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夜中の3時、令和のカニに起こされる 〜我が家に現れるカニその2〜

とうとう、真夜中にカニに起こされる季節がはじまった。
これは比喩ではない。
文字通り「真夜中にカニに起こされる」のである。

先日は、ガサゴソと寝室の壁を
向こう側からこする音で目が覚めた。
時計を見ると深夜3時。
またネズミが何かやっているのだろう、
ちょっと驚かせたらおさまるだろう。

寝ぼけながら、壁をバン!と叩いて、再び眠りについた。
一旦静かになったが、間も無くまたガサゴソとはじまった。

これでは、安眠できぬ。
壁の向こう側の廊下に回ってみると、
そこにいたのはネズミではなく、
洗濯物の上でうろうろしているカニだった。

しかも、5センチほどの甲羅をもったカクレイワガニだ。

カクレイワガニは、令和元年である昨年、
令和が隠れいている「カク令和ガニ」として
日本各地の水族館で注目を集めたらしい。
ただの駄洒落からではあるが、ちょっとした有名蟹だ。

二の腕にあるギザギザや、まるっこい甲羅、
落ち着いた物腰、凝った色合いが特徴だ。
我が家には年に数回しか来訪することがないので
珍客が嬉しく、わたしはすっかり目が覚めてしまった。

今回の方は、チョコレート色のカクレイワガニだ。
ボウルに入っていただき、
語らったり、写真を撮らせてもらったりして
ひと時を共に過ごしたあと、
家の外に出ていただいた。

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すっかり興奮して目が冴えてしまったので
難しい本を読んでまた眠りについた。

しかし、眠ったのも束の間、
今度は寝室の中で、カニの気配がする!

枕元の明かりをつけるが、姿は見えない。
カサコソぷくぷくと確かにカニの音が聞こえたのだ。

わたしは、この家に住むようになってから、
カニ音に気がつく能力が開花した。
誰よりも先に、この部屋にカニがいる!と察知する自信がある。

姿を探しても見当たらないので
明かりを消して、また眠ろうとする、
と、その時、頭のすぐそばで気配がした。

急いで明かりをつけると、わたしの枕元に立っていたのは、
またもやカクレイワガニ!!
一晩に2匹もカクレイワガニがやってくるなんて
今日はすごいぞ!

布団の端に隠れるカニをボウルに捕獲しようとするが、
今度の方は用心深くて
なかなかボウルに入ってくれない。
布団の上で、ドタバタやっていたら、
流石にオットも目が覚めたようで、
寝ぼけながらもカニを捕まえるのを手伝ってくれた。

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2匹目は鮮やかな紫色のカクレイワガニだ。
動きも落ち着きがあって優雅だ。

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いくら眺めても飽きないが、
夜更けを通り越して朝の気配がしてきたので、
もう外に出ていただいた。

それにしても、
いったいどこから家に入ってくるのだろう。
秘密の穴があるのだろうか。

カニからしてみれば、
海に向かう道の途中に我が家が障害物のようにあるのだろう。

「あの家を越えなければ海には行けない」

覚悟を決めたカニたちが
海を目指し我が家に乗り込んでくる。

運悪くネズミに見つかれば、
捕らえられてご馳走にされてしまう。

人間に見つかれば、
一旦は、金属の丸い容れ物に入れられ、
なんやかやと話しかけられ、
レンズの付いた四角いものをカシャカシャかざされ、
ちょっとビックリはするが。
その後、一気に家の海側に、ワープできるので、
少しは助かるのではなかろうか。

いつか、
カニ語を話せるようになったら、
どんな気持ちで旅をしているのか
カニたちの話を聞いてみたいものだ。

そして、
真夜中はなるべく人の睡眠を邪魔しないように
お願いしたい。

これからの季節、カニによる寝不足問題が、
結構深刻なのである。

あおきさとみ
カニ宇宙 https://kani-uchu.webnode.jp/


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