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あの世とこの世の波打ち際にカニたちは這いまわる

きのうのミニカニ講座のテーマは「カニ這わせの儀式」だった。

かつて、奄美では生後7日か目に
新生児を外に出して光にあててお祝いする
「イジャシハジメ(出し初め)」という儀式があった。

生まれて7日目の赤ちゃんを外に出して
頭にカニを這わせ、
その後男児の場合は弓を引いたり
女児の場合は機織りに関する道具をもたせ
額に鍋墨をつけたり。
縁起ものの植物を植えたり。

儀式の後に庭先に植える植物。男児ははまゆう、女児はオガラ。

そもそも
頭に這わせるのが
なぜ、カニなのか?

調べてみると、
カニのように逞しく育つように
など願いをこめる意味の他に、
豊玉毘売命が出産をした時に
カニがたくさん這い回ったという故事に習っている
という情報をみつけた。

豊玉毘賣命は海の神様の娘
その夫は陸の神様である。

その昔
海の向こうがあの世であり
波打ち際はあの世とこの世の境目
という考え方があった。

かつての日本では、
波打ち際に産屋が建てられていたのだとか。


出産
波打ち際
陣痛の波
産土
胎盤
穢れ
産屋を燃やす
水はあの世で陸は現世

みんなで自由に
連想を広げてみた。

後半は
イジャシハジメのように
自分の日常生活で使える
儀式やおまじないを
オリジナルで創ってみるワーク。

みんなそれぞれ
人前に出た時のおまじないや
嫌なことがあった時に
家に入る前に行う儀式など
日常に役立つおまじないや呪文を考えた。

わたしは
頭の上にアカメガシワの葉を乗せて行う
いらない念を祓う儀式?を考えてみた。

そういえば子どもの頃は
おまじないとかいうものが
好きだった。

鏡とかチーズとかお花とかクローバーとか
日常にあるものを使用して
本に載っていた
妖精を呼びだすおまじないとか
テスト中にひらめきがやってくるおまじないとか
恋のおまじないとか
そんなことをしていたのを思い出す。
なんとなく効き目があったような気がした。

かつて日本人は
自然の中には、
妖怪やいろいろなモノの神様たちなど
見えない存在がいるという
世界観の中で生きていた。

祝いや感謝
願いや祈り
弔いや浄化。

目に見えない存在と
コンタクトを取るための手順が
祭りや儀式なのだろう。

それが実際科学的に存在するかどうか
というのはどうでもよくて。

人が、心健やかに生きていくためには
心の中に目に見えない存在を生かす空間が
必要なのではないかと
そんな風に感じている。

蟹は水と陸と両方を動ける
波打ち際の生き物である。

水はあの世、陸は現世
水は無意識、陸は意識
目に見えぬ世界、目に見える世界
その両方をつなぐカニ。

少しずつカニのひみつが
紐解かれてゆく気がして
わくわくする。

次回は、
カニの歌や呪文、言葉の力をテーマにしようと思っていたが
今回話題にのぼった
あの世とこの世の境目の話や
蟹が這いまわる産屋の話がおもしろく
さらに掘り下げてみたいと思いはじめたのだが。。。
マニアックすぎだろうか。。。

毎回何が起こるかわからない
ミニカニ講座である。

単発参加もOK。
毎週木曜日ゆる〜くやってます。
ご興味のある方はぜひお気軽に
ご参加ください。
カニ初心者も大歓迎です。

※写真絵は「沖縄•奄美の祝事」名玄書房より。

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