そして、再びの春|『独逸散文写真集』あとがき
日本で暮らしていた頃。
「ドイツの春」を私に教えてくれたのは『文化』でした。
ヘルマン・ヘッセの小説
ハイネの詩
シューマンの交響曲
夏に台風の多い日本と違い、ドイツは春にこそ嵐が起こり、天気が崩れやすいこと。
五月にこそ、のどかさと春の爛漫が訪れること。
そうして想像の中だけにあったドイツの春を、私はすでに七度も体感しています。
3月はイースターを祝い、4月は天気に注視しながら、待ちに待ったとばかりにアイス店へと足を運ぶ。大量の白アスパラを買い込んではスープを作り、そして美しき5月の太陽を喜ぶ。それがドイツ人たちの春の暮らし。
新鮮味や驚きは少なくなり、目にするものへの慣れは増えましたが、それは同時に私のもとへ「親しみ」を運んでくれるようになりました。
それでもきっと、これから先も私の知らないドイツは、まだまだ現れるのでしょう。
その度に驚き、学んで、そうしてドイツでの暮らしを、穏やかにひとつひとつ積み重ねていきたい。そう思っています。
上原 ありす
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