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2021.5.24 母になる2

病院へ向かう二人きりでの最後のドライブ。
なんとも言えない非日常感と不安からかとにかく二人共笑って喋って到着。
消灯時間過ぎの病院はひっそりとしていてナースステーションだけが夜のコンビニのように光っていた。

すぐに診察台でチェック、破水しているのでそのまま入院しましょうとなる。
廊下で待つ夫が不安な顔をしないようにしている。私達はビビリなのに。優しい。
じゃあまた明日ね、とお別れして陣痛室ですごすが
陣痛が来なさそうとのことで一旦臨時の病室へ。
一人きり。
まだあまり痛みは無いが来るべき時がきた緊張と不安で眠れない。麦茶を飲んだりする。


朝になって窓から外を眺める。
どうなるんだろう。
外はいつも通りなのに私はこれから知らない世界へ進む。死ぬかもしれない。夫は大丈夫だろうか。
そんなことを考えてベッドに横になっていると昨夜対応してくれた助産師さんがやってきた。

よわい陣痛はおさまってしまった。破水をしてから時間が経ってしまうのは危険とのことで、陣痛促進剤を使うとのこと。まさか使うとは。
諸々検査をして、分娩台で促進剤を打ってもらう。
弱い陣痛が来ているがまだ時間がかかるだろうと待機室へ。
下剤が効きすぎた時のような腹痛が波のようにやってくるが、この位ならと耐えていた。
隣には助産師さんがついていてくれる。
助けてくれ。と喉元まで出かけて耐える。
どんどん痛くなる。
怖い。今すぐ逃げ出したい。痛い。
もともと和痛分娩を希望していたので助産師さんに和痛やってくださいと泣きつく。助産師さんの腕を強くにぎりながら深呼吸にならない声をあげる。深呼吸ってなんだ。痛い。助けてくれ。もう無理です。出る。

陣痛の僅かな合間についに分娩台へと歩く。
聞いてはいたが本当に歩いて行くんだ。急がないとやばい。もう嫌だ。出る。


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