カニとカニクサ
カニを好きになる前から、カニクサが好きだった。
わたしは、子どもの頃から、
こういう飄々とした草が好きなのだ。
小学生の頃は「クジャクシダ」にはまっていたのを覚えている。
針金のような細くてしっかりした軸と、薄い軽い葉っぱ。
風に当たってピロピロ揺れたり、木漏れ日に葉の色が透ける様は、
いくらみていても飽きない。
庭にしゃがんで眺めていたら、よく足が痺れた。
奄美大島に移住して最初に住んだ一軒家の周りに、
カニクサがたくさん生えていた。
やわらかい針金のような蔓性の茎と、気まぐれなカタチの薄い葉っぱ。
飄々としたその佇まいが、ひと目で好きになった。
丈夫で扱いやすいので、
リースづくりに使ったり、頭や身体に巻きつけたりして、
すぐに仲良くなることができた。
昨日、ふと思い立って、
カニクサをテーマにカニTを描きはじめた。
カニクサの名前の由来を検索すると、
この蔓でカニを釣ったから、と出てくるが、
細長い葉っぱが自由に手を伸ばしている様が、
カニに見えて仕方がない。
Tシャツの上では、
カニとカニ草が入りまじって、繋がっていった。
大好きなカニと大好きなカニクサ。
愛おしいものを描くしあわせを味わっている。
わたしゃきみたちに会えてよかったよ。
ありがとう。
【カニクサメモ】
◯つる状のシダ植物。植物学的には、根からつるの先までが1枚の葉。
つるの先の形が違う小さな葉の裏に胞子が作られる。
◯主な効能:尿路結石、尿路系炎症の痛み、排尿困難。咳。
(小腸と膀胱の余分な熱や水分を取り除く作用がある)
◯茎葉や、成熟胞子を煎じて服用。
◯沖縄本島や与那国島では草冠として祭祀にも使われていた。
※『野の薬草ガイド』大滝百合子著/発行:ボーダーインク より
あおきさとみ
カニ宇宙 https://kani-uchu.webnode.jp/