」と思考停止してしまう。
たかがと思うかも知れないが、この論理力・批判力の低さが、どれほど多くの社会的トラブルを引き起こしていることか・・・。

 A氏の回答は「1個めと2個目が同じで3個目が異なるケース」、即ち
 2個目が1個目と同じになる確率 1/6
 3個目が別の目になる確率 5/6
 これらが同時に起こる確率 1/6×5/6≒13.9%
 の分だけが抜け落ちている。


以下、弊サイトより抜粋。

あらゆる社会問題に共通する根本原因は無知思い込み勘違い誤解視野狭窄。解決に必要なのは適切十分な高水準教育(≠高学歴)。
義務教育で哲学や心理学を教えないから、先見力協調性適応力自制心倫理観論理力EQ各種リテラシー問題解決力等が低くなる。

高水準教育≠高学歴。低水準教育下では幾ら高IQ高学歴でも情報分析力・批判的思考力・柔軟性・想像力等の低い人格に育つ。
低水準教育(洗脳)を受けた者ほど「脅せば殺せば解決、怒りの原因は他者、己の知見こそ全で真」等と視野狭窄。

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