福島ユナイテッドFC 2024シーズン前半戦の選手通信簿

今シーズンも早くも折り返しということで今回もうだうだと書いていきます。まさかの前半戦を昇格プレーオフ圏内の6位フィニッシュ!しかも2位とは勝点2差!という近年稀に見る希望に満ちた折り返しを迎えました。基本布陣にアンカー配置型の4-3-3を採用し、川崎式のポゼッションというか風間サッカーに端を発するトメルケールの教義を取り入れたパスサッカーがうまいこと浸透して下馬評を覆す好成績となっています。これには長年「ジブンタチノサッカーとか言ってねえでさっさとデカいFWに放り込め!」と言い続けた僕も思わずニッコリ。J2昇格を十分に狙える位置につけてはいますが一寸先は闇なので後半戦も気を引き締めて行きましょう。今年昇格できないとたぶん選手を次々抜かれて来年相当苦しい思いをするのが予想できるので今年絶対昇格!強い気持ちで!
今回出場記録にカップ戦も書いときましたけどルヴァンと天皇杯福島県代表決定戦と天皇杯の記録を合算してます。アシストは集計してないので書いてません。

GK
1番 吉丸 絢梓 リーグ戦19試合出場20失点 カップ戦1試合出場2失点
今年新加入ながらレギュラーをガッチリ確保。まあ年齢的には中堅だしね。キックの精度と足下の技術が他のGKとは段違いなもんでレギュラーなのは納得ですね。たぶん山本海人の方がコーチングとか止めるのは上手いんだろうけど、吉丸以外ではビルドアップが全く別物になってしまうので。ポゼッションしたい福島としても躊躇せずに最後尾までボール下げられるし疑似カウンター風味なフィードも繰り出せるので今シーズンは怪我でもしない限りポジションは譲らないかと。ここ最近は結構きわどいのも止めてくれるようになってきたので後半戦も頼む。

22番 山本 海人 リーグ戦出場なし カップ戦3試合出場3失点
今年は2ndの立ち位置でカップ戦のみの出場。やっぱ海人さんはヤバいとこしっかり止めてくれるんですよ。そういう信頼感がある。ガンバには普通にやられたが。福島に来たばっかの頃よりだいぶ蹴れるようになったし、39歳になる年齢も考えると十分すぎるほどやれてるんだけどもビルドアップの部分で吉丸に遅れをとってる。ただベンチにいてもベテランとして振る舞える、発信できる、そういうところも強みなのでピッチ内外での貢献は計り知れない。後半戦も出番はあんまり無さそうだが山本海人の物事に取り組む姿勢がとても重要なので、チームの兄貴分として支えていってほしい

31番 安西 駿 リーグ戦出場なし カップ戦出場なし
大卒2年目の地元出身選手なのだが天皇杯福島県代表決定戦ではベンチ入りしたものの全く試合に絡めず。怪我での出遅れの影響もあったため仕方ない部分はあるが福島県出身選手がゲームに絡むところが見たいというのが本音です。まあ吉丸と山本海人の牙城は相当堅いので辛抱強くやるしかない。会津での盛り上がりを見るとやっぱ地元出身選手って大事だなあと思わされたのでなんとか試合に絡んでほしいところ。キック精度磨いていけばあるいはという気もするので頑張ってほしい。

39番 中川 真 リーグ戦出場なし カップ戦出場なし
法政大レギュラーの大卒ルーキー、188cmのサイズ、J2からのオファーを蹴って福島入りということで、ともすればレギュラー奪取か!?なんて思ったけど普通に吉丸と山本海人の牙城が堅すぎる。コーチングとかやっぱ2人にだいぶ分があるんすよね。天皇杯1回戦こそベンチ入りしたものあとは全くゲームに絡めず。1年目だし焦らず力をつけていって欲しい。今は学ぶ段階。

