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【担当作発売】#死にたがりな少女 が起こした奇跡の話。

 こんにちは。マイストリート岡田です。
 第8回ネット小説大賞を受賞した作品、『死にたがりな少女の自殺を邪魔して、遊びにつれていく話。』が発売されました。

 受賞の発表から一年弱と、もろもろの事情がありつつ刊行までに時間がかかってしまいましたが、著者の星火さんの文章の進化がめざましく、Web版から全編リライトという形でブラッシュアップすることができました。

 序盤だけでの比べて読んでみていただければ、その変化がよくわかると思います。

 中身を十分に面白くし、イラストもバッチリ良いものがあがってきて、デザインもハマったものが仕上がりました。そこに来て、星火さんの会心の一撃でバズったのでした。

 たしかに打ち合わせに模型持ってきて、「これ使えますかね……」と話していたのですが、こんな形で活躍してくれるとは。
 KATO Nゲージ 島式ホームB 23-101ありがとう。

 表紙イラストの制作過程は星火さんがこちらにまとめてくれています。

 担当編集として、完成形のイメージは持っていて、それに添うようにイラストやデザインをディレクションしていくのですが、バッチリハマったものが上がってくると、テンション上がります。本文も面白くして、パッケージングも超絶エモくする。それが難しい。

 バズった著者に対抗して、担当編集も何かやらねばと動画編集を勉強して、TikTok用の動画を作ってみました。

@kanichi0203

宝島社文庫『死にたがりな少女の自殺を邪魔して、遊びにつれていく話。』#小説 #読書 #本の紹介 #感想待ってます

♬ 1-800-273-8255 - Logic

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『死にたがりな少女の自殺を邪魔して、遊びにつれていく話。』は、タイトルのままのエピソードが繰り返し描かれていくストーリーです。ただ、どうしようもなく「余命3年」というタイムリミットに向けて進んでいくので、一筋縄ではいかない物語なのです。

 主人公である相葉純は、死神と名乗る謎の女性に唆されて、寿命が残り3年になる代わりに、時間を24時間巻き戻せる時計を手に入れます。

 持ち主が「後悔」すると使えなくなるというその時計。けれど相葉は全く後悔していません。なぜなら彼はずっと「死にたい」と思っていたから。心理的に興味深かったのは、彼が「余命3年」とリミットを与えられたことで、活き活きと生活ができるようになったこと。

 時計の力を使って大金を手に入れて、毛嫌いしている保護者からも解放された相葉は、死ぬまでの余生を静かに暮らしていくはずでした。けれど彼が目にしたのは、自分が自殺を思い描いていた橋から実際に飛び降りて死んでしまった少女のニュース。奇妙な縁を感じた相葉は、時間を巻き戻して少女の自殺を邪魔することになっていくのです。

 自分はもう余命幾ばくもなく、死を受け入れている相葉が、なぜ自殺した少女を邪魔し、「生きろ」と言うのか。

 彼の複雑な心境がこの作品の中心として動いていきます。

 相葉の不一致な言動や、文章に書かれている気持ちとは裏腹の想い。そういった一貫せずに揺れ動く気持ちを、この作品からどう読み解くでしょうか。


 オビのキャッチに書いた「君に、生きていてほしい。」という言葉は、優しく語りかけるようであって、とても身勝手でエゴイスティックです。けれど、この物語では「自分はひとりではない」「同じように苦しんでいる人を助けたい」というメッセージが込められています。

 たとえ、時間を巻き戻せるような時計がなくても、「死にたい」と思っている人に何かができる。希望が見せられる。

 物語にはそんな力があるな、と感じさせてくれます。


 3月は「自殺対策強化月間」です。
『死にたがりな少女~』の発売を3月に合わせたのも、この強化月間に合わせるためでした。

 まだまだ閉塞した日々が続きそうな中でも、読書を通してどこかに遊びにいけたら、心もすこしは軽くなるかなと思っています。

 本書を読んで、どんなことを感じたか、感想もお待ちしております。ハッシュタグ「#死にたがりな少女」で呟いていただけると、著者も編集者も飛んで喜びます。

 生きづらい世の中でも、「楽しい」「面白い」を見つけることができるだけで、目に見えるものも考え方も変ってくるんですよ。

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