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新規配信実践用「マイク・音声編」(4/15時点。随時更新)

はじめてこちらの記事を見る人もいると思うので自己紹介を簡単に。

倉垣吉宏といいます。
舞台芸術創造機関SAIという日本の劇団を主宰したり、舞台演出をしたり、脚本を書いたり、アトリエサードプレイズという芸術・表現者のための小さなアトリエを運営したりしています。演劇に関わる人がなるべく幸せに活動出来るようにしていくための、色んなシステムをつくったりイベントをつくったりもしています。

この2月下旬から徐々に忍び寄っていたコロナの影響を受けて、4月以降の劇団の活動、アトリエでの催しを、中止・延期して、観客を招き入れない状態で出来ることを4月頭より開始しました。これにはとてもシンプルな理由が2つあって

①単純に収入がなくなるから代替となる新規事業の開発
②コロナ影響が2021年春まで続くと見越し、新たな創作・表現の実験。

というものです。

コロナ以降の演劇関係者が配信をたくさんはじめる流れに関しては賛否あります。
ひとつの方向に動いてないというのが実際で、多様的であるからそりゃそうなんですが、演劇が三密を要求する芸術形態であることが、大きな理由になっています。これについてはまた今度書きます(書かないかもしれませんが。)

この記事は、生き残りをかけて色んなチャレンジをしている中で得たノウハウをみんなにお裾分けするためのものです。
どういう理由・経緯であろうと、配信サービスを通じて作品の発表・お客様との交流を行おうとしている個人・団体にとっての一助になればと思い書いています。それが結果的に自分たちや文化そのものを救うことになると、大袈裟ですが考えています。
本日は「マイク・音声編」です。

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詳細は前回の「カメラ編」を読んでいただければわかりますが、
配信コンテンツで一番手をかけた方がいい部分がこの「マイク・音声」だと思います。
Youtubeのように自分が納得するまで編集出来る場合を除き、殆どがライヴです。リアルタイム配信をする上で、しかもイヤホンなどをつけながら聴いている人もいるかもしれないことを考えると、機材・パフォーマンス共に、注意をしないと少し残念な仕上がりになってしまうことがあります。
特に「ノイズ」の類は耳を疲れさせるので、長時間の配信の際にはより注意するポイントになります。

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①パフォーマンス編
現役の声優さんも配信コンテンツには沢山参加されています。
自宅を簡易スタジオ化し収録の環境を調整されている方もけっこういらっしゃるようで、技術・環境ともに合わさり配信のクオリティも高く安定してます。
マイク前収録・演技をする点で前述の「ノイズ」に相当するもので、NGパフォーマンスを以下列記します。
「自分は声優じゃないし」「プロじゃないんで」と言ってスルーするのもひとつですが、リスナーのことを考えて配信して欲しいなと思うし、意識すれば改善出来るし、実際の演技やパフォーマンスにも良い影響があるので、いいことしかない!!!!!
・ペーパーノイズ(紙送りで発生する摩擦音。)
・リップノイズ(唇の開閉等で発生する摩擦音・破裂音)
※リンク先は参考程度です。

上記二点は調べると声優の注意事項でめちゃくちゃ出てきますが、それは声優業がスタジオ収録を前提で収録にはスタジオエンジニアが居てエンジニアさんが音の調整をしてくれている=エンジニアさんの作業量を減らすことで効率が上がるのでそこは声優(演者の仕事)
という現実があります。
なのでこれはそのまま使える話で「編集動画でも生配信でも気を付けた方がいい!」理由としては十分だと思うんですね。どうせやるなら時間や手間を減らせるに越したこたあない。

具体的な対策は自分で実践しながらやってみて下さい。
僕のオススメは、ぺーパーノイズ対策にはタブレットなどを使ってそもそも紙を出さない。紙を使う時は気をつけてめくる。
リップノイズは、歯磨きをして、水分摂取をすること。普段の癖で音を鳴らしちゃう人は意識すること。以上です。

②マイク編&オーディオインターフェース

ここからは現在アトリエで組んでいるセットの中から、個人配信に使えそうで尚且つ、総予算2~3万以内ではじめられるものを紹介します。※余談ですが、以下に紹介する機材は音響用のオーディオインターフェースとして弊劇団で使用しているものです。つまりある程度詳しい方なら分かると思いますが、お手持ちのオーディオインターフェース+マイクでも同じことが出来るのです。

正直な話、これから準備して配信をしたいという方、初期投資を抑えて配信のクオリティを上げたい方にはコレ一択というぐらい「便利で簡単」です。
まず本体そのものに無指向性のコンデンサーマイクが内臓されています。(マイクの指向性については調べてね)こいつが既に優秀です。自宅配信等される場合でも、前述のノイズと、生活ノイズさえ気をつけてもらえればそれだけで配信の印象が変わります。

アトリエで配信する際は、これに別途ミキサーを繋いでそこにマイク等をセッティングしています。この子自体にマイクも一本させるので、お手持ちのダイナミック/コンデンサーを使ってもらえれば良い感じ&ラジオ感を演出することも出来ます。本体にiPhoneを接続しBGMを流しながら配信したりも出来ますので、特別なソフトなど使わなくてもお手軽で本格的な配信が出来ます。(重要)

さらにPC配信の場合は、ポン出し・マイクリバーブ・マイクエフェクトも使えます。この辺は専用ソフトをダウンロードして音色を設定します。配信用にジングルを設定してポン出しするなんてことも可能なんで便利です。
※ちなみにマイク入力2つある上位機種もありますが、そちらは本体マイクが内臓されていないため今回は推してません。→https://amzn.to/2ycdp2X

