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大増殖天使のキス #毎週ショートショートnote

ツトムが夜ご飯を食べていた。目は腫れ憔悴しきっている。
「どうしたの、仕事でなにかあった?」
問うものの一向に言葉を発せず、顔をあげない。
こういった時のツトムは心を開かないもので
そっとしておいたほうがよい。

少しすると立ち上がり寝室へと向かうツトムの後ろ姿。よほど、辛いことがあったのだろうか。おやすみの一言もなかった。
張り詰めた空気から抜け出すと、少し疲れたため
洗い物はそのままにわたしもベッドに入ることにした。

ツトムの顔を覗き込む。うなされているようで小さな声で何かを言っている。

たまらず頬へキスをする。触れることのない唇。愛おしさが溢れ涙が頬を伝う。涙で濡れることは無い、ツトムの顔を覆うように抱きしめるものの、その温もりを感じることはできない。

「大丈夫わたしはずっとあなたと一緒。」
もう一度、つめたいキスをした。

抱きしめたい触れたい。
愛おしさは増すばかりで涙は止まらない。
わたしは背中に生えた翼を広げ空へと旅立った。

(409文字)



今回もたのしいお題でした👼💋
ドラマ「俺の家の話」を見て
シックスセンスの話になりまして。
その余韻のまま文章書いたらこんな感じに。
シックスセンス見たことないから見てみたい🦀

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