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『このライトノベルがすごい!2021』の制作が始まります!

こんにちは、マイストリート岡田です。
8月がやってくると、「もうこの季節がやってきたか」と感じます。

そう、『このライトノベルがすごい!2021』の制作がじわじわと始まりました。

『このライトノベルがすごい!』は、宝島社が発行するライトノベルのガイドブックである。2004年11月発売の「このライトノベルがすごい! 2005」から、年1回発行されている。 By Wikipedia

 昨年『このライトノベルがすごい!2020』が刊行された際、2010年~2019年のランキングを総括し、「2010年代TheBEST!!!」という企画を行いました。
 刊行を続けるなかでランキングの集計方法が変更になったり、不備を調整したり配点が変わったりとしてきましたが、それらをぎゅっとまとめて10年間の『このラノ』的な作品ランキングができました。

 2010年代を振り返る資料としても役立つと思いますので、手に入るうちにぜひ!


新規の「協力者」を募集

 そして今年は2020年代に入り、世界的な未曾有の危機のまっただ中を生きることになり、いろいろな意味で時代が変わりました。

「本が売れない時代」と言われつつも好調に推移していたライトノベルも、生き残りを懸けた闘いに呑まれています。『このラノ』もこのWebでの情報発信時代に年1刊行の紙書籍としての存在意義はあるのか、と存在理由を問い続けています。

 やはり『このラノ』の盛り上がるポイントはランキング。
 作品にとってもアドバンテージとなるこのランキングを、より楽しめるように、豊富で多角的な視点から見られるものへと発展させようと思っています。

 解説コーナー内に入れている、Webアンケートと協力者アンケートそれぞれのランキングや、数年前からミニコーナーとして作っていた、年代別、女性ランキングについて、もっと目立つかたちかつ、ぞれぞれを部門として設置できてもいいのでは、と思っています。

『このラノ』のランキングにより、数々のライトノベルがより多くの人の目に留まり、そこから羽ばたいていったのは確か。いろいろな作品がランキングの上位として上がってくるよう、工夫をしていきたいです。

 今年は心機一転の一環として、ランキングを構成する要素の一つ、「協力者」の新規募集を行っています。

「協力者」は、ライトノベルをよく読んでいる方、ライトノベルの情報発信をしている方を対象とした、特別アンケート枠です。通常のWebアンケートよりも大きい比率のポイントを持つことになります。この目利きとなる「協力者」が選んだ作品が上位に入り、次の時代を作ってきたとも言えます。


これまでの『このラノ』ランキングを振り返る

 ではどんな作品がこれまで上位に入ってきたのか。これまでを振り返りながら、2020年からのライトノベルがどうなるかを見ていきたいです。

『このラノ2011』では『とある魔術の禁書目録』無双。ランキングを総なめにしていました。『僕は友達が少ない』はラブコメの中にホロ苦人間模様が入る、青春モノの嚆矢になりました。協力者からは『ベン・トー』が注目され、アニメ化までされました。

『このラノ2012』では『円環少女(サークリットガール)』が4位に入りました。後に『BEATLESS』など、SFの傑作を生み出すことにつながっています。

『このラノ2013』では3位に『六花の勇者』が。「戦う司書」シリーズの硬派で伏線ビンビンな作風が、ファンタジーでミステリーという壮大な物語に反映されています。6巻がとんでもないところで終わっているので、続きを待ち望んでいます……。

『このラノ2014』では『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』が1位に。ここから3年間連続で1位になるという快挙を打ち立てる作品でした。同時に2位には『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』が入っていました。軍記ものとして戦争を描く作品でした。

『このラノ2015』はリニューアルを行い、カバーイラストや体裁を変更しました。激的に強い『俺ガイル』と『SAO』に続いて『ノーゲーム・ノーライフ』が3位に。ゲームの勝敗が種族や国の運命を決める頭脳戦。知略バトルを広めた作品になりました。『後宮楽園球場 ハレムリーグ・ベースボール』が上位に入ってくるのはとても『このラノ』らしいと思います。

『このラノ2016』では新作として『エイルン・ラストコード~架空世界より戦場へ~』『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』がランクイン。『エイルン』はイラストレーターを3人起用し、挿絵に加えて漫画も入るという意欲作。『終末~』は『このラノ』や他のランキング企画で話題となり、打ち切り回避してアニメ化まで成し遂げたことで話題になりました。


『このラノ2017』では新たに「単行本・ノベルズ部門」が誕生。Webからの書籍化増大を鑑みて、ランキングを分けました。
この年は文庫1位が『りゅうおうのおしごと!』でここから快進撃。2位には『Re:ゼロから始める異世界生活』が入り、第3章の盛り上がりを感じました。
単行本1位は『オーバーロード』が魔王の風格を見せてくれました。主人公が蜘蛛の異色作『蜘蛛ですが、なにか?』の、色モノのように思わせて設定がしっかり練られているのも、読者の心を掴む要因だったのだと思います。

『このラノ2018』はかなり新作が意識された年でした。『86―エイティシックス―』『<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム-』『月とライカと吸血姫』『ぼくたちのリメイク』と、のちにシリーズとして人気になっていく作品が揃っていました。
単行本側では『本好きの下剋上』が圧倒的1位となり、そこからは蜘蛛、おっさん幼女、骸骨魔王、スライム、増殖する横浜駅とやりたいほうだい。

『このラノ2019』は、『りゅうおうのおしごと!』に待ったをかける風雲児『錆喰いビスコ』が登場。ポストアポカリプスというジャンルをぶち込んできました。そして『弱キャラ友崎くん』『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』『三角の距離は限りないゼロ』などラブコメの快進撃が始まります。
単行本側は『本好き』が上位をキープし、ここぞとばかりに石川博品作品が2位に。

『このラノ2020』は魔法学校ものでダークファンタジー『七つの魔剣が支配する』が1位へ。それ以外はほぼラブコメという状況になっていました。単行本ではWeb小説の名作『Unnamed Memory』が1位に。物語が“書き換わる”4巻以降の物語も無事に刊行されて嬉しかったです。

……というかたちで、ちょっとランキングをおさらいしようとしたら、10年分の振り返りになっていました。

 年々、『このラノ』のランキングを帯に載せてくださる作品も増えてきたように思います。

 ランキングを見るだけで満足せず、しっかり本書も手に取ってもらえるように、『このラノ2021』もがんばりますので、どうぞよろしくおねがいします。



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