DF
2番 山田 将之 リーグ戦18試合出場 カップ戦出場なし
今シーズン新加入。CBのレギュラーを全く譲らなかった。高い、蹴れる、速い、強いとCBとして理想的すぎたし大武の影を早々に払拭してみせた。大抵の事は出来るし結構無理めな体勢からでもしっかり強くボールを蹴れるフィジカルも魅力。ビルドアップでも良いフィードや縦パスを入れられるし、足下もプレスをいなせる技術がある。ぶっ飛んでくるスライディングの射程の長さも良い。文句の付けようが無い活躍だったので後半戦も頼みます。堂鼻ほど頑丈ではなさそうだし、寺田監督も酷使しないようには気をつけてるっぽいのであんまり連戦とか得意じゃないタイプなんだろうか。怪我には気をつけて今シーズンフル稼働してほしいところ。わらじ踊りが気だるげなのが気にはなるが、スクールに顔出してくれたりするのでたぶんナイスガイです。

3番 松長根 悠仁 リーグ戦13試合出場 1ゴールカップ戦2試合出場
J1川崎からレンタル加入。高卒2年目ながらコンタクトを全く苦にしないフィジカルとゴール前まで突っ込んできてシュートに持ち込める走力で右SBのポジションを柴田と激しく争っている。ゴツい割にアウトサイドで意外性のあるパス出したり、器用なタッチで前向いてマーカーを剥がしたりとやたらテクニカルなのが面白い選手。高卒2年目でここまでやれれば上出来もいいとこなんだけど川崎で試合に出ようと思ったらもっと出来ないといかんよねというところなので判断が難しいところ。ビルドに関与しても特にノッキングを起こしたりするわけじゃないし、クロスも具合はいいんだけど、味方を縦に走らせるパスについてはもっと出来ないと3トップを活かしきれない気がするので伸び代かと。タフネスは折り紙つきなので後半戦も柴田共々試合に絡んでくるでしょう。

4番 堂鼻 起暉 リーグ戦18試合出場 2ゴール 1アシスト カップ戦1試合出場
大卒4年目を迎えまさかのキャプテンに就任。CBのレギュラーを確保し山田と鉄壁のコンビを形成した。まあまずキャプテンてのがびっくりだよね。そんなに声出してグイグイ引っ張るタイプじゃなかったから。ただ寺田監督も相当期待して抜擢したんだろうし、プレスを受けて苦しいときにこそボールを前に持ち出してビルドのコース作ろうとしたり、苦しい状況で点取ったり「俺の背中を見ろ」タイプのキャプテンではある。前にも増して身体がガッチリして頑丈になったし、足下もめちゃくちゃ上手くなったのでビルドアップだけでなくフィードでチャンスメイクまで出来るようになった。対人、ビルド、文句無しのパフォーマンスなのでポジションは揺るがないでしょう。最近やらなくなったけどゴールを強襲するロングシュートもまたやってくれんか。後半戦も頼みます。

24番 宝納 拓斗 リーグ戦出場なし カップ戦2試合出場
出場は社会人チーム相手のカップ戦での途中出場のみ。左SBやCBでポジションを争ってはいるがポジション争いは相当厳しい状況。高卒2年目のDFという難しさはあるとはいえここまで試合に絡めないとレンタルで武者修行も視野に入れなくてはならないかと。同学年の松長根と大関とはだいぶ仲良さそうなのは微笑ましいが。このままゲームに絡めないようだと柴とか八木みたいなことになりそうなので、試合に出られる環境に身を置くべきかと思うけどどうなんでしょね。

27番 野末 学 リーグ戦1試合出場 カップ戦3試合出場
いいキックは持ってるけど堂鼻と山田のコンビ+大森の牙城を全く崩せない。ほぼカップ戦要員状態でベンチ入りすらままならなかった。後ろから繋ぎたいチームなので野末のキックの質は活きるはずだけどタフに守れる頑丈さが足りていないのかなーという感じ。まずは大森に肩を並べるところから。SBとかアンカーもやれるみたいなユーティリティな方向性に振っていっても面白いかもしれない。というかそうでもないと突破口が見当たらない前半戦だった。がんばれ。

28番 鈴 直樹 リーグ戦15試合出場 カップ戦出場なし
3バックの左なら最高だけど4バックだと割りを食って出場機会減りそうだなあなんて開幕前に思ってたら実力者秋山を控えに追いやり左SBのレギュラーをガッチリ確保。まさかここにきてクロッサーとして覚醒するとは。かなり良い具合の多彩なクロスをどんどん入れてくれるし、プレスを剥がして前に持ち出すのも上手いし、守備でも競れるし走れる。序盤戦は不慣れでポジショニングとか危なっかしさがあったもののここまで早く順応するのは流石のインテリジェンスかと。アシストがなかなかつかないけど継続的にチャンスメイクは出来てるので時間の問題でしょう。後半戦こそ結果を残そう。

