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ロックダウンの冬にも春の兆し ドイツの新システム『Click&Meet』


数カ月に及ぶハードロックダウン下にあったドイツ。

スーパーや薬局、郵便局や銀行など、生活に必要な店舗以外は完全閉鎖。

その徹底っぷりは見事で、ドイツのマツキヨ「Müller」などは、高額化粧品や文房具・衣類など、生活必需品以外が陳列された棚や通路にはテープが張られ、立ち入り禁止に。

外食はテイクアウトのみ。それもお店付近での飲食は厳禁。
店外の座席は撤去され、店内は椅子がテーブル上に上げられている状態。

駅構内でさえ、座席にテープが張られ、ホーム以外では座れないようにされている場所もあった。
ただでさえ遅延が多発するドイツ鉄道。カフェで時間をつぶすこともできず、冬の寒空の下、ホームの座席に座って待つか、少しは寒さのマシな構内で立ち待ちするか。究極の選択を迫られたことも・・・。

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人との交流のほとんどはオンライン。
演奏仕事はすべてキャンセル。

本当に辛い、ひと冬だった。


そうして迎えた三月は、天候の情緒不安定。

中旬になっても曇り空が続き、強風の音で目覚める朝も少なくなかった。
天気予報では、低気温によるトラブルへの注意警報。ダウンコートはしまえず、衣替えもできず。
突然見舞われるスコールに、折り畳み傘も手放せない。
激しい雨音に外を見やれば、窓をたたくのは雹や霰だった、なんてことも一日では済まなかった。

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ヘッセの小説にある、「春の嵐」とはこのことか…?


そうした、人の手に余る事象に振り回され続けてきたが、ここにきてようやく少し、希望の光が見え始めた。

三月上旬より、美容院や書店など特定店舗の営業再開。
もちろんまだまだ数は少ない上、入場制限やマスクの着用義務など規制は多いが、緩和の兆しが見え始めたということがなにより嬉しい。

私は速攻で、二年ぶりとなる美容院に予約の電話を入れた。

政府の発表によれば、「七日間指数」によっては今後も段階的に規制緩和を行っていくとのことである。(※この情報は3月3日のこと。記事末尾に3月23日現在の情報を記載。)


そして最近では、新システム『Click & Meet』が始動した。

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簡単に言えば、店舗ショッピングのための事前予約システム。

オンラインで日時を指定し予約を取れば、その時間内だけは店舗で通常通りの買い物が可能となる素晴らしいシステム。

15分毎に訪問開始時間を選択することができ、買い物制限時間は大体以下の通り指定されている。

・雑貨店など小規模店・・・15~20分
・ハードウェアショップ・・・30分
・スポーツショップ・・・35分
・IKEAなど家具店・・・90分

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店舗側が人数制限を管理してくれているので、少ない来客数の中買い物を楽しめる。

ただし、じっくり熟考して品物を見定める私のような人間にとっては、この時間制限は中々に厳しいものがあるが・・・。
けれど、授業はすべてオンライン、外食も買い物にも出かけられず。引きこもり生活のプロを自称する私でさえ、限界の近かったあの冬の辛さを想えば。現状のなんと贅沢なことか。

ちなみに私、オンラインショッピングも大の苦手である。


この『Click & Meet』の嬉しいところは、個人が行っているような小さな店舗でも導入されているところ。

私も先日、はじめてこのシステムを活用し、ケルンのヴィンテージショップに出かけてみた。

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多店舗展開をしているようなお店と違い、こういったお店ではホームページからのオンライン予約ではなく、インスタグラムのメッセージや、メール・電話を通しての個人対応。
ということで私も店員さんとコンタクトを取ると、なんと当日に予約が取れた。

小さな店舗だからかお客は私一人。店員さんも一人。
時間制限について尋ねたが、その日は私以降予約が入っていないということで、悠々自適に買い物を楽しんだ。
途中何人か突発の来客もあったが、やはり事前予約がないということで、その場で後日の予約を行い帰っていった。(看板に貼られた紙によると、店頭での予約も可能らしい)

そうして、どうせ出かける機会もないのだしと、約半年ほど服を購入していなかった私の久々の買い物が終了。
やはり、いくらオンラインで品物が見られるとはいえ、自分の足で店舗に出向き、その中であれこれと見て回るのでは、気分転換の度合いが違う。

更にこのお店、ドイツ人体系向けの大き目サイズが充実しながらも、可愛いデザインや柄物が多く、そのうえ安い。
チェロ奏者体形のわたしにとって、サイズでがっかりしがちなヴィンテージショップなので、これは本当に嬉しい出会い。
ほくほく気分で会計を済ませ、名前や連絡先などを記入。これも大事な感染対策の一つ。
買い物袋の幸せな重みを感じながら、帰路についたのだった。

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というわけで。

個人店舗だし、小さいお店だし、まだ再開してないよね・・・と諦めを抱く前に。
お気に入りのあの店も、ずっと気になっていたあのお店も。
とりあえずネットで検索してみたり、直接連絡を取ってみたら、もしかすると店舗内ショッピングが叶うこともあるかもしれません!

ただし、この数日。再び「七日間指数」が上昇・・・。
緩和政策への「非常ブレーキ」をかけると、メルケル首相が提示していた基準値100を超えてしまい、4月18日までの更なるロックダウン延長が決定。

この規制緩和もclick&meetシステムもいつまで可能か定かではありません。

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しかしその反面。ここケルンやデュッセルドルフなどが含まれるNRW州では「店舗面積に応じた入店人数制限や、予約を取ってからの入店を求めるのは違法」とする判決が下された模様。

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つまり、この『Click & Meet』システム自体が撤廃となり、どの小売店でも人数制限も予約もなく、以前のように自由に買い物に行くことができるようになる、ということ・・・?ロックダウン延長されたのに・・・?

政策発表から、それが実際に整備されるまでにタイムラグがあるので仕方ないとはいえ・・・政府もその他機関でも、その奔走具合が伺えてしまう。なんともカオスなドイツの現在である。

店舗でのお買い物がこの先どうなるのか、迅速な発表を求めたい。
それによって精神の安定度がかなり変わってくるので・・・


とにもかくにも。

決めごとをきちんと守り、感染対策をしっかりと施し、その上で、いつまた取り上げられてしまうかわからない「お出かけ」を、今のうちに楽しんでおこうと思います。

ちなみに明日は、新居に足りなかった家具を買い足しに、予約済みのIKEAへいってきます!

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