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備忘録をつけよう

脳の使い方、ちょっとミスってるかも。
大人になってから、うすうす気づいてきた。
身の回りで起こったことに対する記憶容量がなさすぎる。

小さい頃に読んだ絵本の中身、覚えてる。
学生時代。勉強、わりとできた。
どうでもいい雑学、わりとわかる(たぶん)。
推しのこと、事細かに覚えてる。
1週間前に同僚が仕事で発言した内容、正確に覚えてる。

でも、しばらく前に自分の身の回りで起こったことを、ぜんぜん覚えてない。

中学の先生にこんなことで怒られたよねとか、誰々が問題を起こして大変だったよねとか、あの時あなたの発言がこうだったよとか、友達に言われても「そんなことあったっけ?」となってしまう。
長期記憶の引き出しがヘンなんだろうか。まいにちの「生活」の部分を記憶するのが、私の脳はあまりにも下手らしい。

社会人になってから、高校卒業以来ずっと連絡を取っていなかった同級生に偶然再会したことがあった。転職初日、オフィスのエントランスの呼び出し電話で名乗ったら、ドアを開けて迎え入れてくれたのがたまたま同級生だった。高校時代仲が良かったけれど、大学以降ぜんぜん連絡を取っていなかったので、お互い驚いた。
再会のうれしさのまま、その同級生と飲みに行ったとき、高校の卒業式の話をされた。
「卒業式のあと、最後のホームルームで一人ずつ黒板の前に出て話をしたよね。私、あの時あなたが話したことが忘れられないんだ。」

はて?

全然思い出せない。私、何を話したっていうんだ。
そもそもそのお話の時間ってなんだ?あったのか?
というか、卒業式でどんな歌を歌ったかとかも、あんまり覚えてないぞ。
あ~、なんか保護者で教室がぎゅうぎゅう詰めになってた気が、なんとなく、してきたような、そんなような、うーん。あれが最後のホームルームか?
こんな具合で、そんなことあったっけ?そんなこと言ったっけ?が、急に友人から呼び起こされることがある。

私が「そんなことあったっけ?」と聞くと同級生は、覚えてないの!?と驚きながら話してくれた。
私はクラスのみんなの前で、みんなに感謝の言葉を述べたあと、いきなりカレンダーの仏滅の話をしたらしい。

「カレンダーの”暦”ってあるじゃないですか。結婚式をするなら縁起のいい大安や友達がいっぱい来る友引がいいとか、仏滅は縁起の悪い日だからあまり物事がうまくいかないとか。
みんな知ってますか?暦では、仏滅の次の日は必ず大安なんです。悪いことがあっても、次には必ずいいことがある。だからみんな、つらいことがあってもがんばっていこうね。」

は?
めっちゃいいこと言うじゃん、私。
友達の前でも心底びっくりして言った。私めっちゃいいこと言うじゃん。本当に私が言ったの???すごいじゃん、私!!!

我ながら、こんなかっこいい発言したなら自分で覚えてろよと思った。
でもすっかり忘れていた。というか初聞きみたいなリアクションをしてしまった。いかにも私が言いそうなことだったので、なんなら遠回りして過去の自分にウケてしまった。
そして、これを覚えてくれていた同級生に感謝した。印象深いと思ってくれてありがとう。いきなり変なこと言う奴だと思ったかもしれないが、覚えてくれていてありがとう。それを伝えてくれてありがとう。
もしかして私がこのことを忘れていたのは、仏滅発言の後しばらくしておかしなことを言ってしまったことに気づき、強い自責の念を持って自ら記憶喪失になってしまったからだったのだろうか。いや、考えすぎだろうか。

脳の使い方ミスってるな、と気づいたのはこの頃だった。その後も何度かこういうことがあって、身の回りのこととか、考えたこととか忘れてしまうのはもったいないと思った。

なのでこれからなんでもない備忘録をつけて、後日自分でウケようと思った。
だーらと申します。どうでもいいことを訥々と書き連ねようと思います。


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