55番 柴田 徹 リーグ戦10試合出場 カップ戦4試合出場
「福島をJ2に上げるために残った」と豪語し湘南からのレンタルを延長した須賀川の漢。松長根に追いやられ右SBのバックアップに回っていたものの、地道に守備のタフさを身に着けてポジションを奪回。相手によって使い分けの雰囲気が出てる。一応は副キャプテンなのでキャプテンマーク巻いたりもした試合も。アーリークロスとかWGを縦に走らせるのは明確に松長根より上手いよね。粘り強くタフに守備もこなせるようになってきたけど、湘南でゲームに絡むならこのパフォーマンスでは勝負できないと思うのでさらに上を見てやっていきましょう。去年ほどビルドの中から斜めに動いてゴール前に侵入するといったプレーが出来てないのでさらに持ち味を発揮できるように落とし込んでいってほしい。地元の期待は大きいぞ。

MF
5番 大森 博 13試合出場 カップ戦4試合出場 1ゴール
徳島からのレンタルも3年目。デカいし足下も上手いということで主にCBのバックアッパーに定着、リード時の逃げ切り戦術5−3−2を発動する際の5バック要員としても高い機能性を発揮。なんか大森はスクランブル発進してそれっぽくこなせるから凄いよなと。バックスとして途中出場から試合に入るのが早いってのは強みではあるよな。インサイドハーフとかでちょろっと出場した事もあったがそこまで有効な活躍は見せられなかった。長い手足で中盤をガションガションと駆け回ってるのはエヴァンゲリオン味があって面白かったのだが。個人的な感想なのだがやっぱ大森は中盤やってた時の鮮烈な印象が忘れられないのでインサイドハーフとかアンカーとして育って欲しいんだよな。CBはそれっぽくこなすけど凡庸というか、レギュラー2人に比べるとそこまで強くはないよなといった雰囲気なので。レギュラーを掴むにはとにかくもっとタフさを身に着けてビルドの部分も縦に刺す場面を増やしていく必要があるんじゃないかしら。

6番 秋山 陽介 リーグ戦4試合出場 カップ戦4試合出場 1ゴール
J1、J2での経験が豊富な左サイドのスペシャリストのはずが大卒2年目の本職かどうか怪しい鈴に追いやられ左SBのバックアップの位置を覆せなかった。29歳になるしこの状況に甘んじてはいけないのだが。ポジショニングとかは結構いいし組立への関与は全然悪くないんだけど対人守備の強度とかの問題で試合に出られないんだろうか。秋山が悪いわけじゃないけど出場したリーグ戦全てで敗戦してるのも印象が悪い。やっぱ長年の課題であった守備力と向き合う時なのかもしれない。ベテランに片足突っ込んでるので黙々と準備し続けるしかないと思うのでひたむきにがんばれ。

8番 吉永 大志 リーグ戦4試合出場 1ゴール カップ戦3試合出場
今年は序盤からベンチにもまともに入れずもはやこれまでかと思われた矢先に天皇杯でアピールに成功して16節八戸戦からは出場機会を得ている。なんだかんだ点も取ったし。基本線はとにかく走れるしビルドに絡めるWGなのだが選手交代やフォーメーション変更してもそのままボランチやインサイドハーフに回せる使い勝手の良さもプラスに働いた。技術はそれなりにあるけど吉永の本質は汗かき役なんすよね。あとイーブンボールに臆せず突っ込めるファイター気質も良い。正直身体能力は全然高くないし、個での打開力も大したことはないので、いかにゴール前に突っ込んでいけるか、ボールを持った時刺せるパスを出せるかが後半戦の鍵になってくるんじゃないだろうか。在籍6年目の樋口に次ぐ古株、勝負の年である。

