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病院での患者取り違え

公益社団法人日本医療機能評価機構の医療安全情報(2023年2月号)で「照合の未実施による誤った患者への検査・処置」が報告されました。

具体的な1件は「シンチグラフィという放射性医薬品の投与(恐らく静脈への注射)を違う患者さんにしてしまった」というものです。

シンチグラフィもいくつか種類があるため、投与すべき医薬品の種類に注意が必要です。

そして、「放射性」医薬品の投与ですので、「正しい患者さんに投与すること(=違う患者さんに投与しない)」も重要です。

このような患者さんの取り違えをなくすために推奨されていることが「氏名・生年月日を本人に言ってもらう」等です。

ここで重要な点が「本人に」という点です。

医療者が「○○さんですね」と言ってしまうと、「はい」と緊張している患者さんは返事してしまう場合もあります(よく聞こえなかった場合なども)。

ですので「本人に」名乗ってもらうという事が推奨されています。

しかし、本件で医療従事者は「患者さんに氏名・生年月日は名乗ってもらったけれど、検査予定一覧と照合しなかった」ようです。

これでは、何を確認したのかよくわかりませんね…

本件は、病院のマニュアルの一部である「患者に氏名と生年月日など2つの情報を言ってもらい…」という部分にばかり固執してしまった感が否めません。

忙しい病院内です。なかなかすべてをきっちりやる事が難しい現実もあります。

しかし、放射性医薬品のような侵襲の有る検査や治療においては、より時間的・精神的余裕をもって行う事が、重大な過誤を減らすうえで重要と思います。

経営陣はマニュアルを考えるだけでなく、「より合理的な業務体制を構築する」ことも考えていただきたいと思います。 

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