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【実録】プロジェクトの立て直し#1

プロジェクトの立て直しをすることになった。一週間目の状況を振り返る。

課題

  • 10人のプロジェクトメンバーの意識統一ができない(漠然と)

  • 今どの段階にいて、何を、いつまでに、やらなければいけないのかが整理できない。

  • アジェンダは存在するが、一部の人しか認識できていない。

  • 時間切れとなり、会議で決めなければならないことが決まらない。

進まないので、開発チームの代表として、私が入ることになった。


メンバーと話したこと

普段仲の良くしている(私が懐いている)メンバーと雑談をしている中で、「このプロジェクトの進捗がやばそう」という漠然とした情報を聞いた。

詳細を聞いていくと…

  • いちメンバーとして、どういう姿勢でこのプロジェクトの会議に臨んで良いか分からない

  • 会議はお通夜のように鎮まり返っており、自分が意見をするとリーダーに「それは違う」と否定される。

  • 最初からリーダーの中に答えがある問いを、わざわざメンバーに答えさせて、違う意見だと却下される。何がしたいのか分からない。

そのような状態で、議論がまとまらず(何を議論しているのかも分からないが)開発に引き継げるのか不安だ。と言う話を聞いた。

「あ〜そりゃ、マネージャーと相談しますわ…」と言って巻き取ることにした。自部署にはデザイナーとエンジニアが所属しているが、このまま行くと、エンジニアに皺寄せが行くことが目に見えていた。


自部署のマネージャーと話したこと

エンジニアに皺寄せが来る恐れがあることを共有した。チームリーダーとして、未然に対策をしておいて欲しいという話になった。

ただし、私個人のキャリア上のやりたい事ではないので、仕事への満足度は下がり続ける。また、テコ入れされる方のメンバーの成長にもならないので、属人的に解決するのではなく、今回の取り組みで、私個人の知見を社内に展開することも、考えていかなければならないという話をした。

(そのために、この記事を書くことで経緯を整理し、社内への展開の準備をしている)


プロジェクトの最高責任者と話したこと

全社の開発の優先度会議において、この件について進捗がどうなっているのか聞いた。(人材不足により)かなり兼任をされている方なので、「プロジェクトマネージャーに聞かないと分からない」ということだったが、課題は認識していたため、私の介入を容認することになった。

また、事業的な期日について確認した。会議の場では、その根拠までは話せなかったが、後々雑談ベースで、ぶっちゃけどうなんですか???と聞いたら、背景までヒアリングできた。

それを元に、プロジェクトマネージャーと話すということを伝えて、「あとは、よろしく!」と言われながら、次の行程に進んだ。やれやれだぜ。


プロジェクトマネージャーと話したこと

時間軸の話

まず、期日について認識の確認をした。この打ち合わせの前にプロジェクトの最高責任者と会話をして、認識を合わせてあったので、スムーズに認識合わせができた。

その際に、月次の「線表」を作った。
この時に「月次」にするのがポイント。そして、必要に応じて来年までの計画を可視化し、プロジェクトに関わる、全関係者に一目で分かるようにする必要がある。


自分の役割の話

「私が入ることで、メンバーが育たないという新たな悩みも生まれますよね?」と、こちらから聞いた。すると「そうなんですよ〜」との返事。そこで、決めた各タスクの期限を、少し過ぎた時点で、私が介入するという案を出した。

また、デザイナーを上流工程に入れるということを責任者から言われて、正直どういうことか分からないという話をいただいた。そこで、以下のような記事を共有した。(事前に予想しておいて良かった)

問題を設定して、解決手段を考える。その過程を普段からやっているので、現状の課題を把握して、解決へ導くのは得意ですよ?というプレゼンをした。

「英国デザイン協議会でこういう話があって〜」っていうオタッキーな話をするのは、ちょっと恥ずかしいんですが…という遠慮を見せつつ、これを話すのがポイント。あくまでも謙虚に。


先人から学んだこと

アメリカから来日し、旧帝国ホテルを設計したフランク・ロイド・ライトが、数年後に帝国ホテルの敷地に新たなビルを建設した件について、日本の関係者へ宛てた以下の手紙。

私はしかし、帝国ホテルを守ることについて運動するつもりはありません。私は帝国ホテルを、私が愛し、そして沢山のことを学んだかつての日本に捧げたのですから。
大切なのは帝国ホテルではありません。もしも日本が変わり果て、私ばかりではなくあらゆる民族から軽蔑され、見捨てられるようになり、かつて文明の中に生きていた貴いものを捨てて、商売の神にその身を売るのであれば、この類いない素晴らしい民族の文化は滅んでしまいます。それを除いて嘆くべきものがあるでしょうか。
帝国ホテルは私のものではありません。それが語りかけるものを理解し、それが象徴するものの価値を知り、それがそこに建っている意義が分かる人々すべてのものなのです。

建築家への手紙(訳:内井昭蔵)