10番 森 晃太 リーグ戦19試合出場 3ゴール 2アシスト カップ戦2試合出場
年々凄みを増してアタッキングの核として左WGに定着。相変わらずカットインからの右足シュートがゴミカスなほどに決まらないのだが(そのくせ左足では難しいのをサラッと決める)相手にとっての怖さという面では十分すぎるほど機能している。まあこれで決めてたらJ3にいないんすけどね。中央化して崩しの局面に絡むし、単騎で仕掛けても縦突破からの左足クロスもカットインからの右足もあるし、キープして味方を使う事もできるので相手からすると厄介なことこの上ないでしょうね。ここ最近はかなり厳しいマークにあっているがそこを乗り越えてこその10番。攻撃に関するスタッツは軒並みリーグ上位のようだがゴールとアシストはまだまだ物足りない。後半戦は森がどれだけ点を取れるかにかかってると思うのでまだまだ高みを目指しましょう。

13番 宮崎 智彦 リーグ戦7試合出場 カップ戦4試合出場
流石に今年で38歳になる大ベテランなので途中出場とカップ戦が主たる運用方法だったものの、やっぱミヤさん上手いんすよね。今年はアンカー起用一本で行くみたいなのだが、戦術眼というか配球と判断の早さは流石の一言。16節八戸戦なんか出てきて早々にCKから得点シーンを演出した精度なんか感動しちゃったもんね。そこから中2日の天皇杯ガンバ戦にフル出場してターンオーバーを機能させてくれたのも好ポイント。レギュラー起用は難しいかもしれないけど要所でこうやって仕事ができるベテランは貴重である。後半戦も若手に負けずにガンガンやってほしい。

14番 大関 友翔 リーグ戦16試合出場 4ゴール 2アシスト カップ戦2試合出場
川崎からレンタルの若手有望株。U-19日本代表に招集されてた試合以外は左インサイドハーフで全試合出場と高卒2年目の19歳ながら看板選手に定着した。まあ中村憲剛の後継者みたいな扱いされてるだけあって上手いよね。ゴールパフォーマンスがあんまりカッコよくないけど喜びがビシビシ伝わってくるあたりにも中村憲剛っぽさがある。簡単にマーカーの逆取って前向くし中央をスルスルとドリブルで持ち上がってくし、そこからスルーパスなりシュートが飛び出す。これだけ技術がありながら球際で泥臭くやれる選手は稀有なんじゃないだろうか。あととにかく喜怒哀楽がとんでもなく激しいのもエンタメとして非常に良い。フィジカルは課題ではあるけどそこそこにボールを奪えるようにもなってきてるので将来が楽しみっすね。ただ川崎式の4−3−3のインサイドハーフに特化した選手な印象はあるのでまともに2列目とか3列目をやらせるとどうなんだろうという気もするが今年の福島についてはいらぬ心配である。J3では圧倒的な選手だけど川崎に戻ったら試合に出られるかというとまだまだなので後半戦もっとギアを上げていきましょう。

17番 針谷 岳晃 リーグ戦19試合出場 4アシスト カップ戦2試合出場
第一印象が「どうなってんだその髪型。量産型大学生か。」だったんですけど余りにも華麗なボールタッチとパスにハートを打ち抜かれた。大関がめちゃくちゃピックアップされる今年の福島だけど間違いなくこのチームの王様でパスワークの中心を担ってるのは針谷。厳密には針谷と大関の2枚看板によって成り立ってるのが今年の福島なのだが。盛岡戦の2点目の起点になった超絶スルーパスや八戸戦の先制点を演出したロングパスに代表されるように、フリーにするととにかく距離を問わずに多種多様で正確無比なパスが出てくる。狭い局面でも鮮やかなタッチで前を向いたりダイレクトで繋いで突破したりととにかくテクニカル。コンタクトにはそこまで強くないけどカバーリングや守備の意識もそこそこ高いのも良い。あとTwitterでの発信、交流が多いのもいいよな。ここ最近はマークも厳しくなったし酷使されてる影響か消える試合が増えてきたのは気がかり。後半戦も中核になると思うので怪我せずコンディションを整えてほしい。

