カナブン踏みそうな夢

秋のにおいのする草原の斜面をもうすぐ登りきるというところで足下をみると、草にまみれてカナブンがいる。斜面はなかなかにきつく、わたしは最後の段差をすでにかなり無理な体勢で登りきろうとしているところで、そこにくわえてカナブンを避けるというのは、いろんな筋肉を作動させねばならぬ大変なミッションであるように思われた。
頂上に手をつき、カナブンがいる左側から足をあげ、右足は、ずれ落ちることのないよう斜面の窪みに固定し、腕力をフルに活動させながらなんとか登りきることができそうだった。
ふと、足元を見やると、先ほどのカナブンの背中にてんとう虫が乗っていた。
カナブンはもぞもぞと動きながらてんとう虫をどこかに運んでいて、その姿は親が赤子を背負う姿に重なってみえるのだった。
めったにないことだと感じ、柔らかく明るい光が心にさした気がした。

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