自分の主張をしつつも、あくまでも日本人のために帝国ホテルを建設したのだから、自分のものではないと言っている。

自分も、このプロジェクトにデザイナーとして入るけれども、自分のプロジェクトではないという姿勢で交通整理だけを行うことを、プロジェクトマネージャーと話し合った。


2名のリーダーと話したこと

時間軸の話

まず、期限とその理由について、リーダーと認識を合わせた。リーダーとも知り合いなので、断片的に期限については知っていたが、可視化したり、理由を明確にできていなかったので、ここで認識が揃った。


今やろうとしている事の話

やろうとしている「点」の情報はあったが、話を聞いていても、各要素の情報がどう繋がるのか理解ができなかった。

そこで、マインドマップを作成し、各要素がどのように繋がっているのかを可視化した。

背景を知っている人しか、意味が分からない単語でまとめて表現するので、分からなかったのだということが分かった。


初回の全体会議

まず、マネージャーから期限の話、リーダーからやろうとしている事を整理した話が共有された。

リーダーは「もともと、みなさん理解していたと思いますが、分かりやすく可視化しました。」と言ったきり、そのまま、次の議論へ進もうとするので、私が「今日、いきなりこれが出てきたと思うので、分からない点はないですか?」とストップした。すると案の定、それまで理解できていなかったメンバーからの質問が噴出した。

切りがないので、次の議論に必要な点のみ回答し、あとから回答することにして次に進めようとした。しかし、次の議論が分からない。リーダーだけがその内容を知っていて、他の人は、自分の持っている疑問が、今解消すべきことなのか分からない。

そうして時間切れになった。ここで、冒頭の課題が判明する。

・10人のプロジェクトメンバーの意識統一ができない(漠然と)
・今どの段階にいて、何を、いつまでに、やらなければいけないのかが整理できない。
・アジェンダは存在するが、一部の人しか認識できていない。
・時間切れとなり、会議で決めなければならないことが決まらない。

私にも、アジェンダが共有されていなかった。交通整理するって話なんだから、必要でしょどう考えても…と言いたいのを堪えて、以下のステップへ進だ。


リーダーとの反省会

  • タスクの週次の期限を明確にする

  • 会議のアジェンダを最初に読み合わせるか、どこに書いてあるのか共有する。

  • 司会とは別に、タイムキーパーを設ける

  • 質問表を作って、回答を集約する

話を聞きながら、これらを行うように提言した。

そのあと、リーダーの一人から相談されたのは「また、今日の会議でメンバーと険悪な雰囲気になってしまった」ということ。そこじゃない!話が整理されてないから険悪なのよ。

マネジメント経験がある訳でもないので、ちゃんとした助言はできないとした上で、席の近い他のデザイナーにも話を振りつつ、"適当"に以下のような雑談をした。

そこで、「何をして欲しいのか伝わらない状態で、ずっとコミュニケーションを取ってたら、100年の恋も覚めますよ」的なことを伝えた。何をして欲しいのか、分かってくれてるだろうではなく、名言しないといけない、また険悪なんじゃなくて、お互いが分からないから不信感が募っているだけなんだということを伝えた。「自分が何に困ってて、何をしないといけなくて、何を協力して欲しいのかを、普通に喋れば良いんですよ」と。


メンバーと話したこと

最初に話を聞いたメンバーに、また雑談ベースで話を聞いた。

そこで、風呂敷を広げたいのか、畳みたいのか分かんないので、どこまで話を広げて良いのか分からない、ということで意見が一致した。

次からは、どっちか聞くようにしよう。


1週間の個人的な内省


難易度

前提、外野の人間なので、ここまで客観視できているのだということは思った。各当事者だったら、10名をマネジメントしつつ、開発サイドと連携し、上層部とのやりとりもする。しかも、リーダーが2名で役割も明確になっていない。という難しい組織体制にある。


反省点

リーダーとの振り返りを、全体会議の前にやっておけば良かった。アジェンダがあるのに、共有されてないという事まで、想像が及ばなかった。全体を俯瞰しているつもりでいても、私もいち人間の視界で物事を見るしかないので限界はある。

期限だけは明確にして、その点をメンバーにも意識させること。そのために、今日の会議で何を決めないといけないのかを把握して、全員でそのために進行することが必要。(上層部の意向で、メンバー全員の合意のもと進めたいらしいので)


ビジュアライズの有用性

スケジュールでも、概念でも何にせよ、ビジュアライズすることで、それぞれの感覚・意識が揃うなと改めて思った。抽象的なことは、抽象的なまま、ありのままを可視化することが重要。


私の役割

デッドラインを守る死神。デッドラインを超えると、巻き取りを開始する。
そして、最後まで全員の味方であること。外野であることを活かし、どの立場にも寄らない、中立を守ることが私の役割だと思う。


引き続き、進行していく。来週、余裕があったら続きを書く。

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