30番 加藤 匠人 リーグ戦10試合出場 カップ戦3試合出場 1ゴール
J1柏からレンタル加入。序盤戦こそアンカーのポジションを掴んで大関、針谷と強力なトライアングルを形成したものの徐々に上畑に押し出されここ最近は全然ベンチに入れない。アンカーやる選手の中では一番縦パス刺せるしミドルも打てるし技術があるんだけど、たぶんアンカーに求められる守備力とかパワーみたいなもんが不足してるのではないかと。インサイドハーフで使われる気配もないし、まだ若いからタフネスを鍛え上げていく方向性に振るのが近道か。上手い時はめちゃくちゃ上手いけど全然ボールが足につかない時もあるし、自分で運べるタイプじゃないのも一因かもしれない。加藤の突き上げは上畑の成長に重要なので頑張ってほしいところ。

38番 粟野 健翔 リーグ戦1試合出場 カップ戦2試合出場2ゴール
ほとんどカップ戦要員だったが今年は右WG一本勝負っぽい。とにかく走れるので、基本に忠実に縦に抜けてボールを引き出す、サイドを突破してクロスを入れる、フリーなら斜めに走り込む、逆サイドからゴール前に突っ込む、と求められることはひとしきりやってくれた。しかしながらドリブラーとかパサーってわけでもないのでなかなかリーグ戦には絡めなかった。とにかく球際に食らいつく姿勢は相変わらずなので良いのだが攻撃面で尖っていかないとなかなか出場機会は掴めないかも。後半戦頑張れ。

41番 上畑 佑平士 リーグ戦17試合出場 1ゴール カップ戦3試合出場
序盤こそ3センターのバックアップだったものの4月の下旬頃からアンカーのスタメンに定着。去年ほど鮮烈な技術を披露する場面こそ無かったが、持ち前の展開力と球際での粘り強さ、何より広域をカバーする運動量でバランサーとして定着した。ボールを扱った時の上手さとパスの展開力、相手を止められる、ボールを奪える守備力、全体的な能力のバランスや持ち前のフットボールセンスが大関と針谷を活かすアンカーとして3センターのピースにうまくハマったというところか。インサイドハーフに移しても機能する使い勝手の良さ、ゴール前に飛び込んでフィニッシュに絡めるあたりも光る。まあでも今治戦の逆転ゴールみたいにここぞという場面で点を取れる選手に成長したよな上畑は。後半戦も頼んだ。

FW
7番 塩浜 遼 リーグ戦19試合出場 7ゴール 5アシスト カップ戦2試合出場 2ゴール
7番を着けるからには今年の塩浜は尚更厳しい目で見ようと思ってたんすよ。ここまでやるとは。いよいよ覚醒段階ということでしょうか。リーグ屈指のアタッカーに成長し、右WGのレギュラーとして森と共に強力な両翼を形成。盛岡戦でハットトリックかまして以降の爆発ぶりは凄まじく、6月はチームの7ゴール全てに関与する圧巻のパフォーマンスだった。ドリブルで仕掛けてクロスなりシュートに持ち込めるし競り合いにも強いし、シュートも強烈かつ厳しいコースに蹴れるようになったのでイケイケ具合に拍車がかかってる。抜ききらなくてもプレーを完結させられるのも強い。何よりポジショニングが劇的に良くなり、ボールを持たない場面で上手くフリーの状況を作れるようになったのが今の成績を支えている。ここまでやれれば文句無しでしょう。シュートの質がめちゃくちゃ良いのでもっと自信持ってガンガン振り抜いていいと思うんだよね。後半戦も間違いなく核になるだろうし、二桁ゴール二桁アシストまで達成するつもりで福島を牽引してほしい。

9番 澤上 竜二 リーグ戦12試合出場 1ゴール 2アシスト カップ戦4試合出場 2ゴール
序盤は殆ど出場機会が得られず右WGで使われたりしてたものの、天皇杯でアピールに成功し5月半ばからCFのスタメンに定着。献身的なプレスと力強いポストワークで両WGを活かすプレーが光った。スピードもそれなりにあるし、それっぽくドリブルで仕掛けることもできる。まあ当の本人はフィニッシュの局面になかなか入っていけないのは課題なのだが。左足のキックの精度自体は高いけどそれを発揮する場面が少なすぎるのでまずはシュートシーンを増やしたい。過去の得点シーンとか見ると本質はへディンガーっぽいのだがクロスに飛び込むのがめっちゃ上手いというわけでもないのでもっと自分のシュートから逆算したプレーをしてほしい。前線でタフに戦ってくれるのは本当に助かってるので後半戦も主軸になるだろうけど、9番だしフィニッシュの局面はもっとやれてほしい。昇格のために必要な要素である。