尚、こいつの優秀なポイントに、iPhone配信、PC配信共に対応があります。iPhone配信の場合は変換ケーブルとUSBの電源が必要であったり、ポン出し機能やリバーブ等エフェクト類が使えないのですが、それでも十分な性能です。変換ケーブルは下記。

↑これ、正規品以外だと変換接続の安定性に欠けますのでiPhone配信を考えている方は安物買いの銭失いにならないように出来たら正規品を買おうね・・・。アンドロイドでの配信は未チェックで、探した感じチャレンジされている方はいませんでした(4.15時点)

マイクロBのケーブルは結構自宅に余って転がっているという人もいるかと思いますが、Amazonのこのシリーズはケーブル線が太く安定性が高くリーズナブルなのでおすすめです。

なお、音の明瞭度という点ではiPhoneの付属イヤホンも悪くないです。というか何も買わねえ!!!という場合で自分だけ配信ならこれで十分かな・・・と。ただ、接触ノイズが頻出しやすい(マイク位置の都合で)ので、このあたりは配信などにはやや不向きかなと思います。


でここからはもう少し知識が必要だったりする&価値が分かればめっちゃお買い得なオススメです。

基本的な仕事は先述のTASCAMのオーディオインターフェースと同じなのですが、普通にアナログミキサーとしての機能が便利過ぎます。6チャンネルまで入力使えます。あとオマケのように楽曲編集ソフト「Cubasis LE」がついてきます。この時点で2万って安い・・・。
DTMやろうとしている人、ミキサーも欲しい人なら断然こちらをおすすめします。うちも今使ってるコンパクトミキサーがなかったらこいつを買っていたでしょう。小スペースでの演劇・ライヴをやる上でも必要な機能満たしすぎててYAMAHAの殺意の高さに慄きます。自宅ライブ配信するって人にもおすすめかな。

こんな感じで接続できるよ。↓

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そしてこいつも分かる人にはオススメです。

インターフェースなしで高音質に収録
インターフェース不要で手軽に高音質な録音ができるMV51は、アイコニックなShureの55SHを髣髴とさせるようなヴィンテージデザイン。25mmのプロレベルのラージカプセルが詳細な音声をキャプチャーし、5つのDSPプリセット(歌声、スピーチ、アコースティック、バンド、フラット)で、最適な録音モードに簡単セットできます。

・・・SHUREはマイク老舗です。バンドマン御用達のSM57.58とかね。皆好きだよな?!
で、こいつはiphoneやアンドロイド端末に直結して高音質録音・配信をすることを前提に作られたコンデンサーマイク。用途が制約されたコンデンサーマイクで、XLM(キャノン)端子がついていない。他の用途を考えたらここでちょっとひっかかるんですけど、配信用に振り切ったらややオーバースペック気味でええやん?と感じる性能。
専用アプリの評判がめちゃくちゃ良くないので「USB接続出来る高音質マイクが欲しい人」向けかなということで、少し使い方を考える必要がありそうなので初心者向けではないです。気になるけど倉垣的にはいいかな~?と思うマイクです。コンデンサーマイクとして考えたらこの価格帯なら他に競合があるし、本日の記事のポイント「2~3万で配信のクオリティを上げる」という点でも微妙です。資金力ある方で初期投資を惜しまないなら選択肢としてはアリです。あと見た目がいいな。

下のリンクにあるように同社からはもう少しリーズナブルなSHURE MV5というのがあります。
基本的にはこいつと変わらないのだけど、音質・性能共に7000円でかなり変わるので正直これぐらいの値段のものを買うなら上記のモデルがいいかな・・・と思ってます。


③必要なケーブル類

iPhoneを接続してBGMを流する時のケーブルで入力がiPhoneと同じタイプ

iPhoneを接続してBGMを流する時のケーブルで入力が赤白①

iPhoneを接続してBGMを流する時のケーブルで入力が赤白②

④マイク・ケーブル類

ダイナミックマイク(ライヴなどで使うもの)とコンデンサーマイク(レコーディングやスタジオ収録で使うもの)があります。
配信は正直どちらでもOKな感じで、ちゃんとオーディオインターフェースかましてあれば変なノイズもないかなーという印象です。ポップノイズが気になる場合はポップガードつけてねって感じです。そんな至近距離で喋ることないですが。

弊アトリエではダイナミックマイクで使用機材は以下。
※マイク買うならサウンドハウスの方が安いと思います。ケーブル類は一概にAmazonと比較してどっち!!とは言えないものもあるので、よく見ながら、値段だけで決めずにって感じでしょうか。→https://www.soundhouse.co.jp/

マイクケーブルの説明は割愛。ミキサーと録音に使っているレコーダーは廃番のため割愛します。

■セッティング例①■
iPhoneで配信する場合で、朗読とかライヴを配信する場合のセッティングだとこんな感じです。ミキサーは使わずにICレコーダーでも臨場感あっていいかなと思います。

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■セッティング例②■
iPhoneだけ、オーディオインターフェースの内蔵マイクだけのツイキャス配信などの場合だとこんな感じ。これだけでももう全然いい感じになります。

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いかがだったでしょうか。
実際このセッティングで江古田兎亭&B2アトリエサードプレイズから配信が可能です。コロナショック落ち着いて、アトリエから配信してみたい!などあれば言って下さい。全力でサポートします。
あとは、通信環境について。これは一番最後に書きます。この記事が誰かの役に立ってたらOKだぜ!!!

【未曾有の危機を前に戦うSAIと倉垣吉宏を応援してくれる方はこちらもよろしくお願いいたします!!】


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