11番 長野 星輝 リーグ戦2試合出場 カップ戦2試合出場
4年目を迎え過去一厳しい状況にある。全く出場機会を得られてないのだが今季の福島のサッカーに適応出来てない。CFをやるにはポスト出来ないので機能せず、WGをやるにも気の利いたパスが出てくるわけじゃないので優先順位が低くなる。去年も言ったけど、持ってる能力が得点を取る上でシームレスに繋がってないんですよね。本人なりにフリックなり降りてきたりなりでビルドに絡めてはいるけど他のCFを上回るものを見せられなかった。WGでドリブルで押し込むだけなら清水にも出来るしな。持ち味はフィニッシュワークにあると思うので、もっとフィニッシュに特化したWGになるとかWGが作ったチャンスを仕留められるCFになるしかない。まだ若手なのでしっかり育てていきたいところだし本人もこのサッカーに適応していかなければならないので長い目で見ていきたいところ。頑張れ。

18番 矢島 輝一 リーグ戦16試合出場 1ゴール 1アシスト カップ戦3試合出場 2ゴール
エース候補として加入しプレシーズンから好調なプレーを見せ、3月は公式戦2ゴール1アシストと流石の活躍を見せたがその後はめっきり得点に絡めず。好調なチームにあって1人空回りしてる印象が。前プレもこなすし強靭なポストも機能するし足下も持ち合わせてるし、得点した場面はエースを任せるに値する流石の内容だったがとにかくその後はシュートが決まらない。最近はもっぱらコーナーキープ要員と化してる。気になるのはやたら簡単にフリックとか落としを選択してるところ。前を向ける場面や相手が食いついてない状態でそれをやるから有効打になってない場面が多々ある。シュートの精度だけの問題ではなく、もっと冷静に自分で行くところと周りを使うところの使い分けをしなくては澤上や樋口からポジションを奪うのは容易ではないんじゃなかろうか。熱い男なのは伝わってきてるので心は熱く頭はクールにやってもらいたい。後半戦は期待してます。

19番 清水 一雅 リーグ戦18試合出場 1ゴール カップ戦4試合出場 4ゴール
大卒ルーキーの全部身体能力で何とかするマン。正直、今のチーム内で中盤から前の選手としては足下が一番微妙な選手だと思うんすよ。左WGが主戦場になってるけど、カットインからシュートに持ち込む技術は無いし気の利いたパスでチャンスを作るでもないし鋭いクロスとかも無い。それでも使いたくなるのは圧巻の身体能力と馬力で局面を切り拓くから。ボールを持って前を向けば相手を跳ね飛ばしてゴールへ突き進むパワー、一足事にぐんぐん加速していくスピード、171cmとは思えない圧倒的跳躍力での空中戦の強さ、身体能力で相手を押し込んで身体能力だけでチャンスを生み出すとにかくエネルギッシュな福島の元気印。言うほど足下が下手なわけでもないけどとにかくバネのある動きが印象的なんだけどそんなに結果には結びついてないのが惜しいところ。凄まじいバネのある跳躍から綺麗なフォームでクロスに頭で合わせるダイナマイトヘッドは迫力満点だけど全然決まらないのが難点。これが決まれば一気に看板選手になるんだけどね。これで結果がついてくればJ3屈指のアタッカーになると思うのでまずはゴールとアシストを積み重ねること、そこために足下の技術をもっと磨いてほしい。後半戦こそダイナマイトヘッドを叩き込んでほしい。

20番 城定 幹大 リーグ戦17試合出場 2ゴール 1アシスト カップ戦3試合出場 1ゴール
左利きの2列目とはどうしてこうも技巧派なのか。とにかく左足のトラップとキックの精度が凄まじい。どんなボールもビタビタに止めるしダイレクトで蹴っても変なバウンドしないし。右WGや右インサイドハーフで出場機会を掴むと正確無比な左足でのビルドアップやチャンスメイクだけでなく、ゴール右45度からのカットインシュートという自分の得点パターンも作り上げた。以前と比べるとだいぶ競り合いとかコンタクトから逃げなくなったし右足もそこそこ使えるようにはなったので隙の少ないアタッカーになりつつある。推進力とかドリブル突破があるわけじゃないしゴール前に飛び込んでフィニッシュが得意なタイプではないので万能というわけではないが、針谷とポジションを争う上で違ったアプローチで得点に関与できるという選択肢を設けられたのが一番の貢献じゃなかろうか。それにしてもジョジョの本質は現代サッカーには居場所がないファンタジスタなんだよな。華麗な左足を後半戦も見せてくれ。

40番 樋口 寛規 13試合出場 3ゴール 2アシスト カップ戦1試合出場
在籍9年目の最古参。5月6日を最後に大腿部コンパートメント症候群で離脱。練習には復帰してきてるようなので8月の中断明けあたりからは復帰できそう。CFが今年は主戦場となったが、樋口は求められれば何でもこなすから凄いと思った。競り合いは得意じゃないけど地上戦なら上手く体を使ってポストもキープもこなすし、ポケットに走り込んでチャンスメイクもするし、ビルドアップにだってうまく絡んでハブになるし、相手を追い込むプレスの掛け方はFW陣で一番上手い。盛岡戦で直接FKを突き刺したようにプレースキックも相変わらず高精度。なんでもできるな。こぼれ球に詰める嗅覚、混戦からスルスルと動いてフリーになりワンタッチで仕留めるセンス、「らしい」ゴールを今年も見せてくれた。序盤はパッとしなかったけど年々老練さが増して味のあるフットボーラーになってきたのでこのままインザーギみたいなゴールを量産した上で福島に骨を埋めてほしい。とりあえずは怪我を治して万全の状態で後半戦に復帰してきてもらいたい。まあしかし歴代の監督全員がほぼレギュラーで使ってきたんだから樋口の器用さと適応力は凄まじいとしか言いようがない。これからもともに。

監督
寺田 周平 リーグ戦9勝2分8敗 29得点20失点
25年も金に困らない都会の上位常連のクラブにいた人が田舎の不人気貧乏クラブに来て大丈夫かよなんて思ってた開幕前に思ってたんですけど、見事にトメルケールと川崎式を短期間で落とし込み成績に結びつけてみせた。序盤戦の7戦勝ち無しのところでもポゼッションで主導権を握りパスワークで中央突破を狙うサッカーの方針を変えずに根気強く取り組み続け、選手たちにも同じ方向を向かせ続けた指導力は監督1年目ながら流石の一言。敗戦についても自分の力不足を真っ先に語るあたり好感がもてますね。サッカーの内容だけでなく、連戦時のターンオーバーやカップ戦をフル活用して出場機会の少ない選手も実戦に投入し、戦力の底上げを図り続けたあたりも素晴らしい。実際序盤はゲームになかなか絡めなかった澤上や吉永の戦力化にも成功した。成績、育成どちらもこなしながら昇格を狙える位置での折り返し、勝ち越して得失点差もプラスに持ってきてるあたり監督1年生としては上出来なんじゃないでしょうか。特に14節今治戦では退場者を出し1人少ない中でビハインドという状況でも前に出て逆転を狙いに行くなど勝負師としても信頼できる決断力があるのも頼もしい。周囲を納得させられる結果と内容を残しているのでこれを後半も継続できるか、新人監督ながら期待は高まります。


というわけで前半戦の通信簿でした。昇格できるんじゃねなんて調子に乗ると良いこと無いので、あくまでチャレンジャーのつもりで。まだチーム新記録の5連勝も達成できてないしな。ただ今までで一番夢を見られる位置につけてるのは間違いないしやってるサッカーもパスサッカーをやろうとした歴代の福島の中では一番いいし面白いサッカーしてると思うし、僕もパスサッカーなんてこのチームで無理だろって言い続けてたけど実現してみせた寺田監督と選手たちは本当に凄いと思う。選手一人一人がより高みを目指すことで次の景色へたどり着けると思います。残り19戦は一戦必勝、まずは後半戦スタートに今治を叩いて上位に食らいついていきましょう。これくらい期待感のあるシーズンを過ごせると楽しいですね。


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